偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

目次(映画)

〈あ行〉
アバウト・タイム 愛おしい時間について
アリス・スウィート・アリス
アンダー・ザ・シルバー・レイク
イエスタデイ(2019)
イディオッツ
イット・フォローズ
1917 命をかけた伝令
エターナルサンシャイン
エンジェル、見えない恋人
オリーブの林をぬけて
オールド



〈か行〉
ルトガー・ハウアー/危険な愛
奇跡の海
キートンの探偵学入門
きみに読む物語
きみに読む物語その2
キングスマン
キングスマン : ゴールデン・サークル
狂い咲きサンダーロード
軽蔑
(500)日のサマー



〈さ行〉
サスペリア
サスペリア(ルカ・グァダニーノ版)
三月のライオン
シェイプ・オブ・ウォーター
シャークネード・シリーズ(1〜5)
シャークネード6 ラストチェーンソー
ジョーカー
ジョジョ・ラビット
スウィート17モンスター
スプリット
そして人生はつづく
ゾンゲリア



〈た行〉
タイタニック
ダンケルク
チェイシング・エイミー
ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌
チャイルド・マスター
天気の子
ドッグヴィル
ドグラ・マグラ
友達のうちはどこ?
トラフィック
トリプルヘッド・ジョーズ
ドント・ブリーズ



〈な行〉




〈は行〉
ハイテンション
HOUSE
花束みたいな恋をした
バッファロー'66
パラドクス
バリー・リンドン
フォレスト・ガンプ/一期一会
フォロウィング
冬の怪談 〜ぼくとワタシとおばあちゃんの物語〜
ザ・フライ
ブルーバレンタイン
ベイビー・ドライバー
ボヘミアン・ラプソディ



〈ま行〉
マン・アップ! 60億分の1のサイテーな恋のはじまり
マンダレイ
ミッドサマー
ムーンライズ・キングダム



〈や行〉



〈ら行〉
ラースと、その彼女
ルチオ・フルチの新デモンズ
ルビー・スパークス



〈わ行〉
若者のすべて
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド




〈ドラマ〉
仮面ライダークウガ



〈映画特集記事〉

失恋の傷口に塩を塗る恋愛映画7選
【閲覧注意】極私的、ランク別どんでん返し映画紹介
好きなゾンビコメディ15選
My Favoriteホラー映画10選のリスト〜〜。





〈今月のふぇいばりっと映画〉
2018/9
ジャンゴ 繋がれざるもの/レディプレイヤー1/P.S.アイラブユー/禁断の惑星/巨大クモ軍団vs GoGoダンサーズ

2018/10
サタデー・ナイト・フィーバー/ニュー・シネマ・パラダイス/カビリアの夜/プールサイド・デイズ

2018/11
エンドレス・ポエトリー/君の名前で僕を呼んで/マルホランド・ドライブ/ストレイト・ストーリー/早春 (DEEP END)

2018/12
柔らかい殻/普通の人々/フィールド・オブ・ドリームス/メッセージ/時計仕掛けのオレンジ/ブロンド少女は過激に美しく/ドライヴ/エド・ウッド

2019/1
お熱いのがお好き/リバディ・バランスを射った男/ストレンジャー・ザン・パラダイス/ソナチネ

2019/2
アクアマン/新婚道中記/道

2019/3
夜の大捜査線/ヤコペッティの大残酷/タワーリング・インフェルノ

2019/4
暗殺のオペラ/ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ/地球に落ちてきた男/地上より永遠に

2019/5
search サーチ/怪怪怪怪物!/クーリンチェ少年殺人事件/ヘレディタリー 継承

2019/6
ブルー・ベルベット/パターソン/ライフ/11:46/カランコエの花

2019/7
トゥルーマン・ショー/スリザー/ラストベガス/セブン/メリーに首ったけ/愛と青春の旅立ち/ネクロノミカン

2019/8
ベンジャミン・バトン 数奇な人生/とらわれて夏/孤独なふりした世界で/メイクアップ 狂気の3P/世界一キライなあなたに/トイストーリー4/チャイルドプレイ(2019)

2019/9
アス/イングロリアス・バスターズ/サスペリアpart2

2019/10〜11
レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで
/ふたりの5つの分かれ路/ことの終わり/ワンダーランド駅で/マローボーン家の掟/映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ

2019/12
ハッピー・デス・デイ/ハッピー・デス・デイ2U/スクリーム4

2020/1
死霊の罠/死霊の罠2 ヒデキ/ミスト/悪魔のいけにえ/要塞警察/サマー・オブ・84

2020/2
ウォールフラワー/undo/来る/グエムル 漢江の怪物

2020/3
ウィッカーマン(1973)/アメリカン・サイコ/DAGON/処刑山2 ナチゾンビvsソビエトゾンビ/桐島、部活やめるってよ

2020/4
ビルとテッドの大冒険/スラムドッグ・ミリオネア/捜索者

2020/5
スターマン/未来世紀ブラジル/インビジブル/ブラックブック

2020/6 ①
グレート・ウォリアーズ 欲望の剣/スターシップ・トゥルーパーズ/ショーガール/トリック

2020/6 ②
ブラックシープ/ロスト・イン・トランスレーション/UFO少年アブドラジャン/ネクロマンティック/ネクロマンティック2

目次(本)

≪あ行≫

相沢沙呼
《マツリカシリーズ》
2.『マツリカ・マハリタ』
3.『マツリカ・マトリョシカ』
《城塚翡翠シリーズ》
1.『medium 霊媒探偵 城塚翡翠』
2.『Invert 城塚翡翠倒叙集』

葵遼太
『処女のまま死ぬやつなんていない、みんな世の中にやられちまうからな』

青山文平
『半席』

朝井リョウ
『世にも奇妙な君物語』

芦沢央
『今だけのあの子』

飛鳥部勝則
『堕天使拷問刑』

阿津川辰海
『紅蓮館の殺人』
『蒼海館の殺人』

綾辻行人
『十角館の殺人』
『深泥丘奇談・続々』
『Another エピソードS』

伊坂幸太郎
『火星に住むつもりかい?』
『AX』
『ホワイトラビット』

石持浅海
『相互確証破壊』

井上ひさし
『十二人の手紙』

井上悠宇
『誰も死なないミステリーを君に』

井上夢人
『ダレカガナカニイル』

今村昌弘
『屍人荘の殺人』

上田早夕里
『魚舟・獣舟』

歌野晶午
『ずっとあなたが好きでした』
『Dの殺人事件、まことに恐ろしきは』

海猫沢めろん
『愛についての感じ』

浦賀和宏
《安藤直樹シリーズ》
1.『記憶の果て』
2.『時の鳥籠』
3.『頭蓋骨の中の楽園』
4.『とらわれびと』
5.『記号を喰う魔女』
6.『学園祭の悪魔』
7.『透明人間』
『透明人間』(再読)
8.『HEAVEN 萩原重化学工業連続殺人事件』
9.『HELL 女王暗殺』
10.???
《八木剛士・松浦純菜シリーズ》
1.『松浦純菜の静かな世界』
2.『火事と密室と雨男のものがたり』
3.『上手なミステリの書き方教えます』
4.『八木剛士 史上最大の事件』
5.『さよなら純菜 そして不死の怪物』
6.『世界でいちばん醜い子供』
7.『堕ちた天使と金色の悪魔』
8.『地球人類最後の事件』
9.『生まれ来る子供たちのために』
《桑原銀次郎シリーズ》
1.『彼女の血が溶けてゆく』
2.『彼女のため生まれた』
3.『彼女の倖せを祈れない』
4.『彼女が灰になる日まで』
《メタモルフォーゼの女シリーズ》
1.『Mの女』
2.『十五年目の復讐』
《ノンシリーズ》
『こわれもの』
『ファントムの夜明け』
『姫君よ、殺戮の海を渡れ』
『究極の純愛小説を、君に』
『緋い猫』
『ハーフウェイハウスの殺人』

大槻ケンヂ
『くるぐる使い』

大山誠一郎
『赤い博物館』
『アリバイ崩し承ります』

岡崎琢磨
『夏を取り戻す』

小川勝己
『葬列』
『彼岸の奴隷』
『まどろむベイビーキッス』
『撓田村事件』
『ぼくらはみんな閉じている』
『あなたまにあ』
『ロマンティスト狂い咲き』
『イヴの夜』

尾崎世界観
『祐介』


≪か行≫

甲斐田紫乃
『超能力者とは言えないので、アリバイを証明できません』

梶龍雄
『鎌倉XYZの悲劇』

カツセマサヒコ
『夜行秘密』

加門七海
『蠱』

木々高太郎
『木々高太郎集』

北大路公子
『石の裏にも三年』

楠田匡介
『いつ殺される』

倉狩聡
『かにみそ』

倉野憲比古
『スノウブラインド』
『墓地裏の家』
「双子」

甲賀三郎
『蟇屋敷の殺人』

小林泰三
『忌憶』
『殺人鬼にまつわる備忘録』

小松左京
『霧が晴れた時』


≪さ行≫

坂木司
『和菓子のアン』
『アンと青春』
『先生と僕』
『何が困るかって』

桜木紫乃
『ホテルローヤル』

佐々木俊介
『魔術師/模像殺人事件』

澤村伊智
『予言の島』

沢村浩輔
『夜の床屋』

島田荘司
『夏、19歳の肖像』
『幻肢』

下村敦史
『闇に香る嘘』

朱川湊人
『都市伝説セピア』
『いっぺんさん』

白井智之
『少女を殺す100の方法』

住野よる
『君の膵臓をたべたい』

蘇部健一
『木乃伊男』



≪た行≫

高木彬光
『妖婦の宿』

太宰治
『人間失格』
『走れメロス』
『きりぎりす』
『ヴィヨンの妻』
『新樹の言葉』

多島斗志之
『マリアごろし異人館の字謎』
『クリスマス黙示録』
『不思議島』
『神話獣』
『少年たちのおだやかな日々』
『白楼夢』
『私たちの退屈な日々』
『症例A』
『追憶列車』
『感傷コンパス』
『黒百合』

谷崎潤一郎
『谷崎潤一郎マゾヒズム小説集』

千澤のり子
『シンフォニック・ロスト』

辻真先
『郷愁という名の密室』(牧薩次名義)

辻村深月
『かがみの孤城』

積木鏡介
『誰かの見た悪夢』

友成純一
『ホラー映画ベスト10殺人事件』



≪な行≫

中西鼎
『東京湾の向こうにある世界は、すべて造り物だと思う』
『放課後の宇宙ラテ』

夏目漱石
『こころ』

七河迦南
『アルバトロスは羽ばたかない』

二階堂奥歯
『八本脚の蝶』

西澤保彦
《タック&タカチシリーズ》
『黒の貴婦人』
《チョーモンインシリーズ》
『夢幻巡礼』
『転・送・密・室』
『人形幻戯』
『生贄を抱く夜』
『ソフトタッチ・オペレーション』
《腕貫探偵シリーズ》
『腕貫探偵』
『腕貫探偵、残業中』
森奈津子シリーズ》
『小説家 森奈津子の華麗なる事件簿』
『小説家 森奈津子の妖艶なる事件簿 両性具有迷宮』
《城田理会シリーズ》
『殺す』
《ノンシリーズ》
『殺意の集う夜』
『瞬間移動死体』
『死者は黄泉が得る』
『黄金色の祈り』
『夏の夜会』
『パズラー 謎と論理のエンタテインメント』
『笑う怪獣』
『いつか、ふたりは二匹』
『からくりがたり』
『春の魔法のおすそわけ』
『収穫祭』

似鳥鶏
『叙述トリック短編集』

貫井徳郎
『修羅の終わり』※全編ネタバレのみ)

野崎まど
『【映】アムリタ』

法月綸太郎
『頼子のために』
『一の悲劇』
『ふたたび赤い悪夢』
『パズル崩壊』
『犯罪ホロスコープ Ⅰ』
『怪盗グリフィン、絶体絶命』



≪は行≫

深緑野分
『オーブランの少女』

深水黎一郎
『最後のトリック』
『大癋見警部の事件簿』

藤野恵美
『わたしの恋人』『ぼくの嘘』
『ふたりの文化祭』
『おなじ世界のどこかで』

穂村弘
『もしもし、運命の人ですか。』
『鳥肌が』



≪ま行≫

柾木政宗
『NO推理、NO探偵?』
『ネタバレ厳禁症候群』

又吉直樹
『火花』

松井玲奈
『カモフラージュ』

松浦理英子
『ナチュラルウーマン』
『親指Pの修業時代』

麻耶雄嵩
『メルカトル悪人狩り』
『友達以上探偵未満』

三田誠広
『永遠の放課後』
『いちご同盟』

道尾秀介
『向日葵の咲かない夏』
『月と蟹』
『カササギたちの四季』
『水の柩』
『光』
『笑うハーレキン』
『鏡の花』
『透明カメレオン』
『スケルトン・キー』

三津田信三
《刀城言耶シリーズ》
『碆霊の如き祀るもの』
『忌名の如き贄るもの』
《死相学探偵シリーズ》
『九孔の罠』
『死相学探偵最後の事件』
《幽霊屋敷シリーズ》
『どこの家にも怖いものはいる』
『わざと忌み家を建てて棲む』
《家シリーズ》
『魔邸』

三山喬
『ホームレス歌人のいた冬』

武者小路実篤
『友情』

村上春樹
『夜のくもざる』
『レキシントンの幽霊』

燃え殻
『ボクたちはみんな大人になれなかった』

望月拓海
『毎年、記憶を失う彼女の救い方』

本谷有希子
『異類婚姻譚』

森下雨村
『白骨の処女』

森見登美彦
『ペンギン・ハイウェイ』



≪や行≫

山田風太郎
忍法帖
『伊賀忍法帖』
『忍法八犬伝』

山田正紀
『ブラックスワン』
『人喰いの時代』

米澤穂信
『真実の10メートル手前』
『巴里マカロンの謎』
『いまさら翼といわれても』



≪ら行≫

連城三紀彦
『明日という過去に』
『白光』
『小さな異邦人』



≪わ行≫

綿矢りさ
『蹴りたい背中』
『憤死』
『勝手にふるえてろ』
『かわいそうだね?』
『しょうがの味は熱い』

≪海外作家≫

アレン・エスケンス
『償いの雪が降る』
『たとえ天が墜ちようとも』

エラリー・クイーン
『エラリー・クイーンの新冒険』

トマス・H・クック
『死の記憶』
『夏草の記憶』
『緋色の記憶』
『心の砕ける音』
『蜘蛛の巣のなかへ』
『緋色の迷宮』

アゴタ・クリストフ
『悪童日記』

グレアム・グリーン
『情事の終り』

ジャック・ケッチャム
『隣の家の少女』

メアリー・シェリ
『フランケンシュタイン』

ピーター・スワンソン
『そしてミランダを殺す』

陳浩基
『13・67』

アレックス・パヴェージ
『第八の探偵』

トマス・フラナガン
『アデスタを吹く冷たい風』

マーガレット・ミラー
『まるで天使のような』

陸秋槎
『文学少女対数学少女』


≪アンソロジー

角川ホラー文庫「現代ホラー傑作選」
2.魔法の水
3.十の物語

猟奇文学館
2.『人獣怪婚』

異形コレクション
LI.『秘密』

『謎の館へようこそ 黒』

『有栖川有栖の本格ミステリ・ライブラリー』







≪ミステリ10選シリーズ≫

作中作ミステリ10選
切断ミステリ10選
恋愛ミステリ10選
青春ミステリ10選
見立てミステリ10選





《読書履歴書》

私の読書履歴書 その1
私の読書履歴書 その2
私の読書履歴書 その3




≪小説年間ベスト≫

2017年に読んだ小説ベスト20
2018年に読んだ小説ベスト10
2019年に読んだ小説ベスト10(ミステリ編)
2019年に読んだ小説ベスト10(非ミステリ編)
2020年に読んだ本ベスト10

目次(音楽・漫画・その他)


〈音楽関連〉

indigo la End

mini『あの街レコード』
1st 『幸せが溢れたら』
2nd 『藍色ミュージック』
3rd 『Crying End Roll』
4th 『PULSATE』
5th 『濡れゆく私小説』
6th『夜行秘密』前編/後編


スピッツ

〈アルバム〉
01st『スピッツ』
02nd『名前をつけてやる』
08th『フェイクファー』
Sp01『花鳥風月』
09th『ハヤブサ』
10th『三日月ロック』
13th『とげまる』
14th『小さな生き物』
15th『醒めない』
16th『見っけ』

〈曲〉
「エンドロールには早すぎる」
「子グマ!子グマ!」

サカナクション

『834.194』感想 -東京version-
『834.194』感想 -札幌version-


アルバム年間ベスト

2017年、私的アルバムランキング!
2018年、私的アルバムランキング!!
2019年、私的アルバムランキング!!!
2020年、私的アルバムランキング!!


Replay
Replay2020


その他まとめとか

夏メロ



〈漫画関連〉

大柴健
『君が死ぬ夏に』(全7巻)

押見修造
『スイートプールサイド』
『デビルエクスタシー』(全4巻)
『ユウタイノヴァ』(全2巻)

駕籠真太郎
『殺殺草紙 大江戸無惨十三苦』
『ブレインダメージ』
『都市とインフラストラクチャー』

加藤元浩
Q.E.D 証明終了』全巻読破計画
① 1巻〜10巻
② 11巻〜20巻
③ 21巻〜30巻
④ 31巻〜40巻
『C.M.B 森羅博物館の事件目録』全巻読破計画
① 1巻〜10巻
② 11巻〜20巻

さくらももこ
『ちびしかくちゃん』(全2巻)

城平京水野英多
『天賀井さんは案外ふつう』(全4巻)

高橋留美子
『人魚の森』

田島列島
『子供はわかってあげない』(上下巻)

吉富昭仁
『地球の放課後』(全6巻)

アンソロジー
怪談マンガアンソロジー『コミック幽』



〈お笑い関連〉

シソンヌ
シソンヌライブ[une]
シソンヌライブ[deux]
シソンヌライブ[trois]
シソンヌライブ[quatre]
シソンヌライブ[cinq]
シソンヌライブ[six]
シソンヌライブ[sept]
シソンヌライブ[huit]
シソンヌライブ[neuf]

ラーメンズ
特別公演『零の箱式』
第8回公演『椿』
第9回公演『鯨』
第10回公演『雀』
第11回公演『CHERRY BLOSSOM FRONT 345』
第12回公演『ATOM』
第13回公演『CLASSIC』
第14回公演『STUDY』
第15回公演『ALICE』
第16回公演『TEXT』
第17回公演『TOWER』

小林賢太郎プロデュース公演
#004『LENS』

空気階段
『anna』


《日記》


恋バナ
話す
考える
思い出が
日記 11/3
日記 11/25
植田界隈ケーキ屋巡りの旅
梅坪界隈ケーキ屋巡りの旅
日間賀島旅行記その1
日間賀島旅行記その2

太宰治『新樹の言葉』感想




「I can speak」

まずは冒頭の「くるしさは、忍従の夜。あきらめの朝。」というフレーズが印象的。
前々から太宰治の文章はTwitterみたいだと思っていたのですが、本作の「生活のつぶやき」というワードを見て「あ、やっぱり」と思いました。

ほんの数ページの小品ですが、自身の作家としての苦悩と決意を通りすがりのように見かけた姉弟の風景に託しているのが印象的。
珍しい英語のタイトルが少しの滑稽さと切実さとを孕んでいて、すっと気の晴れるような明るさが見えかかって終わるのが爽快です。



「懶惰の歌留多」

自身の怠惰についての誇張したようなめちゃくちゃな書きっぷりが面白くも共感できてしまうところで、そこから急にカルタが始まって急に終わるところの雑さが酷いですね。
でもカルタのそれぞれのお話は面白かったです。
あと、怠惰の類義語字典みたいなところも好きです。言い換えだけで文字数稼いでるのは大学時代の私のレポートよりも酷いものですが、さすがに文豪先生、語彙力とユーモアで言い換えだけでも笑わせてくれます。
そして、文中に「人間失格」というワードも出てきたりもするので、これだけふざけた文章なのにどこか後の自殺を思わせるような不穏さがありました。



「葉桜と魔笛

これは好きなお話でもう何度読んだか分かりませんが、やっぱり良いですね。
掌編と言っていい短さの中でミステリのように二転三転していきながら、その度に登場人物たちの痛切な想いに胸を締め付けられます。
(ネタバレ→)作中のツイストと呼べそうな部分が、それぞれ「手紙は私が書いたものだった」「そもそもM・Tは妹の創作だった」「口笛は父が吹いていた」とそれぞれの登場人物に絡んでくるのが巧いと思います。
と同時に、妹の言葉の方が嘘でM・Tという青年は実在していたとも考えられますし、そもそも語り手が話す内容がどこまで真実か、例えば口笛のくだりなんかは美化してる可能性も......などと考え出すと、芥川の「藪の中」みたいに何だったのか分からない不思議な読後感をも残します。

シンプルな美談としても読めて、でもミステリアスなところもある傑作です。



「秋風記」

著者を思わせる語り手の作家がKという人妻と旅行に行くお話。
心中こそしないものの、「姥捨」のような読み心地でした。
Kという女性の魅力にとにかくやられてしまいつつ、終盤のあの衝撃的な場面以降で運命のように引き裂かれていく2人に切なさを感じます。
何かこう、読者にも分からない2人の間だけで通じ合っているようなセリフが多く、読んでいて引っかかったりもするけどその内輪感みたいなものが逆に2人の関係性を表していてエモかったです。



新樹の言葉

幼い頃の自分を育ててくれた乳母の息子に再会するお話。
乳弟らにウザ絡みする主人公のダメ人間っぷりを面白おかしく描きつつ、全体にはかなり爽やかな空気が流れる一作です。
主人公に自身を投影していそうな感じではありますが、終盤の誂えたような展開は創作としか思えませんが、風景として印象的でした。



「花燭」

これまた著者を投影していそうな男爵と呼ばれる男を、客観視点で描くことでユーモラスに仕上がった明るめの作品です。
なんでそうなるの!と言いたくなるようなダメさ加減が、しかし読んでいる分には愉快でもあり、うだうだと思い悩み始めるくだりなんかは昔も今も若者の悩み方は変わんないなぁと思いました。
そしてちょっと妄想が過ぎるくらい激甘なラストも凄く良いっすよね。逆だけど、森見登美彦っぽさを特に強く感じました。
これ、女性が呼んだらどう思うんでしょうね、この結末。馬鹿にしてますよね。



「愛と美について」

文学好きの五人のきょうだいが口頭でリレー小説をするお話。
作中作の老教授の物語自体がユーモアとアイロニーの入り混じる綺麗過ぎるくらい綺麗にストンとオチるものになっていつつ、それを語るきょうだいそれぞれのキャラが見えてくるのがまた面白い。
元々エンタメとしても面白く読める太宰さんですが、本作は特にエンタメに振り切っています。後に残るものはあまりないけど、奇妙な構成で作中作と作中現実の二段階でしっかりオチを付けているあたりは良くできたミステリのような読後感すらあります(謎解き要素はないですけど)。
また、太宰と数学という珍しい組み合わせを(ギャグですが)見れたのも新鮮でした。



火の鳥

未完の長編の書きかけの部分。
心中で生き残った女性が女優になっていくというお話のようです。
普段の太宰の文体とは違って三人称っぽい書き方なんですが、正直それがちょっと読みづらかったです。
女性の方が生き残るというのも普段と逆な気がしますが、そこに彼なりの贖罪のような気持ちもあったのでしょうか。
お話の方は、かなりキャラ立ちした人たちがいっぱい出てきて会話を読んでるだけでも楽しく、長編として彼らの行く末を見てみたかったなと思わされます。



「八十八夜」

純文学を志しながらも生活のために通俗物を書き始め、いつしか身も心も俗化してしまった作家の笠井さんが旅行するお話。
作家じゃないけど最近では米津玄師なんか、売れることとやりたいことを両立させる天才だと思いますが、普通はなかなかそうはいかないものでしょう。
私は創作したことないので産みの苦しみとか分かんないですけど、それこそ俗っぽい話ですが好きなバンドが売れ線に行っちゃって悲しいとか、逆になんでこのタイミングでもっと売れに行かないの!とか思ってしまうので、大変なんだろうなと思います。
しかし自虐の語り方がやっぱり面白おかしくて、つらいはずなのにくすくす笑ってしまいます。
あと、後半のダメっぷりはもう......。



「美少女」

妻と混浴の温泉に行って美少女の裸体を見ましたというだけのお話なんだけど、なんか良いですね。
女性の身体への眼差しという点で「皮膚と心」なんかにも通じるところがあるように思います。女性の方が男よりも身体と心が結びついているって感じ?
そもそもこの時期って温泉混浴だったのか!っていうのもびっくりですけど。美少女の身体の描写が細かくもいやらしいところはなく、はっとして見入ってしまう感覚が文章から伝わってきます。
私も若い頃は女性の裸には性欲しか感じませんでしたが、この歳になるとこの主人公のいやらしい気持ちではないけど良いものを見た、という感覚が分かるようになってきました。
あと最後の一文が味ですね。



「春の盗賊」

泥棒に入られたってだけの話をどうしてこんなに面白く書けるのでしょう。
だけ、とは言っても、そもそも本題に入る前の愚痴とも但し書きとも憤りとも言い訳とも取れる「いや俺が書いてるのは小説なんだから実話だと思わんといてや」という私小説作家の心の叫びからしてめちゃくちゃ面白く、もう残りのページ数も少ないのにいつになったら本題に入るのだろうとハラハラさせられます。
そして泥棒と遭遇するところも、なんでそうなるんだろうって感じになぜか侵入してきた泥棒に懇々と話を聞かせてしまいには入られた主人公の方がわけ分からん人になっちゃう流れも最高に笑えます。
妻の存在で読者としてはなんとなくほっこりできるので良いっすね。



「俗天使」

小説を書かなきゃいけないのになんかやる気が出ない太宰さんがこれまでに出会った印象的な女性たちのことを書いていき、ついにはネタ切れだから創作します!と言い切って架空の手紙を書き始めてしまうところには苦笑。しかしこの手紙が実は「女生徒」のモデルの人からの実際のものだとかいう話もあったりして、よく分からないながら虚実の境のわからないメタ的な面白さのある短編です......とよく分からないので雑に締めくくりましたがそんな感じ。



「兄たち」

太宰の兄たちの思い出を描いた作品。年が離れていて社会的にしっかりした長兄と次兄の話はさらっとで、早くに亡くなった芸術志向で毒笑趣味の三男についての話がメイン。
この兄の恋のエピソードがとても切なく印象的で、湿っぽくならずにさらりと流すような終わり方にも逆に真実味があります。
悲しくも、兄との交流に温かさも感じる良い話です。



「老ハイデルベルヒ」

かつて訪れた三島の地での思い出。
冒頭の三島に向かうところの見栄張って情けない有り様からしてもうなんか好きですね。
町中に小川が流れていて美しい、けれども破滅へと向かっていることも示唆される町の描写になんだか胸を締め付けられたり、不器用な親子愛の姿に胸を打たれたり。
そして変わってしまった町の姿と自らの心を重ねた寂寥感のあるラストが印象的。



「誰も知らぬ」

「葉桜と魔笛」と同じく女性独白体で描かれ短くも掴みきれない謎めいた読み心地の作品。
祖父に関する描写などから主人公の性格が推し量ることができ、それが伏線のように機能して終盤の唐突に見える爆発に説得力が付与されているのが上手いと思います。
本編はほぼ安井夫人の独白ではありつつ、少女だった彼女が"安井夫人"になっていること、末尾の言葉の矛盾などから、この話はどこまで真実でどこからが誇張なのか?なぜこんな話を聞き手にしてるのか?などといったところまで考えさせられるあたりの懐の深さがさすがだと思います。これもミステリじゃないけどそれっぽくも読める傑作ですね。

佐々木俊介『魔術師/模像殺人事件』




『魔術師』


母を亡くし天涯孤独になった青年・聖の元に、青茅グループ総帥の青茅伊久雄から手紙が届く。
自身の出征にまつわる話があるというその内容に心惹かれた聖は、伊久雄が隠棲する孤島の館・神綺楼へと向かう。
伊久雄が引き取って育てているという4人の孤児と打ち解ける聖だったが、やがて惨劇の幕が開き......。


怪しげな館と住人たち、芸術や魔術の衒学趣味、奇怪な殺人事件......と、ミステリの、というよりは古き良き探偵小説の香気が濃密に溢れかえっています(とても2016年の作品とは思えぬほど!)。
ロジックやトリックに関しては正直薄味で、事件の構図のアイデアありきで解決されるので論理的な推理とかはそんなにないし、その構図に関しても、この流れならアレかな、と読めてしまうものではあります。

ただ、そうした意外性や論理性を補っててあまりある魅力のある作品であることも確かです。

主人公は天涯孤独の身の青年。自らのルーツを探しに事件の起こる館を訪れます。
そしてそこに棲む住人たちも、訳ありらしい使用人たち、島から出たことのない4人の少年少女たち、大企業の総裁にして魔術や神秘学に傾倒する主人と芸術家肌のその次男......。
主人公のアイデンティティをめぐる青春小説であり、美少女への恋模様も描かれつつ、館の住人たちにしてもみんな現実世界から遊離したような、存在の曖昧な感じがする人々であり、彼らのアイデンティティというのもまた大きなテーマとなってきます。
そして、事件の真相が明かされることで、そうしたテーマが前面に押し出されてきて探偵小説でしか描けない虚ろな青春小説になっているところが、他ではなかなか味わえないこの作品の大きな魅力だと思います。
探偵小説としての雰囲気が、彼らの数奇な人生模様にフィクションの中でのリアリティを与えているんですね。

また、1番最後のオチなんかは戦前の怪奇探偵小説短編とかにありそうな光景でミステリファンとしては嬉しくなっちゃいました。





『模像殺人事件』


山中で車のトラブルに見舞われた売れない作家の大川戸は、近くの木乃家に助けを求める。
しかし木乃家では、2日前に顔に大怪我を負い包帯を巻いたという長男が帰郷し、今日また同じ外見の包帯男が長男を名乗って訪問していた。
成り行き上木乃家に泊まることになった大川戸はこの長男争いに巻き込まれ、さらには殺人事件も起こり......。


こちらも、忌み嫌われ村の他の家から離れた山中にある屋敷とそこに現れる包帯男、訳ありげな当主、美しい息子と娘、過去の因縁......と、『犬神家』なんかを思わせる探偵小説の薫りが濃密でとても良いです。
木乃家の屋内とか庭とかの描写もなんかこう、いかにもって感じ。『魔術師』には新本格初期っぽい味わいもありましたが、本作は完全に旧本格で非常に味わい深いです。

ただ、そんな中で起こる事件に関しては、片や包帯男の正体については家の人たちはなんか分かってるっぽいからあんまり謎めいた感じじゃないし、殺人事件の方は表面的には起こった時には解決してしまっているため、「謎」の引きが弱いかな、というのはありますね。
真相に関してもかなりシンプルで正直驚きは少ないんですけど、でもそこに関しては古き良き探偵小説っぽいトリックではあるので味わいですよね。

そして、抽象的でありつつ作中のいろんなものを象徴していたタイトルが、真相を知ることによってさらに意味合いを増して印象に残るところが好きですを

『魔術師』と本作とを読んでみて、どちらも(ネタバレ→)過去の事件をなぞるために生きる人々、本物の一家に擬態した人々と、どちらも本来の自身の人生を生きていない偽物としてのキャラクターが主体となっているあたりに生の空虚さを描いた文学作品としての風格も漂っていて、そこが1番好きなところですね。

両作とも、目新しさはないようでいて意外とこの味わいは他にはない感じなので偏愛しちゃうに足る名作でした。

オールド

とあるリゾートホテルを訪れた主人公たち一家は、何組かの他の客たちと一緒に特別にプライベートビーチへ連れてこられる。
最初はその美しい景色を満喫していた彼らだったが、やがて時間の過ぎ方がおかしいことに気付き......。

f:id:reza8823:20211007194954j:plain

待望のシャマラン最新作!
かれこれ10年くらい前にシックスセンスを観てからシャマランのファンですが、映画館で新作として観たのはスプリット、ミスターガラスに続いて3作目。
前の2作が個人的にあまり興味のないヒーローものだったのもあり、劇場鑑賞したシャマラン作品では一番好きでした。

とりあえず冒頭のご挨拶で笑いました。なんなんだこいつ。可愛いかよ()。

さて本編ですが、毎度奇妙な設定の面白さで楽しませてくれるシャマちゃんですが、今回は老いるスピードが速くなるビーチというなんかノーラン感のある設定。
ノーランに比べて色々ツッコミどころがあるのを無理矢理な説明セリフでなんとか押さえ込もうとしているあたりとても可愛いです。

しかし、この設定によって登場人物がどんどん成長し老けていく描写は絵的に面白いし、設定を駆使した嫌な死に方とかもちょいちょいあって面白かったです。
特に洞窟のシーンのアレとかはトラウマもの。グロい場面すべてはっきり見せずにどうなったのか示す撮り方も上品で良いですね。
また、本作はシャマランには珍しくエロもあります。
といってもエロもまたおっぱいポロリみたいな直接的で分かりやすいものではなく、抑えていつつ奇妙にフェチっぽい描写なのが良かったです。

ストーリーに関しては、先に言ってしまうと終盤は蛇足に思えてしまいました。
シャマランといえばどんでん返しという世間の間違ったイメージに応えようとしてか、なんだか取ってつけたようなオチがついています。
これが凄い微妙なんですよねぇ......。
それまでの話とはジャンルが変わる、テーマが変わる......というのもあるんだけど、もっと根本的に映画からテレビドラマに変わったみたいな安っぽさが急に立ち現れて残念な限り......。
迷走期以外はホラーやスリラーのみを撮り続けてきながら、持ち前の優しさから決して純粋なバッドエンドを描かなかったシャマランですが、今回はそれが悪い方に出てるように感じてしまいました。

ただ、そこに至るまではめちゃくちゃ良かったんですよね。
両親と姉弟から成る主人公たち家族は最初から分かりやすく問題を抱えていて、それがビーチでの現象をきっかけに表面化しつつ他の客たちも何か訳ありな感じを徐々に出してきて......という、人間ドラマ、特に家族ドラマを淡々と、しかし丁寧に描く筆致は俺たちの好きなシャマラン節!
今回はそこに"老い"というテーマを加えることで、死への恐怖と人生の尊さを一つに重ねて描き出す、恐ろしくも優しい哲学スリラーになってるんすよね。
また、いつものサラッと流れすぎてユーモアなのかどうか気付けないレベルのユーモアも健在。
いつものように気持ち悪いシーンにこそそういうユーモアが入ってて、ビビりつつもかなり笑っちゃいました。
そして、個人的にクライマックスだと思ってる夜の場面ではもうギリギリ泣いてないくらいまで涙腺がうるうる来ちゃったんだけど、そっから前述の蛇足な結末へ入っていくことで潮が引くようにすぅ〜っと醒めてしまいました。

ちなみに主演の姉弟(青年期)はそれぞれ『ジョジョラビット』『ヘレディタリー』という大好きな映画に出てて印象的だった若き俳優たちで、前作のアーニャちゃんといい絶妙にエモいキャスティングしてくるあたり好きですね。

そんな感じで、いつも の悪い癖が出ちゃってるところもありつつ、全体には非常に面白く、かつ考えさせられる作品でした。
また、リゾートという舞台や、中盤の卒業式に関するセリフなど、コロナ禍を念頭に置いているような部分も多々見受けられるのも感慨深いです。
このご時世だからこそ映画ファンにちょっとでも癒しと息抜きを......という、シャマランなりの映画愛とファンへの愛を堪能しました。

スピッツ『花鳥風月』今更感想。

めちゃ久しぶりになってしまいましたが、スピッツ今更感想シリーズ!


1999年発表の、B面曲や提供曲のセルフカバー、インディーズ曲などを集めた「スペシャル・アルバム」の1枚目です。
本当かどうかは知りませんが、日本で初のB面集とも言われています。スピッツらしい天邪鬼さだと思うし、B面曲も大事にしてくれてファンとしても嬉しい限り。
実際、本作は決して捨て曲の寄せ集めではなく、スピッツのA面曲では見られない一面が見られる名盤になってます。

アルバムとしてのコンセプトのようなものはあまりないので内容については特に触れませんが、本作はジャケ写が最高なんすよね。
『フェイクファー』と並ぶ2大童貞を殺すジャケ写。もちろん私も死んだ童貞の1人です。
そして我が家にある『花鳥風月』は歌詞カードかCDケース本体にくっついたブックレットみたいな形になっててそこも含めて装丁が好きです。

ちなみにこの度インディーズ時代のミニアルバム『ヒバリのこころ』の全収録曲を本作にくっつけた『花鳥風月+』がリリースされましたが、その全曲について書いてると卒論くらいの長さになってしまうので、『ヒバリのこころ』収録の6曲については項を改めることにしようと思います。



では以下各曲の感想。




1.流れ星

昔は地味な曲という印象しかなかったのですが、最近歳を取ったせいかじわじわと沁みてきてる超名曲です。

元はもっと激しい曲調でインディーズ時代からあった曲で、辺見えみりに提供した後にスピッツ本人がセルフカバーしたという紆余曲折のある曲。


穏やかで物悲しいような、でも温かみも感じられるイントロからして、スピッツには珍しいくらい重厚なバラード。
しかしピアノや弦とかは入ってなくてバンドの音だけなのがシンプルにカッコいい。
イントロが終わると一旦消えて、「作りかけの大きな街は〜」のあたりで入ってくるベースの、入ってき方が好き。


そんでこの曲はなんといっても歌詞だよね。

流れ星のように儚く刹那く消えていった恋人へのラブソング。
独特のわけわからん言い回しながらも、描かれている内容はとてもシンプルで、わけわからん言い回しだからこそ胸に突き刺さります。
私の好きなエッセイスト(歌人)の穂村弘が詩に大切なのは「共感と驚異」と言っていて、スピッツの歌詞、特にこの曲なんかは、見たことのない表現(驚異)を使って、胸を締め付けるような(共感)内容を謳っているあたり、素晴らしい詩だと思うんです。
全ての行にいちいち泣きそうになりますからね。いらない単語がない。全ての言葉が美しく、切なく、儚い。もちろんスピッツの歌詞どれもそうなんだけど、特にこれは。

「造りかけの大きな街」という言葉に溢れる諦念、「分からない君の言葉包み紙から取り出している」というフレーズは悲しくも愛おしさに満ち溢れていて、君をどれだけ大切に思っているかが伝わってきます。

君の心の中に棲むムカデにかみつかれた日
ひからびかけていた僕の 明日が見えた気がした
誰かを憎んでたことも 何かに怯えたことも
全部かすんじゃうくらいの 静かな夜に浮かんでいたい

というところがスピッツの全歌詞でも最上級にエモい。
私もムカデにかみつかれたあの日のあの光景を一生忘れないと思うので......。
この歌詞のエモさを際立たせるように、珍しくメロの部分で転調しているのも沁みますよ。

転調といえば、ラストのサビでもさらに転調してて、地味にめちゃエモい構成になってるんですよね。あとカラオケで歌いづらい。

本当の神様が同じ顔で僕の窓辺に現れても

という、何か絶対的なものへの不信感と、それに対して「君への気持ち」という宇宙の中ではとても小さなものを愛でる感覚が草野節ですよね。



2.愛のしるし

この曲もセルフカバー。
オリジナルのPUFFYバージョンは誰もが知るくらいの有名曲。
私もスピッツファンになる前からPUFFYの方で知っていたので、「これ奥田民生じゃないんだ」とびっくりしたのを覚えています。
でも人には「この曲スピッツが書いたんやで」ってドヤ顔で言ってしまいます。

オリジナルはロックサウンドながらポップ感も強いですが、スピッツverはかなりロック寄り。
イントロからして印象的なベースのリフと小気味良いドラムのリズムとクソかっけえギターのジャッジャッでブチ上がります。

サビでは一瞬ギターで超有名曲のフレーズがモロに引用されていたりと、セルフカバーという成り立ちだからこそ、普段よりもこだわりを緩めて遊び心が詰め込まれている気がして好きです。
遊び心といえば、この曲はMVもかなり遊んでますよね。メンバーがコスプレして美女に弄ばれる(?)なんてのはセルフとはいえカバーならではじゃないかな。

そして、自分では歌わない前提で女の子に歌わせるために書いた

ヤワなハートがしびれる
ここちよい針のシゲキ

という可愛くてちょいエロい歌詞を草野が歌うのに思わず笑っちゃうと共になぜかPUFFYより可愛いと思ってしまうのはファンの欲目ですかね?(そうです)

愛のしるし」とはタトゥーのことらしいですが、「ここちよい針のシゲキ」ってのはあるいはえっちな意味にも聞こえるし、あるいは恋をした時の気持ちのようにも聞こえます。

嬉し泣きの宝物
何でもありそうな国で ただひとつ

というところが好きです。
スピッツの歌詞で「国」という言葉が出てくる時って、「誰もさわれない2人だけの国」とか「ラクガキ王国」みたいに、ホントの国ではなく「ここではないどこか」を表すことが多いと思うんですが、この曲では珍しくそのまま日本のことだったり。
ずっと後年になってからは「遠吠えシャッフル」なんかがありますが、この時期のマサムネがここまでストレートな言葉遣いをするのはやはり提供曲ならではかな、と。
そして「何でもありそうな国」と、「ただ一つ」との対比はスピッツらしい。
思えば針もシゲキもトゲトゲしたものなのに描かれる世界は可愛らしいというのはまさに「とげまる」ですしね。

スピッツらしさとスピッツらしくなさが同居した名曲だと思います。


3.スピカ

「楓」との両A面。
スピッツの曲の中でもファンの間では屈指の人気曲。
もちろん曲自体めちゃくちゃ良いんですけど、私見ですが、バンド名にも似た『スピカ』というタイトルもまたファンには特別な感じがして人気に拍車をかけている気がします。

冒頭のノイズ音からしてもうワクワクしちゃって、シューゲイザー"感"のあるイントロからして優しくも力強い印象。
ドラムとベースもズンズンと重い音で地に足つけて歩んでいるような感じで、バリバリなロックサウンドなんだけど聞いてて安心感があります。
メロディに関しても起伏が激しすぎず、しかしもちろんめちゃくちゃ美メロで、地味だけど名曲と呼ばれるのがわかります。

歌詞もまた昔のスピッツには珍しく幸せについて歌った安心感のあるもの。
といっても、安易にハッピーサイコーイエーってならないのがスピッツ流。

幸せは途切れながらも続くのです

というフレーズはスピッツでも屈指の勇気をもらえる歌詞。感動をありがとう!な歌詞。
苦しみを経ての幸せ、長くは続かずにまた途切れるかもしれない幸せ。でもだからこそ今の幸せが尊いし、時に途切れることがあってもまた続くんですよね。
私は基本的には早めに死にたいタイプだしあんまり押し付けがましい応援ソングは嫌いなんですけど、この曲くらいの慎ましいキレイゴトには前向きなエモになってしまいます。
というのも、たぶん私自身が去年までの坂道のピークを超えて今は幸せを感じることもできる時期に入ったからだと思いますが。

やたらマジメな夜 なぜだか泣きそうになる

古い星の光 僕たちを照らします
世界中 何も無かった それ以外は

セックスを暖かく真面目に描いた歌は好きで、例えばアジカンの「架空生物のブルース」とかインディゴの「ダンスが続けば」とかが私の中ではアンセムなんですけど、この曲もその一つ。
幸せを噛み締めるようなやたら真面目な夜、あの遠い星が産まれた太古の昔から続く人類の愛の営み......なんて説明すれば陳腐だけど、春の夜空の星を見上げながら、スピッツにしては壮大な物思いに耽っている曲。
こんな歌があるからなんか生きていけるんだと思います。




4.旅人

「渚」のカップリング。

ミスチルアンチのスピッツファンなので「ミスチルにも旅人ってあるけどスピッツのがええやん」と思ってましたが、Wikipediaで調べたらミスチルの桜井の方からスピッツに「同じ旅人ってタイトルでどっちが良い曲書けるか勝負しようぜ」って持ちかけてきたらしいっすね。まぁその話がほんとかどうかは知らないけど、なんにしろスピッツ先生の大勝利ですわ。

冒頭短いドラムとベースの音が入りつつほぼ歌始まりで美しいサビのメロディが歌われます。この、旅人に〜〜↑↑の伸びがエゲツない。絶対カラオケで歌えない!
んで、そっから極端に言えば能天気と言っても良いくらいのウキウキするようなイントロとAメロに入ります。
Bメロではやや切なさも混ざりつつ、一旦Aに戻って2往復するところのウキウキと切なさの緩急の付け方が良いですよね。
また、2番ではAメロのバックがベースメインになってまさに「ぐったり疲れた」感じが出てて、そっから大サビ前の「おぉいえぇ〜!」でのぶち上がりまで、やっぱり緩急の付け方が良いっす。

歌詞の方は、これはシンプルに受け取ってよければ失恋したけど頑張ろう的な感じですかね?
というか、君を忘れよう!と決意してるような、でもわざわざ決意を歌にしちゃってる時点で忘れられてないよねみたいな、そういう強がりの歌なんだと思います。

バッサリ切られてなんでそーなの 俺だけが
頭ハジけて 雲のベッドでフテ寝して

というあたり、軽めの失恋の時にありがちな感じで面白いですよね。
「ランデブー」「カンガルー」みたいな軽めのカタカナ言葉で微妙に韻を踏んでるあたりもそれこそ不貞腐れてる感じが出てて面白いです。




5.俺のすべて

「ロビンソン」のカップリング。

これもサビ始まり。
表面上はおよそスピッツらしからぬ(強がってる感はむしろめちゃスピッツらしいけど)「これが俺のすべて〜」のインパクトはなかなか。
そっからこの曲もやっぱりAメロBメロあたりはやや能天気に聴こえるところからのサビやCメロの綺麗さや切なさへのギャップが良いです。旅人と同じことしか言ってないですけど。
あと、間奏の終わり方がカッコいいですよね!ライブではここで崎ちゃんがワンツーカウントするのも凄く気持ちいい!
ライブといえば、ライブでは本編ラスト付近で演奏されることが多く、マサムネがハンドマイクにタンバリン持って歌うのがカッコよく可愛いです!
アウトロの、どんどんギターソロが激しくなりながら最高潮のところでフェードアウトしてくところが好きです。なんか昔の歌謡曲っぽくて。

歌詞は小さい犬ほどよく吠えるみたいな感じ。

燃えるようなアバンチュール うすい胸を焦がす
これが俺のすべて

と、なんかよう分からんけどカッコつけたことを言っておきながら、

真夏よりも暑く 淡い夢の中で
何も知らないお前と ふれてるだけのキスをする
それだけで話は終わる 溶けて流れてく

と、Cメロでは何やら夢オチっぽいことを言い出して、

山のようなジャンクフーズ 石の部屋で眠る
残りもの さぐる これが俺のすべて

と引きこもりくさい結末へ......。
俺のすべてとか強いことを言っときながら結局こうなっちゃうあたりめちゃくちゃスピッツって感じで良いっすよね!

俺の前世は たぶんサギ師かまじない師

というところが個人的には一番ツボです。
言葉で説明するのは難しいけど、この感覚分かる気がしますね。なんていうか、自分は生まれる前からもう偽物というか、拠り所のない存在だという実感みたいな。
このブログのタイトルに偽物と入れたのはこの感覚から来ているので。




6.猫になりたい

青い車」のカップリング。
「スピカ」と並びこれもファン人気の非常に高い曲です。
ゴースカのファン投票では「殿堂入り」として毎回演奏されることが決まっている唯一の曲でもある、それくらいの人気曲。
地味ではあるけど、切なさや寂しさとあたたかさがあるエモい曲です。

イントロのメロディアスなギターからしてもうめちゃくちゃエモいっすよねぇ。
Aメロは単調な感じのドラムとベースが伴奏になり、Bメロに入るとギターも入ってきつつリズムもちょっとだけ不規則になるところが良いです。
そして、スピッツの曲はどれも楽器が歌を邪魔しない(でも演奏もカッコいい)ものばかりですが、中でもこの曲は、歌がいいんだよなぁ。
例えば冒頭の「灯りを⤴︎......」「消したまま⤴︎......」と、語尾でちょっと上がりながらフワッと消えちゃうところの儚さとか。
例えばサビの「なりたぁいぃ」「いぃたいよぉ」などの伸ばす部分の美しい声の掠れ具合の儚さとか。
結構語尾の伸び方がねっとりしそうな曲だけど、伸びつつもフワッと消えていくので下品さが一切ないのが凄いっす。これHYDEさんとかが歌ったらネッチネチでしょ(いや、好きですけど)。
あともちろん普通にメロディが神。
さらっと歌ってらっしゃるけど、カラオケで歌えないとかじゃなくて脳内ですら歌えないくらいの美メロ。

歌詞はまた妄想の話みたいなんだけど、切実さが強いのでキモい感じではなく、後の『醒めない』期にも通じる別れと再会のようなテーマが見え隠れしている気がします。
とはいえ、それが『醒めない』のような救いのカタルシスを持つことなく、悲しいままで終わってしまうのがこの時期のスピッツ。それはそれで美しくて好きです。

灯りを消したまま話を続けたら
ガラスの向こう側で星がひとつ消えた

という歌い出しからもう、主人公と君の親密で幸福な関係が窺われると共に、「星が消えた」というのが君の死を暗示しているようにしか読めず、たった2行で悲しみのズンドコに突き落とされます。

からまわりしながら通りを駆け抜けて
砕けるその時は君の名前だけ呼ぶよ

というところには、恐らく当時そこそこ売れてきて多忙になりつつもこれからどこへ向かっていけばいいのか悩む草野マサムネの姿をどうしても重ねてしまいますが、そんな空回りしながら駆けている状況で失った君のことを想い続けているのがなんとも切ないっすね。

広すぎる霊園のそばの このアパートは薄ぐもり

というワンフレーズだけで、霊園→死別のイメージ、アパートは薄曇り→主人公の心境・孤独感がヒシヒシと伝わってきます。
言い方が無粋ですが、言葉のコスパの良さが凄いっす。

暖かな幻を見てた
猫になりたい 君の腕の中
寂しい夜が終わるまでここにいたいよ

あえてサビ前とサビの歌詞を一緒に引用してきましたが、サビで歌われる君の腕の中にいること自体が「幻」でしかない、という風に読めてしまい辛いです。

猫になりたい 言葉ははかない
消えないようにキズつけてあげるよ

「言葉ははかない」というフレーズはスピッツの写真集のタイトルにもなった印象的なワードで(てかおっさん4人の写真集なんか誰が買うんだよ!俺か!)、言葉をどれだけ費やしても伝えられないものだったり、言葉で伝えてもすぐに消えてしまうということ、だから消えないようにキズつけてあげるよっていう、これはもうエチエチですよね。エチエチとか言ってごめんなさい。でもエロっすよ、消えないようにキズつけてあげるよ、は。

余談ですが、言葉ははかないから、言葉を話せない猫になりたい、というこの曲の歌詞の内容を踏まえたindigo la Endの「猫にも愛を」という曲も切なく孤独で暖かい名曲です。この曲のファンの方にはぜひ聴いて欲しいっす。




7.心の底から

口笛の音とブイブイしたベース、さらにホーンの音まで入ってどうしちゃったのってくらい陽気で楽しそうな曲。
たぶん、スピッツでも1番能天気な曲なんじゃないですかね......。

シングル「裸のままで」のカップリングということで、『Crispy!』期の売れようともがいているスピッツの様子が伝わってくるような、売れ線っぽい(そして狙いすぎてて全然売れそうにない)曲ですね。
そういう下手に狙ってる感が嫌で、実は昔からあまり好きじゃなかったんですけど、とは言っても改めて聴いてみると良い曲ではあるし、ブレイク前のバンドの苦悩と試行錯誤の跡を感じられるという意味でも貴重な一曲だと思います。
特に、口笛の後にギターが合いの手みたいに短いフレーズを弾くところが好きです。

歌詞もまた売れ線を狙ってか奇妙なことになってて。
1番はスピッツとは思えないような、小っ恥ずかしいくらいフツーなもの。

心の底から愛してる 今でも奇跡を信じてる
天使のパワーで 悪魔のパワーで
取り戻せ ありふれたストーリー

「愛してる」「奇跡」「ストーリー」と、サビだけでJ POP激ダサ歌詞ワードベスト10のうち3つまでも取り揃えたヤバヤバJ POPなんすよね。
ちなみにベスト10は他に「未来」「夢」「明日」「虹の橋」とかですね。

ただ、2番からはスピッツらしい奇妙奇天烈な表現も出てきます。

陽の光まぶたに受けて真赤な海で
金縛りみたいに ごろごろもがいてる
とばせ!魂を 高い柵の向こうまで
白い小さな花になる いつかは

というところなんかは、私の心が汚れているからなのかも知れませんがオナニーのことにしか聴こえません。
そうすると、

銀河のシャワーを バベルのタワーで
吸い込め 涙のグローリー

というところも泣きシコっぽい感じがしちゃいますね。雰囲気でしか分からないけど、銀河のシャワーの恍惚感やバベルのタワーの背徳感はきっとそういうことでしょう。
そうすると、激ダサJ POP的な表現を使って片想いのあの娘を思って泣きシコする様を描いたロックな曲だと言えるかもしれません。




8.マーメイド

「惑星のかけら」のカップリング曲。
そう言われて聴いてみると、あの時期のハードめなロックとぼや〜んとした歌のギャップがこの曲にもありますね。
しかしカップリングということで遊んでるのか、冒頭からスティクスの「ドモアリガトーミスターロボット」のパク......オマージュで始まります。
それがカタカナで聞こえるオマージュ元と反対に「どもありが〜とみすま〜め〜ど」とひらがな表記にしか聴こえない気の抜け方がさすがっすよね。
そんな歌のゆるさに対して「世界の真ん中で〜」のところの後のギュイーンっていうギターとか、ところどころで一瞬激しいのが入ってくるのが気持ちいいですね。
あと、イントロの印象的なリフがサビとか間奏の前半とかでも出てくるのも気持ちいいし、間奏後半のギターソロもカッチョよい!
でも歌は最後までゆるい!ギャップ萌えですね。

歌詞は一夏の恋みたいな感じ?
それ以外そんなに言うべきこともないんですけど、

カラカラだった魂に水かけて
不死身のパワーを僕に注ぎ込んだ

生まれた意味をみつけたよひとつだけ

というあたりの、基本は生きてる意味ない派みたいな言い回しに共感できます。

この曲を聴くといつも中学生の頃、合宿で行ったビーチで一緒に砂のお城を作っていた時にはじめて好きな子の胸の谷間を見たことを思い出します。




9.コスモス

日なたの窓に憧れて」のカップリング。

個人的にこの曲はスピッツの全曲の中でも特異な立ち位置にあると感じます。

それはやはり歌詞のせいで。
スピッツの曲には詩を描いたものが多いですが、その中でもこの曲では唯一、「君が生きてたなら」と、比喩ではなく直接的に死を表現しています。全曲の中で一曲だけストレートに死が描かれることで、やけに深刻さを感じてしまいます。
仮タイトルは「ベルモンド」で、ジャン=ポール・ベルモンドが死ぬ映画にインスパイアされたそう。そのベルモンドも本当に亡くなってしまいましたね。

ささやく光 浴びて立つ 君を見た秋の日
さびしげな真昼の月と西風に
揺れて咲くコスモス 二度と帰れない

というサビの歌詞がスピッツには珍しくかなり写実的で、その光景の中に今はもう君がいないということが喪失の大きさを感じさせます。

鮮やかなさよなら 永遠のさよなら
追い求めたモチーフはどこ
幻にも会えず それでも探していた今日までの砂漠

「今日までの」という一言で後追い自殺を示唆していて、どこか崇高さすらある恐ろしさを感じます。

サウンドも歌詞にばちこんと合っています。
くぐもってぼんやりとした感じの音に白昼夢のような幻想味があって、音の少なさが喪失感を掻き立てます。
間奏は「宇宙虫」あたりを連想してしまう壮大ささえあり、走馬灯を見ているようなイメージです。
メロディも最初は淡々として抑揚がないところから、サビで徐々に起伏が出てきてサビの最後の「二度と帰れない」で頂点に達する感じがエモいです......。

正直あまりの辛気臭さに昔はあんまり好きじゃなかったんですが、大人になってから聴くとめちゃくちゃ良さがわかってきちゃってつらい曲です。




10.野生のチューリップ

インディーズ時代からある曲で、アルバム『名前をつけやる』のアウトテイク。

「コスモス」の後からインディーズ曲コーナーに入る曲順がエモいっすね。

まずイントロが「君は天然色」の陰気バージョンみたいな感じで面白いです。
テンポがよくて音だけ聴いてる分にはるんるんるんとテンション上がっちゃう感じの楽しげな曲とも言えそうですが、歌詞を見るとやっぱり暗そう......。
というか、たぶんこれも後追いの歌ですよね......?

夜空にいつもの星が見えない
ポケットに破れた地図をつめ込んで

という歌い出しからして、君を喪って行き先を見失ってますよね。

スズメのざわめき かためた木々も
野良猫 サカリの頃の歌声も
紛々に砕かれて ここには何もない

「スズメのざわめきかためた木々」「野良猫サカリの頃の歌声」がそれぞれ何かこう、生命力のようなものを表すモチーフだと思います。それが粉々に砕かれてるわけですからね......。

いますぐ行くよ まわっているよ
いますぐ行くよ 壊れた時計の力で

スピッツでお馴染みの輪廻のモチーフ。壊れた時計というのも分かりやすいですね。
そして、最後が「さよなら さよなら......」の連呼ですからね。完全に逝ってますね。

恐ろしいのが、この曲実は女性シンガーへの提供曲であるらしいこと。人にあげるならもうちょい穏当な曲がなかったのかよ、と思っちゃいます。




11.鳥になって

魔女旅に出る」のカップリング。
これもインディーズ時代からある曲で、古いバージョンをどこかで聴いたことがありますがまぁ酷かったですね。
それに比べればだいぶマシになっているとはいえ、3枚目のシングルのカップリングですから相当古いことには変わりなく、やっぱり今と比べるとだいぶ酷いです。
しかしそれも味!

ジャッジャッっていうギターのイントロからデンデケデンデケデンデケデンデケっていうノリノリなベースで飛び跳ねたくなっちゃうシンプルなロックナンバー。
テンポがいいので短い印象でしたが実は5分以上あります。最後の「鳥になって〜鳥になって〜」の繰り返しがやや長いんすよね。でも、「なって〜」のところの歌い方が実はめちゃくちゃ可愛いので長くても許せちゃいます。

そして歌詞!
ノリノリな曲調からてっきり「鳥になって大空へ羽ばたくぜ!」っていうワタリドリっぽい感じかと思いきや、まさかの他力本願!!鳥になるのお前ちゃうんかい!!と全スピッツファンが突っ込んだことだろうと思います。
スピッツの歌詞でいわゆる男らしいものってのもないんですが、この曲は中でもなよっててムカつくくらい(同族嫌悪)。てかまぁ言ってしまえばヒモの歌ですよね。

ああ 覚悟ができないままで
僕は生きている
黒いヘドロの団子の上に棲む
笑い話じゃないね

「死とセックス(ドヤァ)」とか言ってても現実の自分は覚悟ができないまま中途半端に生きながらえている醜い存在なんすよ。
死がどうのこうの言うなら死んじゃえばいいのに!っていう。でもそれができないやるせない現実!!
あまりに等身大のダメ男ソングすぎて(好きなんだけど)聴いててイラッと来ちゃいますね。



という感じで、『花鳥風月+』ならぬ『花鳥風月−』の感想でした。
残る『ヒバリのこころ』部分についてはまたいずれ......。