偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

シソンヌライブ[quatre]雑感


まだまだ観てます。4作目。

シソンヌライブ [quatre] [DVD]

シソンヌライブ [quatre] [DVD]

  • 発売日: 2015/09/02
  • メディア: DVD



《収録作品》
聞かないでくれよ/しつけ/俺の袋/大学デビュー/ことわれない女/人間してる/ お父さんと美和子/企画会議/自由研究/先生と野村くん


前作がトータルでの完成度があまりにも高かったので、比べてしまうとやや落ちる気はしてしまいますが、それでもそれぞれのお話はしっかり面白かったです。
今回はわりとストーリー性よりも実験性というか、シチュエーションやキャラのシュールさとかで魅せるタイプのコントが多くて、そこは新鮮でもありましたね。



「聞かないでくれよ」

いきなりこれですからね......。
私の好きな漫画で阿部共実先生の『空が灰色だから』ってのがありまして、なんとなくですけどそれを思い出しました。ぶっ壊れてしまった人間がわけのわからないことを言い続けるんだけどそこに切実な悲哀があるところとか、最後まで結末がハッピーかバッドかどっちに転ぶか分かんないところとかですかね。
じろうちゃんほど演技派ではない長谷川さんがあの役をやることで一層ヤバみが出てるというキャスティングも凄いです。


「しつけ」

これもホラー風味というか、世にも奇妙な物語的な。奇妙な理屈への不気味さや苛立ち混じりの面白さが、最後に思いがけない展開を迎える......というオチも見事にキマってます。


「俺の袋」

「俺ってコンビニの袋どうしたっけ?」「あれ、持ってなかったことね?」
たったこれだけの内容を、それ以上は何も加えずにここまで展開するのが凄すぎます。脚本的にも演技的にも。
終盤なんかもはや『ドグラ・マグラ』でも読んでいるような眩暈感さえ感じさせられますからね......。


「大学デビュー」

デビュー前の姿を想像させつつもしっかりデビューしちゃってる状態がしっかり表現されていて演技うめえなと思います。
瀬戸際なんだけど真似したくなるキャッチーさがあるのも凄いっすね。オチも痛快さすらあって好き。



「ことわれない女」

「ダメ〜っ好きになっちゃう!」とか「ばばあの罠だ!」とか、じろうちゃんはキラーフレーズを生み出すのが(言葉そのものも言い方も含めて)めちゃくちゃ上手いと思うんだけど、これもそんなキラーフレーズ1本で押し切ってるお話。
ほぼ悪ふざけみたいなネタなんだけど、彼らの悪ふざけならずっと見てられますね。



「人間してる」

タイトルは「人間してる」だけど、それよりも「いくらですか」でめちゃくちゃ笑ってしまった。もはや言ってしまえば内容は別にそんなに面白くないんですよ!ただ、「いくらですか」の言い方だけで無限に爆笑してしまって笑いすぎて食べてたご飯が完全に逆流して鼻から米粒を吹き出す人になりました。鼻を噛むと米が出てくるのめちゃくちゃ面白かったです。まったく関係ないけど。



「お父さんと美和子」

音楽に詳しくないから分かんないけど絶対なんか元ネタがありそうな、絶妙にいそうなSSWのキャラが素晴らしいですね。
......いや、さらっと流そうと思ったけど、これって矢野顕............。
よっぽど好きなんでしょうね、きっと。
なんというか、完全にバカにしてるようにしか見えないのにリスペクトも感じるオマージュの仕方が凄いです。



「企画会議」

シソンヌってあんまり下ネタ多くないけど一本のライブに1ネタくらいありますよね。
シソンヌの下ネタって、うんこちんちんおっぱいくらいの生々しくないというか小学生レベルのばっかだから馬鹿馬鹿しくも下品にはならないちょうどいい塩梅なんですよね。
とりあえず、「おちんちん」の言い方が一番面白かったです。



「自由研究」「先生と野村くん」

ついに明かされる野村くんの家庭環境......。いつもラストは泣ける話ですが、これもその系譜。あとこれってここまで観てきた中で初のモニターを使ったネタかも。なかなか悲惨なんだけど最後は救いがあって良かったです。



そんな感じで今回も面白かったっす。あと特典の金沢観光も面白かった。ネタ以外の時の2人を実は見たことなくて、当たり前だけどじろうちゃんって普通に喋るんだなとびっくりしました。