偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

ラーメンズ第14回公演『Study』



収録内容
Study/ホコサキ/QA/科学の子/地球の歩き方/いろいろマン/金部


「学習」をなんとなくのテーマにした第14回公演。
今回もミステリっぽい話はなかったけど、全体に「雰囲気は知的な感じ醸し出そうとしてるけどやってることはアホ」という方向で作り込まれていて(まぁいつもそんな感じとも言えるけど)面白かったです。

以下各話の感想。



「Study」

真面目な雰囲気で引っ張って引っ張って、ある一言の意外性でドカンと爆笑させる技法はミステリにおけるどんでん返しにも近い快感があります。
コントや漫才ではよくあるっちゃよくあるシチュエーションと、ラーメンズらしい詭弁的ロジックとのギャップに萌えます。
状況設定が明かされてからは小林さんのセリフが全部面白く感じてしまうからずるいっすね。
あと最後の方でパントマイム上手えなと思いました。



「ホコサキ」

パターンをループする系の話で、最初の数回は面白いんだけどだんだん冗長に感じられてしまいます。
反復からの変化の付け方が微妙なものばかりで、全体にほぼ一本調子で続いて大きなオチもなく終わるからってのもありますね。
ホコサキさんという設定(?)自体は好きなので、もうちょい話に広がりがあると良かったかも。



「QA」

天からのQに地上の片桐さんがAを返していく話ですが、一口にQ&Aと言っても、質問と答えだけでなく連想ゲームや大喜利のお題とボケみたいなものも混ざってきて、そういうものたちが連綿と繋げられていく様が気持ちいいですね。
これもQに対してAを繰り返すと言う点では「ホコサキ」と同じ反復系なんだけど、細かい笑いの量が比じゃないから面白かったです。



「科学の子」

サイエンスくんの見た目のアホくささがヤバくてほぼ顔芸なんだけど内容もくそしょーもなくて面白かったです。
やたらと知識のひけらかしっぽい脚本を書いちゃう小林賢太郎が可愛い......くらいの境地には、にわかのくせにもうなりつつあるので、そんなところを楽しみつつ、いい話になりそうでしないひねくれたところも可愛いですよね。



地球の歩き方

我々にとって当たり前の物事を、外からの視点で部分的にだけ切り取ってヘンテコなモノに変えてしまうという知的な着想がもう好きです。サブカル系オタクには堪んないっすよねこーゆーの。国技のくだりなんかかなり笑いましたね。
本作ではこれが1番好きかもしんないっす。



「いろいろマン」

今回ギリジンが出てこない代わりに......なのかどうかは知らんけど、サイエンスくんといいいろいろマンといい、片桐さんが出オチみたいなビジュアルのキャラばかりやらされていて不憫になってきます......。
「ホコサキさん」にも通じる、慣用句とかの言い回しをおちょくるネタなんですが、正直いろいろマンの方がホコサキさんよりキャラの魅力が強いのでこっちのが断然面白いです。
彼は彼で一本筋の通った求道者なのかと思えば急にただの変態おじさんになったりするところも笑います。なんだこいつ。



「金部」

タイトルだけ見て何のことだろう?と思ってましたが、金の部活で「金部」という想像以上にストレートなタイトルだったと知って笑いました。
知的な小林さんとアホの片桐さんという2人の凸凹っぷりがキャラとしてめちゃくちゃ魅力的だし、知的とは言いつつ結局は大学生特有の阿呆な世界で生きているあたり、森見登美彦とか好きなのでめちゃハマりました。本作で2番目に好きだしキャラは1番好き。
なんか、大学生が天職だったと思いながら余生を生きる私にはとんでもなく眩しかったです。あの日に帰りたい。