偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園(2021)


カスカベ防衛隊の5人は、全寮制のエリート学校・天カス学園に体験入学することになる。学園では生徒たちがポイントで管理されており、体験期間中にポイントを貯めるとそのまま入学できるという。エリートを目指す風間くんはポイント稼ぎに躍起になるが、やがて他の4人との温度差が生まれていく。そんな中、学園の時計塔では生徒のお尻を吸って知性を奪う吸ケツ鬼が暗躍し......。


ロボとーちゃんに続いて主にミステリ界隈で話題になったしんちゃん映画。前から気にはなっていたんですが大学の後輩に勧められてようやく観ました。

ミステリだとばかり思って観たんだけど、色んな要素が入ってるしオリキャラもたくさん出てきてガチャガチャした賑やかさがあって楽しかったです。
生徒が点数で管理されて点数が高いほど優遇される学園の設定はモロにディストピアSFで、しかも今の日本の暗喩みたいになってて、滑稽に描かれてはいるけどなかなかつらいものがあります......。
吸ケツ鬼の正体を追う過程は「犯人は現場に戻る」みたいなミステリ格言も飛び出て、がっつり容疑者の洗い出しや事情聴取も行われるミステリっぷりでびっくり。その解決もおバカ伏線とおバカトリックがしっかりあって、そうきたかと唸らされました。島田荘司っぽい物理トリック(?)も好き。

そして、ミステリとしての解決の後でクライマックスが青春映画!
正直に言うと終盤までオリキャラの多さがちょっと疎ましく思ったりもしてたんですが、それも青春の多様性を描くために必要だったと思い知らされて恐れ入りました。
そしてオリキャラが多くごちゃついてる中でも風間くんとしんちゃんの友情というシリーズものとしての軸があるので後味スッキリなのも上手いっすよね。
私はそんなに一生懸命テレビシリーズを観てるわけでもないんだけど弟がなぜかめっちゃしんちゃん好きで反抗期の時ですらしかめ面しながら毎週観てたのでそれなりに思い入れもあります。中でも風間くんの生真面目だけど1番バカなところが好きなので、本作はそんな風間くんの魅力がガンガン出てて良かったです。
なんと言っても終わり方が良すぎる。こういうファミリー向けのアニメ映画であの終わり方するのカッコよろしすぎるわよね。
あと風間くんの次にまさお推しなんだけど、あいつの調子に乗り方も凄くて爆笑した。