『昼顔』を観たのでせっかくだからとルイス・ブニュエル2本立てでこれも一緒に観ました。
ブルジョワたちのご一行が食事をしに友人宅やレストランを訪れるんだけど何故か毎回いろんなトラブルによって食べられない......という一連のくだりが繰り返され、その合間に出会った人たちから聞く奇妙な話(主にゴーストストーリー)が挿入され、後半はほとんど夢オチばっかになるという、まぁ変な映画。
全体の筋みたいなものはあんまりないんだけど、起こること全てがヘンテコでなんかよく分からないんだけど面白いってのが凄かった。
とにかくずっと飯が食えない!という状況は私だったらブチギレてるけどブルジョワの皆さんはあっけらかんとしたまま場面が変わって翌日になったりしてるのは、なんかトムとジェリーであいつら何回も死んでる(?)のに次の場面では元気に復活してるアレとかを彷彿してじわじわと笑えてしまった。
しかし良いもの食ってるし良いものを食ってるという事実を消費してるのであってお腹空いてるから食べてるわけじゃないみたいな揶揄にも感じられて面白かった。
あと、食事はまだしもセックスしようとするたびに友達がやってきて全然セックス出来ないのはさすがにイラついてて笑う。
そしてかれらは食事にありつく代わりに何故か行くところ行くところで変な奴に出会って変な話を聞かされる。
母の幽霊のお話とか、女の子の幽霊のお話とか、なぜかみんな幽霊絡みの話ばっかなのが「飯食えない」とのギャップで不気味だけどまた笑えるんですよね。しかも幽霊の話聞いてもすごい淡々としてて怖がりも疑いもしないノリもなんかおもろい。
あと、庭師に憧れる司祭が出てくるんだけどこいつが1番変人でなんかやることなすことみんな笑ってしまったし、最後の懺悔を聞くシーンは面白すぎて変な声出た。ブルジョワもおちょくりながらキリスト教もおちょくる全部が皮肉みたいなブラックコメディ、最高でしょ。
そしてところどころで田んぼしかないような田舎道を良い服着たブルジョワたちが歩いていくイメージ映像(本筋と全く関係ないからマジでイメージ映像という感じなんです)が挿入されるのも訳わからなくて好き。どんなに着飾ってたって人生なんて田舎の一本道みたいに退屈で陳腐なものだという暗喩なのか?
という感じでまぁわけわからんのだけどなんか面白くて、奇妙に印象深いシーンばかりの、アートともバカとも言えるような謎の映画でした。好きです。