偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

若林理央『母にはなれないかもしれない 産まない女のシスターフッド』感想

妻が買ってきたので借りて読みました。


「子供を産まない」という選択をした著者が、同じように産まないことを選んだ女性や、産めなかった女性、産んだけど産みたくなかった女性などにインタビューをすることで子供を産むこと/産まないこと/産めないことといった出産への多様な向き合い方と向き合う1冊。

第1章では著者自身がなぜ「産まないという選択」をしたのかが自身の生い立ちとともに語られるエッセイのようになっていて、本書のメインである第2章では6人の多様なスタンスの女性たちへのインタビュー、そして第3章では文筆家の佐々木ののか氏との対談が収められています。

私自身、男ではありますが子供を作るつもりはなくて、そのこと自体に迷いは全くないのでまぁ本書を読もうが読むまいが子供はいらないんですけど、でも自分以外にもそういう選択をした人、あるいは産みたくても産めなかった人の話を読むことで自分の考え方もより固まりました。特に、産めない人に対する後ろめたさは持っていたので、それに少し折り合いがつけられたので読んで良かったです。
ただ、本書の内容はあくまで著者自身と著者がインタビューした6人の女性たちのケースを紹介したエッセイとかに近いもので、子供を作るかどうかについて考えたことがあれば通る道が多くて考えたこともないような目新しい視点は少なかったかな。
あと、これはただの劣等感ですが、子供を作りたくない人たちの語る理由に仕事を優先したいというのが多くて、バリバリ仕事したくないから子供いらない派の意識低い私としてはちょっと引け目を感じてしまったよね結局。

せっかくなので自分の話をすると、僕が子供を欲しくない理由はだいたい百個くらいあって〜♪なんですが、そもそもシンプルに子供の頃から今に至るまで一度も子供欲しいと思ったことがない、というのがあるんですよね。
その上で細かい理由を挙げればキリがなく、金や時間をとられるのも嫌だし自分に似た性格だったら愛せないと思うし、自分も妻も死にたいと思ってるのでこの世への未練は少ない方がいいし、これから戦争が起きたら嫌だし、子供がいるせいで妻と険悪になるのも嫌だし......などなど。そもそも子供がいる夫婦で仲が悪くない事例を見たことがないしなぁ......。
私からすれば子供がいるのはデメリットばかりだし、本書にもあったけどメリット/デメリットという考え方をしてしまう時点であまり作らない方がいいんじゃないかとも思う。てかたぶん子供いたら虐待すると思うからやめといた方がいい気もする。
という感じで、うちはもう完全に子供いりません!という方向性だし、幸いにも最近は昔に比べると子供いらないと言ってもあーだこーだ言われなくなってきてるのでありがたい。
しかし、本書を読んで思ったのは、いらないとは言ってももしも間違って出来ちゃった時にどうするかまで考えておかなきゃだな、ってことですね。家族会議を開きます。

というか、本書を読書中に世の若者の大半が子供欲しくないらしいっていうニュースを見ましたが、世も末ですね。このままみんなで世界を滅亡させましょうよ。