さて、今年もランキングの季節がやってまいりました。アルバムランキングとかも書いてますが、本に関しては今年はもう読めても短編集かエッセイを数冊くらいかと思うので先にやっちゃいます!
(ちなみに写真は今年食べたパフェベスト1位)
今年の読了本は80冊と少し。仕事と家事と映画もありながらよく読めた方だと思います。
その中から、まずはミステリ編ということで、それではいってみよー!
※ミステリの定義は知りません
10.深水黎一郎『最後のトリック』
「読者が犯人」という奇想に挑むデビュー作。
そのトリック自体は、まぁ、そうだね、という感じですが、物語の作り方や伏線の貼り方などが巧くて読後の満足感は強い作品です。
9.澤村伊智『予言の島』
ホラーのイメージの強い著者ですが、本作は島が出てきてオカルトがテーマだけどホラー味は少なくがっつりミステリ。真相が読めたと思ったところで思わぬところからの意外性にやられました。
8.梶龍雄『鎌倉XYZの悲劇』
幻の作家のややマニアックな作品ですが、これが凄かった!
全ての描写が真相につながるような伏線の量と、最後まで遊び心たっぷりな構成に、なんか久し振りに純粋に楽しいミステリを読んだ気持ちになった新本格以前の新本格風味な傑作です。
7.阿津川辰海『青海館の殺人』
物語面において、前作と比べると前作派であることもあってちょっと評価が低くなっている気がしないでもないですが、とあるテーマをがっつり、ほんとにがっつり分厚いページ数に見合うくらいの熱量で取り扱った力作。
全てが伏線でありつつ物語としての見せ場も多い、腹十二分目の満腹感!
6.三津田信三『忌名の如き贄るもの』
正直、このシリーズへの期待を超えては来なかったな......と思いつつも、衝撃の鋭さではシリーズでも随一じゃないかっていうラストストロークにぶちのめされました。あんま何も言えんけど、このラストのためだけでも必読の価値あり!
5.相沢沙呼『マツリカ・マトリョシカ』
今年インバートが話題になった著者ですが、こっちも凄かったです。
日常と言うには日常離れしているものの、「人が死なないミステリ」の範疇でどこまでガチガチの長編本格ミステリができるか......という挑戦。最初の章から毎章で推理が繰り広げられる多重解決にして、青春小説としてもエモいド傑作です。
4.多島斗志之『白楼夢』
https://reza8823.hatenablog.com/entry/2021/06/01/131938
1920年代の英国領シンガポールを舞台に、過去と現在を交互に描きながら1人の日本人青年と彼が出会う人々を描く群像劇。
多島斗志之らしい「小説が上手い」としか言いようのない地味だけどめちゃくちゃ面白い物語の影に、しっかりミステリとしての意外性もあって、ただただ良いものを読んだと言う気持ちにさせてくれる傑作です。
3.岡崎琢磨『夏を取り戻す』
とある団地で子供が一人失踪してはすぐに戻ってきてまた別の子が失踪して、と言う事件が起きる。
ライトな文体と軽妙なユーモアを交えつつ、企む子供たちと受けて立つ大人たちの攻防を描いた楽しいお話なんだけど、最後まで読むとそれだけではない悲しみやエモさまである傑作。最後の最後の結末だけがやや蛇足に思えてしまいますが、それをおいても素晴らしかったです。
2.小川勝己『彼岸の奴隷』
ミステリ編といいながら、ミステリ部分よりクレイジーでエモーショナルなところで好きなだけなんですけど、もうヤバい刑事とヤバいヤクザが出てきて性衝動と暴力衝動を開放しつつ人肉食ったりする話なので最高でしょ。まぁでもミステリとしての仕掛けもばっちり決まってたのでミステリってことにして推します。
1.山田正紀『妖鳥』
もうこれっしょ。
異界の塔のような病院で起きる、白昼夢のような事件。蜃気楼のような登場人物に、幻影のような主人公。
大好きな怪奇探偵小説が持つ眩暈感を濃密に味わわせてくれつつ、しかし解決は意外としっかり伏線回収してミステリとして解かれます。
ただ、事件が解決したからといって幻想が消えるわけではない、余韻の残し方も完璧。好みドンピシャな傑作でした。
というわけで、今年読んだミステリベスト10でした!
それではみなさま良いお年を!また来年!ばいちゃ!