偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

禁じられた遊び(1952)

太陽がいっぱい』のルネ・クレマン監督作品。
禁じられた遊び』というタイトルがとても良いので観てみました。中身も良かったです......。


第二次大戦中、逃げる途中の爆撃により両親を失った少女ポーレット。死んだ子犬を抱いて1人歩いていると農家の少年ミシェルに出会い、彼の家に住むことになる。
子犬を埋めてお墓を作った2人は、それから十字架を集めて墓を作る遊びに熱中し......。

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冒頭、空襲が続く中を逃げていく人々のシーン、状況をよくわかっていない少女が飼っている子犬を追いかけて駆け出し、そのせいで両親が死んでしまうシーンからしてつらい......。
大人たちが言う死とか戦争とか言うものがよく分からないまま、子供なりに消化しようとしてか墓を作り始め、いつしか墓を作ること自体が目的のようになり、彼らは十字架を盗んだりするようになっていきます。墓を作る行為が彼らなりの祈りのようでもあり、大人たちが勝手にやってる戦争とか、もっと身近な隣の家と自分の家との(主に世帯主同士の)衝突のバカバカしさへの反抗のようでもあって胸を打たれます。
そして隣家とのやり合いのパートも、滑稽に描かれてはいますが、相手が悪いという先入観からロクに話し合いもせず諍いになってしまうのが戦争のミニチュアのようで、反戦のテーマをより際立たせています。

ストーリーに起伏が少なく、映像や演出も奇抜なところはないのでちょっとダレそうな気はしますが、テーマの重さと子供達の素晴らしい演技のおかげで目が離せない作品になってます。
突き放すような結末も切ない......。(ネタバレ→)けど、てっきり彼らも戦争で死んじゃうのかと思ったので途方に暮れても生きているだけで絶望的ではない気もしてなんとも言えぬ余韻がありますね