偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

アメリカン・ユートピア(2020)


Taiking Headsのデイヴィッド・バーンが2018年に発表したアルバム『American Utopia』。
そのアルバムを元にしたブロードウェイでのショーをスパイク・リー監督が映画化した作品。


私はデイヴィッド・バーンってTalking Headsの『Remain In Light』しか聴いたことなかったんだけど、こないだ伏見ミリオン座に行ったら爆音低音上映やるって書いてあって気になっちゃったんですよ。
でも夜遅い時間でなかなか行けなそうだったので、悔しくて代わりに実家で親が留守の隙に1人で爆音低音上映してきました!
なので知ってる曲も『Remain〜』に入ってる2曲しかなかったけど、曲知らんくてもめちゃくちゃ楽しかったです。

いきなり脳みそ持って「脳のここの部分はなんちゃら」とか言いながらはじまる1曲目の「Here」からもうなんじゃこりゃという感じ。
グレーのスーツに裸足で揃えたデイヴィッド・バーンさんとミュージシャン、ダンサーたち。楽器は全部ワイヤレスで、ギターやベースはもちろんですがピアノやドラムもマーチングバンドのように持ち運び、フォーメーションダンスのように踊りながら演奏するパフォーマンスがとてもカッコよくかつ楽しく、こんなんそりゃ曲知らんくても楽しいに決まってるわ......。
生だと舞台を正面から見ることになりますが、映画なので俯瞰のショットとかもあり、上から見ると演者の配置が幾何学模様のデザインのように美しくて、こういうアングルから見れるのは生にはない強みですね。

特にリズムがカッコ良すぎる「Lazy」、メロディがキャッチーな「Everyday Is a Miracle」あたりが曲としては好き。

そしてMC......というか短いトークショーみたいなのが曲の間に挟まれていてそれも面白かったです。こういう、社会とか政治について発信してくれるミュージシャンって日本にはあんまりいないから良いなぁと思う。真面目な話だけどユーモアを交えて受け取りやすくしてくれてるのも素敵です。

終盤にはかなり強いメッセージの込められた曲もありますが、エンドロールも含めて観終わるとふわっと心が軽くなるような余韻が残って最高でした。これ、映画館で観たいな......。