偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

デビル・シャーク(2015)


鮫に悪魔が取り付くお話。

デビルシャーク

デビルシャーク

  • アンジェラ・ケレック
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71分が体感142分くらいに拡張されるという、インターステラーも裸足で逃げ出す時空トリックを使った相対性クソ映画。

しかし視点を変えれば、完全にどこからどう見ても自主制作映画なので、逆に自分にこれだけ撮れるか?いや、俺なんて撮れても8分だったから1時間超える映画作ってる時点で凄いわ〜と、映研の学生目線で楽しめました。
カメラのこっち側まで見えちゃう感じといいますか......。
例えば、ところどころ、音声がうまく撮れなかったのか後からアフレコしてるのもめっちゃわかりみがありました。

そのせいか、特に前半のめちゃくちゃベタな演出や説明くさいカメラワークも素人の割にかなりちゃんとしてるなぁと感心しちゃうし、出演者の演技も下手ではあるけど自分はもっと下手だったから「自分と比べて」上手いよなぁという謎観点から感心しちゃいました。
まぁでも、今まで「外国人の演技の上手い下手ってあんま分かんねえよな」と思ってましたが、それはある程度のレベル以上の話であって、やっぱ本作みたいなガチ素人はさすがに丸わかりだなと思いました。

ただ、素人集めただけっぽいわりにメインどころの役の女の子はちゃんとナイスバディで素晴らしかったです。右腕に「天使」っていう刺青あったけど。漢字って向こうの人にはカッコいいのかなやっぱ。

水の中で血がぶわーって広がるシーンとゲロを吐くシーンが結構あるのも、鮫とエクソシストといえばっていう安直さが可愛いですよね。
リアルな鮫なんて予算的に作れないから代わりにゲロ吐いとこうみたいな安直さも。
音楽も、いかにもエクソシストっぽい不気味でミステリアスな感じのと、ジョーズっぽい単純で迫ってくるような感じのをしっかり作ってて、その憧れを模倣する純粋な安直さもまた眩しかったです。

ストーリーは、尺が足りんからってウィンチェスターハウスばりに増築しまくってどこがどうなってるのか、はっきり言ってわけわかめ
中盤まではかなり退屈ではあるのですが、クライマックスのせっかくだからついでにあれも入れちゃおうみたいなハシャギっぷりは楽しい。
しかしエンドロールの後にも無駄なオマケシーンを長々と入れてくる耐久地獄っぷりはやばいっすね。そこ、一瞬でいいから。てか、終わってないの?もしかしてさっき見たエンドロール、幻??と困惑しちゃうくらい長い。食頑ばりにオマケががっつり。

ただ、全体を通して大学の時にみんなでわちゃわちゃ好き勝手な脚本書いて楽しく映画撮ってたことを思い出してその郷愁に泣きましたよ。
完全につまらないけど不思議と映画の制作意欲が湧いてハッピーな気分になれる名作です。
こないだ見た「ハウスシャーク」みたいに内輪ノリでキャラ崩壊させたり下ネタばっか言ったりせず、一応シリアス路線を崩さずに作ろうとしてる真面目さにも好感。