偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

ビートルズのベスト10を考えた。 表編



なんだか心がざわざわしてあまり何も手につかない1日だったのでビートルズを聴いていました。
ビートルズとの付き合いは産まれる前からで、胎教として聴かされていたし、私が生まれた瞬間にも聴いていたらしいし、記憶にある範囲では幼稚園の頃とかに毎日家で流れてて、もちろん歌詞はわかんないけどなんか適当に毎日歌ってました。
そんな感じで、スピッツよりもアジカンよりも川谷絵音よりも遥かに付き合いの長いバンドなんですよね。
だからなんか気分が塞いでる時とかでも楽しい時とかやる気出したい時とかドライブに行く時とか、どんな時でも1番気持ちが上がる、帰ってくる場所みたいな位置付けなんです。実はね。

とはいえ、子供の頃は赤盤青盤ばっかりで、ちゃんと聴き始めたのは大学から大人になるまでにかけてなんですね。
だから一応公式録音と言われる曲は全部聴いたことはあるけど、ガチで思い入れでランキング作るとベストの曲ばっかのめちゃにわか臭いランキングになっちゃう。
なので、今回は青盤赤盤収録曲のベスト10と、それ以外の隠れた名曲(まぁビートルズクラスだとそれでも有名曲になっちゃうけど)のベスト10を作ってみました。
まずこの「表編」では赤盤青盤からの10曲を紹介します。

本当はフォロワーの僕の猫舎さんみたいにさらっとでも全アルバムの感想とか書きたいんだけど、まぁ歌詞も分からんし好きな曲以外はそんなに聴き込んでもいないのでとりあえずはこんくらいの雑企画で行きます!そのうち聴き込みながらちゃんと書いてみたいけど。


それでは、前置きが長くなりましたが10位からやってくぜ!



10.Here Comes the Sun

オリジナルアルバムではアビーロードに収録。
ジョージの代表曲で、ジョージが亡くなったときにスピッツが「優しくなりたいな」のイントロに引用してオマージュしています。
子供の頃からとにかく凄くワクワクするというか、ウキウキするというか、タイトルは日の出だけど、私の中では時間で言うと朝の11時くらいの、1日が始まって少し経ったけどまだ午前中だ!っていう嬉しさを感じる曲です。
メロディもだけど、ギターの音色自体がもうめちゃくちゃ美しく爽やか。アルバムで聞くとアイウォンチューというタイトル通りヘビーな曲の後にこのイントロが流れ出して凄く救われた気分になるんですよね。その後またビコーズとかいう陰気な曲が始まってウンザリするんだけど......。


9.Eleanor Rigby

リボルバー収録。
イントロの仰々しいストリングスの音が子供の頃には物珍しく感じ、何だか分からないけど深刻な感じがしてビシッとしながら聴いちゃいます。
でも歌詞のファザーマッケンジーのことは間健二(はざまけんじ)っていう日本人男性のことを歌ってるんだと思ってました。
バンドサウンドが全く出てこなくてほんとにストリングスと歌だけなんだけど、ロックバンドの曲として違和感なく聴けてしまうから不思議ですね。
サウンドは壮大な割に結構短くて最後あっさり終わるところも好き。


8.All My Loving

ウィズ・ザ・ビートルズ収録。
数少ないカラオケで歌える曲の一つです。
そして今回のランキング、赤盤と青盤の割合やアルバムごとのバラツキは狙ってないけどわりと均等になりましたが、初期と呼ばれる時期の曲は実はこれくらいかも。
歌えるからいっつも歌うのでそれで思い入れが強いのもあります。
軽快で切なくも優しさも感じさせるメロディとサウンドに包み込まれて心地いい。サブスク時代のトレンドである歌始まり、間奏アウトロ短め、曲自体短めという特徴を持っているので今からでもバズれる曲です。でも一瞬の間奏がめちゃくちゃカッコよくて印象的。
このランキング初期の曲が少ないと書きましたが、初期の変に実験的なことせずにシンプルにメロディと演奏の気持ちよさだけを感じられるところもめちゃ好きで、どの時期が好きかと聞かれたら意外と初期ですかね〜って答えると思います。


7.Michelle

ラバーソール収録。
子供の頃から陰気な子供だったのでハローグッバイとかみたいな明るい感じの曲よりもこういう切なさや哀愁の漂う陰のある曲が好きでした。
子供ながらに、音楽を聴いて胸を締め付けられるような感覚を味わわされた、初恋よりも前に感じた初恋のような気持ち。
イントロからしてもう何歳の時に作ったんだってくらい人生悟ったような哀愁がえぐい。激しくないけど位置が結構動くベースの音と、サビのコーラスとアイラビューアイウォンチュー繰り返しあたりや最後のところだけ力の入る歌の魅力もグンバツ


6.Yesterday

ヘルプ収録。
昨日、恋は簡単なゲームだった、今日僕は隠れる場所を探してる......なぜ彼女は行ってしまったのか、知らない、彼女は何も言わなかった......みたいな簡単な英語なんだけど凄く沁みる歌詞が魅力的。これ、失恋の歌だと思ってたらネタ元は母親のことらしくて驚きました。失恋の曲にしても真摯な響きを感じるのはその辺が要因なのか。
ベースとギターのシンプルすぎるのに印象的なイントロ、ファーストバースの弾き語りみたいな中で声が空間に広がっていくような録音、そこからストリングスを邪魔にならない程度に上品に取り入れて少しずつだけ派手になっていくあたりのアレンジのバランスも絶妙すぎる。
終わり方とかも潔くも一抹の未練を残して完璧すぎる。
この曲からタイトルをとったリチャードカーティスの「イエスタデイ」という映画もゴミだけどゲロエモで聴くと思い出しちゃいます。


5.In My Life

ラバーソール収録。
前述の映画「イエスタデイ」でビートルズの曲がエド・シーランに見出されるきっかけとなった曲です。
イントロのギターのワンフレーズ、これだけでもうポピュラーミュージックの歴史に永遠に名を刻んでも良いくらいの美しさ。
「忘れられない場所がある」とはじまって「人生で、誰より君を愛してる」と結ばれる、生活の中で等身大の真摯な愛を歌ってるっぽい歌詞がまた(ちゃんと読めてるか分かんないけど)素晴らしい。
そして何より間奏が、これはもうビートルズでも最も有名で偉大な間奏なんじゃねえの?
毛皮のマリーズっていう大好きなバンドが「平和」という曲で丸パクリしてて、それとの相乗効果もあって余計すぎなんだけど。穏やかなバンドサウンドの中で間奏のピアノだけがちょっと激しく早いっていうのが良いですよね。
これも終わり方が良いし、ビートルズが1番終わり方が好きなバンドかも知れん。


4.The Long and Winding Load

レットイットビー収録。
普段の自分の好みならば絶対好きじゃない曲なんですよね。こういう王道すぎるバラード自体あんまり好きじゃないし、アレンジもなんか24時間テレビみたいな感じがして(押し付けがましく泣かせようとしてくる感じ)引いてしまう......はずなんだけど、これでまんまと泣かされてしまうからなぁ。
ポール本人はこの仰々しいアレンジが嫌いで後から「レットイットビーネイキッド」というバンドサウンド以外のアレンジを排したバージョンが出てたりもして、そっちもめちゃくちゃ良いんだけどね。
何度となく聴いたはずなんだけど、なんか習い事の帰りの車の中で聴いていた印象が強いです。もしかして夜だからってことで親が静かなこの曲を選んで流していたのかもしれません。
田舎の夜の町の、まばらな民家の灯りが車の窓の外を流れていく風景を、子供ながらに東京の煌びやかな夜景よりもずっと綺麗だと思いながら、なにか世界の平和を願うような大きな気持ちになって聴いていました。今でもそう思う。


3.Strawberry Fields Forever

マジカルミステリツアー収録。
イントロのシンセ?のふぉっふぉっふぉっふぉっふおっふぉーふぉーふぉーっていう音からしてもう、良さみがつおい〜〜🥺以外の感情を吹き飛ばされるくらい良さがある曲。
切なく物悲しく哀愁があるけどどこか楽しくなってしまう気もするし、壮大なようでもあり卑近なようでもあり、超然としてるけど寄り添ってくれるようでもあり、感情のバリエーションを全ておもちゃ箱をひっくり返したようにぶちまけられてしまうような魔力のある恐ろしく不思議な曲です。
初期のビートルズはアウトロが潔いのでおなじみでしたが、この曲に至っては一回終わったかと思ったらなんかもう一回戻ってきて「あれ、なんか忘れ物でもしたの?」って言いたくなっちゃう、そんなところも可愛いよね。


2.We Can Work It Out

パストマスターズ2収録。
オリジナルアルバムに入ってないので聴き逃しがちな曲ですが、偏愛しています。
何が良いかっていうともう、本当に一点だけ、ヴァースをポールが、コーラスをジョンが書いてるらしくて別々の曲をくっつけたみたいになるところがとにかく好きなんですよ。
ポップな感じで始まったのにいきなりマイナーチェンジして「ライフイズベリーショート」なんて言い出す展開の奇抜さに惚れたんです。コーラスの中でもさらにリズムチェンジとかもしてるし。
んで、人生短いってジョンが言うとまた説得力ありますしね......。
残念だけど、短い人生の中で、そしてビートルズの短い活動期間の中でこれだけ数多くの名曲を残してるのは神すぎる。てかビートルズって7年しかやってないんでしょ?私が700年人生やっても追いつかない7年ですよ。
ジョンとポールという単体でもデカすぎる2つの才能がせめぎ合い融合し合うことでビートルズのあり得ないような名曲群が生まれた......ということを端的に表している曲でもありますしね。
奇跡なんてダサいことを軽々しく言いたくないけど、ビートルズの存在は奇跡でしかなかった。


1.Across the Universe

そして、一位はこれ。
レットイットビー収録。
最後のアルバムに入ってるからという偏見から、余計に意味深長に聴こえてしまう気がしますが、それを置いといても、ほんとに宇宙の神秘......なんてダサい言い方で嫌ですけど、それくらいの神々しさ、同じ人間がこんなものを作れるのかという驚き、魔力があります。
歌詞の内容はほとんど分からないので文脈も知らないんだけど、とりあえず「Nothing's gonna change my world」という歌詞は、「私以外私じゃないの」と並んで座右の銘の一つです。
一人で早朝か夕方辺りに散歩しながら物思いに浸りながら聴きたいですね。
ちなみにネイキッドにはシンプルなアレンジのバージョン、パストマスターズには鳥の声とオノヨーコの声が入ったバージョンが収録されていて甲乙つけ難いです。
あと、デヴィッド・ボウイが妙に力んだ歌い方でカバーしていて、そっちはそっちでボウイの歌の魅力が出てるけどこの曲のイメージと乖離しすぎてていまいち好きになれません。



という感じで、私にとって特別なバンドなのでいつか何かしら書きたいと思ってたビートルズについてでした。
後で裏編も書いて載せるのでちょい待ち。