今回の作品はこちら。
・月光の囁き(1999)
・箪笥(2003)
・贅沢な骨(2001)
・ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019)
月光の囁き(1999)
喜国雅彦の漫画が原作、スピッツが主題歌ということで気になっていた作品です。
高校生の日高は同じ剣道部で密かに想いを寄せていたサツキと付き合うことになるが、彼は実は変態だった......っ!!
というお話です(まじで)。
1999年の映画ですが、いい意味でもうちょい古そうな質感があって、雰囲気だけでご飯50杯はいけます。
お話も、最初の方で主人公がヒロインの服の匂いこっそり嗅ぐシーンとかでもうね......押見修造とかも好きなんでビンビン来ちゃいましたね。
案の定というか何というか、ほんとに序盤だけは純情爽やか青春恋愛ドラマだったのがどんどん変態的な方向に舵を切っていくのですが、どういうわけかそうなってからも純情感は薄れないというか、教科書みたいな恋じゃなくてあるがままの自分を曝け出していく彼らの不器用で歪な恋こそがピュアなんじゃないかなどと思わされたりしてしまいます。
それはそれとして主人公がクソキモいのと、ヒロインがクソエロいのと植松先輩がクソモブいので、「お前はよ死ねよ」「死ね犬」「めっちゃいいカラダしとるやん」「童貞殺しすぎやろ」「植松〜〜っ!!」などと応援上映しながら楽しく観れました。
てゆーかヒロインはマジでエロい。
スカートの長さが完璧だし、細いのに肉付きが良くて、おっぱいもそれ以上でも以下でも醒めてしまいそうなギリギリの夢を見せてくれます。
たぶん私が10代の頃に思い描いていた理想の女の子は彼女だったんだと思います。
そして、ラストがもう最高っす。つーかスピッツが最高っす。まさかスピッツのいつも聴いてるこの曲のイントロに「ピューンじゃねえよ!」って突っ込むことになるとは思ってませんでした......。
おもくそジャケ写になっちゃってるけどあのラストシーンの美しさったらないですよね。Anotherなら死んでた。
女の子にいじめられるのが好きなスピッツ好きの変態さんにオススメしたい映画!
箪笥(2003)
かつて母親を亡くした姉妹が父と継母の暮らす家で一緒に暮らし始めるけど色々と変なことが起こり始めて......ってゆう韓国美少女家系ホラー!!
これね、好きなんすよ。2回目なんですけどやっぱり良かったです。
とにかく雰囲気がイイ!
可憐な姉妹と、美しくてどエロい継母とぼやっとした父親。古い普通の民家っぽい家に、箪笥のある部屋。
BGMなども控えめで静かな中で時々大きな音でドカっと怖がらせてくるのはどうかと思うけど、基本的には静謐で陰鬱で深刻げで謎めいていて、もはや「何が起きているのか」が分からないホワットダニットミステリの趣もあります。
日本のホラーとも共通するじめじめした「イヤ〜なカンジ」を低予算ながら色んな怖い現象を駆使して醸造し、ヒリヒリジワジワと恐怖を煽ってそれがピークに達した時に訪れるあのアレ!!
なんだけど、そのあと終盤にかけてややダレちゃうのは正直ありますね。あそこからはもうぱぱっと終わらせちゃって欲しかったです。
ただ、最後の最後まで何の話なのか全然分からないところに、最後になってやっと全貌が朧げながらに見えてくるあたりはやはりホワットダニットミステリとしても面白いと思います。
てか継母の衣装がどれもエロすぎて、直接的にエロいシーンはないのになんかエロい印象がつよつよでした。
贅沢な骨(2001)
麻生久美子とつぐみが同居してるところに永瀬正敏が入ってきて変なことになっちゃうお話。
もうキャストとタイトルとジャケ写の時点で好きそうな感じしてましたけどやっぱりめちゃくちゃ良かったですし好きです。
麻生さんはもう高校生の頃から好きでしたが、実は出演作をそんなに観てるわけではなくてこれで4本目とかたったので自分でもびっくりしました。少なっ!
本作では擦れてるようで純真なところもあるホテトル嬢ミヤコという役どころ。
上品さや知的さと色気を併せ持つ麻生さんの佇まいがミヤコという役に合っていて、頬から顎のスッとした美しさも「骨」が刺さる喉や金魚のようにパクパク動かす口の動きを引き立てて思わず見入ってしまう美しさでした。
一方のつぐみさんは先日観た『月光の囁き』で初めて名前を知って一気に好きになってしまったのですが、本作では自分を汚れていると思いジャージで地味に装うサキコという役どころ。
『月光の囁き』のエロエロJKとはうって変わって地味で大人しい役ですが、思い切りのよさも持ち合わせていたりもする不思議な魅力を見事に演じきっています。
また、娼婦の役の麻生さんが脱がないのになぜかこの人は脱いじゃうあたり面白かったしめちゃくちゃ綺麗な身体をしてらっしゃるわよね。
(と永瀬正敏も良かったです)
そして脚本とか演出がまた良いんすよねぇ。
金魚や花火の印象的な使い方。夏の刹那さを人間に重ね合わせたり、心がこんがらがって不意に残酷な気持ちになってしまうってのを金魚を使ったあのインパクト強いシーンで示したり......。
あるいはホテルの内装とか、弁当屋の看板とか、タバコとか、ギターとかそういうセットや小道具もいちいちエモい。
「贅沢な骨」という表題も、冒頭と結末で全く違う意味で使われているんだけど、始めと終わりに同じ言葉が当て嵌められることでこの小さな世界が美しく閉じられる感じがして凄くいいっす。
と言いつつ、脚本はむしろ広がりのあるものだったり。
主人公たち3人の過去や未来については詳しく説明されたりはしないけどところどころにある仄めかし(主題歌のクレジットまで含む)を使って余白を埋めるためのヒントはきっちり出してくれてるんですよね。
だから短くて小さなお話なんだけどちゃんと深みもあって、彼ら彼女らの姿が余韻として印象に残るようになってるんですよね。
そんな感じで、映像も役者もお話も全部好みな映画でした。終わり方もすごくさらっと唐突な感じがリアルでいいっすよね。好き。
ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019)
19世紀のアメリカに暮らす4姉妹のお話!
『若草物語』を知らないので、どういう風に原作を作り替えてるのかが分からなかったのは残念でしたが、まぁ知らなくても全然モーマンタイで楽しめました!
まずはキャストが良いっすよね。
最近来てるシアーシャ・ローナン、フローレンス・ピュー、エリザ・スカンレン、シャラメくんといういるだけで画面がエモくなる気鋭俳優たち。
そこに安定感を加えるように中堅・ベテランのエマ・ワトソンやローラ・ダーンやメリル・ストリープ......超豪華!
正直すげえ地味なお話ではあるんだけど、キャストの豪華さだけでもうエンタメ大作感が出てますもんね。
ストーリーは作家志望の長女のジョーを主人公に据えつつ、4姉妹のみんなや親や親戚や近所の人を満遍なくキャラ立ちさせて描いた群像劇でもあります。
過去と現在が複雑に行き来する時系列で描かれているので最初はちょっと混乱しますが、ぱっと見の画面の色合いでもう今か昔か分かるのでそんなにややこしくなく見やすかったです。
その中で現在のパートは姉妹それぞれの進路を描いたものになっている一方、過去のパートの方では子供時代の印象的なエピソードが描かれ、併せて見ることでそれぞれの人物像が立体的に浮かび上がってくるような仕組みになってて上手いと思いました。
また、主人公のジョーの目線から女性が一人で生きていくことというテーマが描かれつつ、それだけが正しいという論調でもなく、結婚することの幸せや男性の生きづらさなども描かれていて、かなり丁寧に目配せの効いたストーリーになってました。
信念と生きていくことに折り合いをつけるような、甘さも苦さも酸っぱさもあるようなリアリティある結末もとても良きです。
あとは、フローレンス・ピューだけ過去パートと現在パートがまったく別人みたいだったのと、メリル・ストリープがああいう嫌な感じだけど悪いやつじゃないおばちゃんやるの上手いなぁと思ったのと、シャラメのセリフほぼ無意味じゃんと思いました。
普段こういう優しめの映画見ないのでたまに見ると沁みるね!