偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

DOOR Ⅲ(1996)

一応DOORシリーズ3作目ですが、内容に繋がりはないし本作は監督も変わって『CURE』の少し前の黒沢清が担当しているのでまぁ完全に別物です。別物なんだけど、やっぱDOORのタイトルを冠しているから最高だった1作目と比べてしまってどうもいまいちでした。
ちなみに2作目は配信どころかDVDにもなっていないようで観れなかったので諦めました。

DOORⅢ

DOORⅢ

  • 田中美奈子
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田中美奈子演じる保険会社で働く主人公が、ご近所のビルに営業をかけに行くと、そのビルに入ってる怪しい会社の怪しい社長に出会って親しくなっていく......みたいな話。

とりあえずこんなこと言うのも野暮だけどドアー関係ないやんけ!というのは言っておきたい。あと、作品の質とは関係ないけどデジタルリマスターされてないのか画質がえらい悪くて余計ノレなかったのはあるかも。
しかしそれにしても、1が好きだっただけになんかこう、思ったんとちゃうわぁ〜感はすごかったですね。
まぁとはいえそこは黒沢清監督のことですので、別物として面白くはありました。

序盤から、仕事の占めるウェイトが今より大きかった時代特有の閉塞感が出されています。そういう嫌な雰囲気の上で、謎の会社の妙な感じのするオフィスの光景とかチラッと映るモノとかによってよく分からないけどなんか異様な空気感を醸し出すのがさすが。
そして、田中美奈子さん演じる、女の身で営業をこなす芯の強い主人公がカッコいい。ライバル社のお姉さんとのやり取りなんかめちゃくちゃ良かった。出会い方が違っていたら友になれていたかもしれない2人のドライな関係から滲む感傷が良い。
それに比べてキモい変態イケメン社長はとてもキモくて面白かったです。

そんな前半は都会的な空気感のサイコスリラーっぽい感じなんだけど、後半から恐怖の正体が見えてくるとともにとあるサブジャンルが浮上してくるのは面白いですが、正直そこでちょっと引いてしまったというか、急にB級感増してくるから、普通にサイコスリラーで良かった気もしてしまいました。