偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

喜国雅彦『嗜好機械の事件簿』感想

車両消失トリックがジオラマで楽しめる鉄道ミステリ博物館や、そして誰もいなくなりそうなクローズドサークルで生き延びる方法、衆人環視の密室殺人の驚愕トリック(読者への挑戦付き)に、コロナ時代の探偵事情など、2016〜2020年に発表されたミステリネタのギャグ漫画を集めた作品集。

私はミステリ初心者なので......というと謙遜しすぎかもしれんけど、海外の名作とか新本格以前の国内作品はマジでそんなに読んでないのでネタ分かるかな〜とビビりながら読みましたが、そこは匠の技で、分かれば嬉しいし分からなければ分からないなりに面白くてどっぷり堪能しました。
なんせ小ネタの量がえげつないので「分かんね〜」と思いながらも著者のミステリへの愛(憎?)そのものに笑ってしまうようなところもあり良かったです。

また、発表当時の流行ネタとかもちょいちょい入ってくるのでちょっと前に流行ったよね〜っていう微妙な懐かしさがあるのも面白かったし、ちょいちょいフェチを感じさせるネタもあってドキドキしました。フェチで思い出したけど『月光の囁き』も読まなきゃなぁ。

という感じで、私は最近あんまミステリ読めてないので本作を読んでミステリにハマった時のあのワクワクをちょっと思い出しました。特に好きなのは鉄道ミステリ博物館と、Dの悲劇と、そんで誰もいなくなったと、六つ墓村かな。
ミステリに興味ない人には間違ってもお勧めできないけど、あんまり知らなくても興味さえあれば面白かったのでお勧めです。