偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

北大路公子『私のことはほっといてください』感想

2014〜2016年に連載されたエッセイを集めた1冊。


もはやこの人の本の感想を書こうというのも野暮であり、なんでもいいから1冊買って、最初の1話だけ読んでみてくれ!そしたら面白さ伝わるから!と言えば十分な気がしますが、それにしても本書は初めてのキミコに最適そうな気がするので、読んだことない人がいたらまずはこれを読んでみてほしいです。

本書は特にテーマもなく、自由型のエッセイ集なんだけど、ほんとに内容が自由で、普通のエッセイもあればほとんど掌編小説みたいなものもあり、急に日付が入って日記調になったり、世界の滅亡と納豆の混ぜ方が同時並行して語られたり、とある曲の歌詞をがっつり考察したり、こんだけたくさんエッセイを書いててどうして毎度毎度新しい切り口で書き続けられるんだろうと不思議に思うくらいバラエティ豊かで、でも言ってること自体はいつも同じな安心感もあって、ほんとこれ1冊読んでもらえば北大路公子のこと絶対好きになると思います!おすすめ!

個人的に好きなのは、河童の話(これはファン人気高いであろう......)、なりすましの話、奇跡みたいな恋の話、退院した父親の話、あたりです。