偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

2017-01-01から1年間の記事一覧

歌野晶午『ずっとあなたが好きでした』読書感想文

『葉桜の季節に君を思うということ』でお馴染み、歌野晶午大大大先生による13編の恋愛小説短編集です。 ずっとあなたが好きでした (文春文庫)作者: 歌野晶午出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2017/12/05メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る 恋…

2017年に読んだ小説ベスト20

明けましておめでとうございます嘘です。メリークリスFuck the Christmas!さて、今日は私が今年読んだ本ベスト20(旧作含む)という非常にどうでもいいランキングをお届けしますこれが新刊ランキングなら今年のミステリ界のひとつのまとめになるんですが、残…

七河迦南『アルバトロスは羽ばたかない』読書感想文

『七つの海を照らす星』に続く七海学園シリーズ第2弾。オーソドックスな連作短編集だった前作に対し、今作は中心となる転落事件の描かれる「冬の章」の合間合間に、各季節の短編をカットバック式に挟み込んだ形の、半分長編みたいな短編集になっています。 …

2017年、私的アルバムランキング!

あけましておめでとうございます。嘘です。メリークリスマス。2017年、いかがでしたでしょうか? つらいことがあった?わかる、私もです。 楽しかった?そうか、楽しかったやつは爆発せよ。というわけで個人的には踏んだり蹴ったりと泣きっ面に蜂を足したよ…

加藤元浩『Q.E.D 証明終了』全巻読破計画① 1巻〜10巻

『Q.E.D 証明終了』、今までも気になりつつ全50巻+姉妹編シリーズやシーズン2まであって、全部合わせるとあまりの巻数の多さに読むのを尻込みしていました。しかし先日フォロワーさんになぜかいきなり23巻を貸していただき読んでみたらまぁ面白いこと!その…

陳浩基『13・67』読書感想文

超話題作です!13・67作者: 陳浩基,天野健太郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2017/09/30メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 作者は香港人のミステリ作家で、島田荘司推理小説賞を受賞した経験もある華文ミステリの旗手......らしいです。本書は…

スピッツ、唯一のクリスマス・ソング「エンドロールには早すぎる」について

おはこんばんちは。寒くなってきましたね。世間ではもうクリスマスムードが漂い、街を歩けば「雨は夜更けすぎに〜♪」「クリスマスキャロルが〜♪」「War is over〜♪」などと著名クリスマスソングたちが聴きたくなくても耳に入ってきます。 でも世の中が浮かれ…

スウィート17モンスター

こんにちは。青春拗らせマンです。 突然ですが、みなさんに質問です。以下のうち当てはまるもの全てに丸をつけてください。 ・恋人がいない・恋に恋している・友達は少ない方だと思う・パーティーが苦手だ・頻繁に劣等感に苛まれる・思い出すと叫びだしたく…

柾木政宗『NO推理、NO探偵?』読書感想文

でーん!第53回メフィスト賞受賞作! 誕生日が10月なので誕プレとしてフォロワーさんに頂きました。 見えそうで見えない表紙を、本の角度を変えたら見えないかな〜と奮闘していると、帯のハイテンションな惹句が目に入ります。 「メフィスト賞史上最大の問題…

マン・アップ! 60億分の1のサイテーな恋のはじまり

はあぁ〜〜、出会い、、無え〜〜......。 あ、いきなりため息ついてすみません。こんにちは。 いや〜実はさいきん彼女募集中なんですけど、出会いってその辺に落ちてないですよね〜。学生の頃は友達はほぼいなかったですけど、それでも部活とかでそれなりに…

井上夢人『ダレカガナカニイル』読書感想文

岡嶋二人の文章担当の人のソロデビュー作です。 警備会社に勤める主人公の悟郎は山奥にある新興宗教団体の修行施設を警備することになる。その夜、悟郎は自分に目に見えない何かがぶつかるのを感じ、直後、悟郎と同僚の目の前で施設から出火。焼け跡からは死…

駕籠真太郎『殺殺草紙 大江戸無惨十三苦』感想(は特にない) ※R18

久しぶりに駕籠真太郎読みました。当然のように特に感想もないですけど、まぁせっかく読んだので紹介だけ。 有名な怪談、昔話、江戸の風物、はたまた江戸と関係ないものまであらゆる題材を使って描く駕籠真太郎流エログロバカ何でもあり御伽草子連作短編集で…

ダンケルク(クリストファー・ノーラン監督)

昨日観に行ってきました!クリストファー・ノーラン監督の最新作。 この作品、ノーランが初めて挑む実話を基にした戦争映画であることが公開前から話題になっていました。 正直に言うと、「戦争アクションとかキョーミないし観に行くか行かないかどうしよっ…

indigo la End『Crying End Roll』の感想だよ

夏が終わりかけている今日この頃、いかがお過ごしですか?私は特に夏らしいこともせず無為な毎日を過ごしています。 さて、今回は夏の始めに買ってまだしょっちゅう聴いているこのCDを紹介します。 Crying End Roll[初回限定盤] アーティスト: Indigo la End…

三月のライオン(由良宣子。将棋じゃなくてね!)

「愛が動機なら やってはいけないことなんて 何ひとつ、ない」(本作ポスターより) 兄と妹の禁断の恋を、セリフも少なめに淡々と、ともすれば退屈なまでに淡々と描いた作品です。でも、全体にどこか文学的な雰囲気と色気があって、退屈だけど飽きはしないとい…

ドグラ・マグラ(1988年の映画版だポコ!)

今回紹介する作品はこちら! 読んだら精神に異常をきたすなんて言われる三大奇書のあのメンバーの映画版だポコ! 原作は高校時代に読んだきりでうろ覚えだったから復習もかねて観たんだポコ!アーァ、スチャラカチャカポコ! ドグラ・マグラ [DVD] 出版社/メ…

貫井徳郎『修羅の終わり』読書感想妄想憶測文(※全編ネタバレのみ)

《これまでのあらすじ》明日、この作品で読書会をするのですが、困ったことに自分の考察を全くまとめてないっ!焦った私は仕事の昼休み、晩御飯の時間、お風呂の中、あらゆる隙間時間を使って1日でとりあえず分かったことだけ纏めました。 新装版 修羅の終わ…

HOUSE(大林宣彦監督)

カルトなホラーコメディという噂だけ聞いていたものの、微妙にその辺のレンタル屋さんに置いてなくて、ずっと観たかったけど観れなかった作品です。ついに観ました。 主人公のオシャレと、その友達のファンタ、クンフー、メロディ、スウィート、ガリ、マック…

キングスマン

「私たちは光った 意味なんてなくたって」(RADWIMPS『光』より) キングスマン [SPE BEST] [Blu-ray] 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 発売日: 2016/07/06 メディア: Blu-ray この商品を含むブログ (16件) を見る 製作年:2015監督:…

太宰治『人間失格』読書感想文

若い頃の方が感受性が豊かである、というのは嘘だ。この作品を中学生の頃に読んだ時にはなんかヤバいものを読んだという気がしただけでそのヤバさが全く分かっていなかったが、先日何となく自分は人間未満なのだ!とはっきり気付いて、これを読み始めた。最…

好きなゾンビコメディ15選 (或は超ざっくりゾンビコメディ映画史)

○はじめに これまで「失恋映画」「どんでん返し映画」と自分の好きなジャンルの映画についての記事を書いてきましたが、この2つと並んで大好きなのがそう、ゾンビ映画、中でもコメディ要素のあるゾンビ映画なのです。 今回は私の個人的に好きなゾンビコメデ…

サスペリア

2017年6月25日はこの作品の日本公開40周年記念日だそうで、そのためかイマジカBSで放映していたのを機に再び鑑賞しました。やっぱり良いですね。 サスペリア [Blu-ray] 出版社/メーカー: キングレコード 発売日: 2010/12/08 メディア: Blu-ray クリック: 7回…

スピッツ「子グマ!子グマ!」を聴いた男

私、小説や映画と並んで音楽も好きなのですが、中学時代の音楽の成績は1、良くても2でした(5段階評価)。で、ギターとベースの聴き分けも自信無いくらい音楽的素養に乏しいため、今まで音楽に関してはレビューとか一切書いたことがありませんでした。 でもま…

【閲覧注意】極私的、ランク別どんでん返し映画紹介

〈はじめに〉どんでん返しや意外なオチのある映画って楽しいですよね!真相が明かされて綺麗に騙されれば気持ち良く、真相は読めちゃってもそこまでの伏線の上手さに唸らされることもあり、全然ダメダメなちゃぶ台返しでもツッコミながら観てれば楽しい.....…

ゾンゲリア

「サスペリア」のヒットにより"Zombie2"という映画が惨劇+サスペリアで「サンゲリア」という邦題を付けられました。ルチオ・フルチによるケッ作です。そして、そのサンゲリアとゾンビを組み合わせて作られたのがこの作品の邦題なのです ゾンゲリア [Blu-ray]…

キートンの探偵学入門

バスター・キートン。 その名前は知っていましたが、チャップリンと並んでサイレント期のコメディ映画を代表する古い人くらいの認識しかありませんでした。監督・脚本・主演、全部自分でやってるんだっけ、凄いよね、でも100年くらい前の人だよね?今観たっ…

失恋の傷口に塩を塗る恋愛映画7選

☆まえがき フラれた時、モテる人ならコメディ映画でも観てすぐにつらさを忘れて次の恋に向かうものでしょう。でもね、私のような異性にモテる要素皆無のゴミクズ野郎は、つらい映画を観たりつらい音楽を聴いたりしていつまでもつらい気分に浸って悦に入って…

ルチオ・フルチの新デモンズ

ルチオ・フルチ。一部の悪趣......失礼、マニアたちからカルト的な支持を受ける巨匠の作品について私なんかがぐだぐだ書くのは畏れ多いですが、まぁどうせそんなにファンおらんやろ大丈夫大丈夫。 というわけで、今回は巨匠フルチ先生後期のこの作品です。 …

狂い咲きサンダーロード

先日、映画秘宝のオールタイムベストみたいなムックが出ました。パラっと立ち読みしただけで買っていないのでうろ覚えですが、上位には「ゾンビ」「悪魔のいけにえ」「マッドマックス 怒りのデスロード」など妥当な作品が並んでいましたが、その中に聞いたこ…

冬の怪談 〜ぼくとワタシとおばあちゃんの物語〜

TSUTAYA FASもとまち店をご存知だろうか?愛知県豊田市の周囲に工場が多い場所に立地するTSUTAYAで、その土地柄から車で行くと混んだり道が複雑だったりとけっこう面倒なお店なのである。だが、そこには愛知県の他のTSUTAYAではなかなか置いてないマイナーな…