偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

血みどろの入江(1970)


海辺の屋敷に住む老婦人が殺された。屋敷には遺産の相続人や建築家、近所に住む昆虫研究家と占い師の夫婦ら怪しげな面々が集う。
折しも屋敷に忍び込んで遊んでいた若者たちが惨殺され、凄惨な殺戮の幕が開く......。



マリオ・バーヴァ師匠の代表作のひとつでもあるジャッロ映画。

一応遺産相続をめぐるミステリーみたいな構成になっていますが、正直そこんとこの利害関係とかはあんま描かれてないし意外な犯人とかでもないしでストーリーはよく分からん。
しかしそんなことはどうでもいい!とばかりに、86分の短さでぽんぽん人が殺されて行って最高でした!
なんせ序盤は本筋になんら関係ないアホな若者たちが次々に殺されていって楽しい。後の作品で観たことあるような殺され方とかがあって、これが元ネタなのか?という楽しさもありました。
中盤以降は遺産どうこうみたいな話になるんだけど、正直ストーリーは別に面白くないというかあんまり興味持てなくてどういう話なのかもうまく把握できなかったけど、ゴア描写はどんどんパワーアップしていくので最高でした。蛸とか首チョンパとかが特に鮮烈な印象を残します。

あと、そもそも映像と音楽がめちゃくちゃ良い。それこそオープニングの湖面からして綺麗だし、殺人者の黒い革手袋の光沢や差し色のように入ってくる赤も控えめながら存在感があって素敵です(控えないとサスペリアみたいになる)。

全体に特に内容はないんだけど、そんでも人間の欲の醜さみたいなものを描きてはいて不穏で嫌な感じの話なんだけど、結末がもうちゃぶ台返しみたいなめちゃくちゃなものでびっくりしたし、あれのおかげで一気にアホに振り切って爽やかな余韻すら残っちゃうのが面白いです。