偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

パルプ・フィクション(1994)


レストラン強盗を企むカップル、二人組のギャングとボスの妻、ギャングから逃げるボクサー......それぞれの物語が交錯する、タランティーノ監督2作目となる群像劇。


たぶん高校か大学くらいの大昔に観たんですが、当時はどうでもいい会話してばっかでそれぞれの話のリンクもそんなに意外性もなく何が面白いのかよう分からんわ〜と思ってたんですが、今観たらめちゃ面白かった。

一つ一つの会話がとにかく微妙に長くて、「いつまでその話しとんねん!」て感じなんだけど、それが妙に飽きなくて癖になって2時間半があっという間に感じられてもっと観ていたくなる魔法のような映画。
しかも、はっきり言ってそんなに内容もないっすからね。時系列が入れ替わってたりキャラも多い群像劇形式だからなんか複雑な気がしちゃうけど、要は愛すべきクソ野郎共が崖っぷちを生きてるだけのお話です。
「マッサージはセクハラか?」とか「ハンバーガーは美味い」みたいなどーでもいい話をしてるかと思ったら人を殺してる極端な緩和と緊張が刺激的。
マッサージしただけで半殺しにされた男がいるという噂のボスの妻とデートみたいなことをしなきゃいけなくなったトラボルタの死と隣り合わせの胸キュン(?)からのあの展開とか。急に挿入される懐中時計のクソみたいな、しかし切実すぎる挿話。逃亡者のボクサーがその時計を取りに行ったら巻き込まれる「なんでそうなるの!?」という滅茶苦茶な展開とか。意味とか整合性みたいなものを打っちゃって、ある種その場しのぎのように面白さや驚きが連なっていく様はまさにパルプフィクション(低俗な作り話)!
ほとんどメッセージ性とかもなくて、ただただ面白い......ところから、最後の最後でなんかいい話風に締めるところも「しょーもな!」って感じで最高ですよね。
そのしょーもないバカ話をトラボルタ、サミュエルエルジャクソン、ユマサーマン、ブルースさんら豪華キャストで本気でやってんのがまた最高。ユマサーマンの顔芸がほんと最高。

そんな感じで特に込み入った感想とかもないんだけどただ面白く、サムライのシーンとかタラちゃん本人出演シーンとか、もちろんトラボルタのダンスとかも印象的で、一旦ハマってしまうと時々見返したくなるような最高のクソ映画でした。レザボアとキルビルも見返すか。