遺伝子工学の技術によって恐竜を現代に甦らせたアミューズメント施設「ジュラシックパーク」。
創設者の大富豪ハモンドは、2人の孫と、古生物学者のグラントとサトラーの夫婦、数学者のマルコムらを開業前のパークに招くが......。
スピルバーグそんなに観てないけど、今まで観た作品の中でも特に娯楽性の強いアトラクション映画で、めっちゃ楽しかったです。
やっぱりこういう映画は一旦子供の頃に見ておきたかったな、というのはあるけど、「恐竜に襲われる」だけのシンプルな筋立ての中にも色んな要素が入ってて大人が観ても楽しめるのはさすが。
前半はキャラと設定の説明。
主人公夫婦の、ベタベタせずにお互い専門家としてのリスペクトと仲間意識で繋がってる感じがすごい良い。あと、恐竜復活のメカニズムの蚊の遺伝子うんぬんのところとかが難しくないけど意外とちゃんとしててちょうどいいSF度でした。
あと、変人数学者のマルコムのキャラが好きすぎる。
そして後半で恐竜が解き放たれてからはもう怒涛のアトラクション的な楽しさで、ハラハラドキドキとワクワクが餅投げのようにばら撒かれます。見せ方のうまさがさすがで、車と樹のシーンとか、厨房のシーンとか、めちゃ引き込まれるんですよね。緊張と短い緩和の繰り返しとか、その場にある物の意外な使い方とか、細かいアイデアのてんこ盛り。
『フェイブルマンズ』で子供時代に作った映画の話とか観ちゃうと余計にそういうとこを見ちゃいますね。
あと、これ私が生まれる1年前なんだけど、やっぱ恐竜のCGがすごい。生々しい存在感があって、生まれる前にこれあったのかぁ......とため息が出ちゃいます。
そして、そんな娯楽性と最先端の映像技術を詰め込みつつ、物語のテーマは技術に溺れてしまう人間の業のようなもの。
生命を創り出し、人間に危害を加えないように「管理」することの是非について。
「神が恐竜を殺して人間を作り、人間は神を殺して恐竜を作った」
「人の命より大切な夢なんてない」
などのセリフが印象的で、誰よりもワクワクするような夢を具現化しながらこんなメッセージを放つスピルバーグ自身の映画監督としての業も感じさせます。
というふうに思っちゃうのもフェイブルマンズのせいか。
まぁともあれそんな感じでジュブナイルの娯楽作品として最高に楽しい上に大人が観ても心に残る、素晴らしい映画です。
最後に久しぶりに好きなバンドの歌詞を引用しておきます。
何十万人もの命を一瞬で奪い去った核爆弾や細菌兵器
あれだって最初は名もない化学者の純粋で
小さな夢から始まっているんじゃないだろうか?
そして今また僕らは僕らだけの幸福の為に
科学を武器に生物の命までをもコントロールしようとしている
(Mr.Children「Everything is made from a dream」より)