偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

リーガルリリー『where?』名古屋ボトムライン 2023.11.30

今年の4月に初めてリーガルリリーのライブに行ってもう、音源で聴いてた時から今1番好きなバンドだったのに更にハマってしまって大変だった(この迸る感情のやり場がなくて)のですが早くももっかい名古屋に来てくれたので観に行きました(しかもツアーファイナル!!!)

今回は妻と一緒に行ったんですが、整理番号19と20で前から三列目くらいで見れてもうたかはし先生の肌の質感まで分かるくらい近くてテンションぶち上がってしまいましたし、あの人赤ちゃんみたいな顔して腕がギター弾きの腕だなぁかっこいいなぁという発見があった。自分で自分がキモい。
それにしても、演奏してる姿はかっこよすぎてヒーローにしか見えないのに時々にこにこぴょんぴょんしながらギター弾いてたりするたかはし先生が可愛すぎてギャップがやばい。こんなに近くで見たら恋してしまう......。
妻は初めてだったので行く前は「ほのかちゃん近くで見たらかわいいだろうねぇ、ぐへへ」とかナメたこと言ってたけど帰りには「ヤベェカッケェ」ってなっててザマーミロという気持ちでした(?)

それは置いといて、今回はミニアルバムのツアーということで、『where?』とその前の『恋と戦争』の曲は全部やった上で、他はけっこう昔の曲多めのセトリだったのが新鮮でした。
私がリーガルリリーにガチハマりしたのが『Cとし〜』からなので、それ以前の曲はそんなに聴き込んでいないのですが、今回色々と「この曲こんなにカッコよかったのか」という発見もあってよかったです。
あともちろん元から大好きな曲もめちゃやってくれたし、『Cとし』以降の曲はほとんど全曲私にとってのアンセムなのでエモが溢れて困っちゃう。

冒頭からいきなり「若者たち」「ハイキ」「ライナー」 とミニアルバムの曲順通りに3曲やってくれたんですが、ライブで聴くとこの曲順完璧だな、と思った。
「どどん!」と力強くゆったりと始まる「若者たち」で着実に引き込まれてキャッチーな「ハイキ」で一気にテンションぶち上げられて疾走感のある「ライナー」でぶち上がったテンションを疾走させられるような、3曲だけでもう今日ここに来られてよかったという多幸感に包まれて苦しいほどでした。

続く「林檎の花束」は今までそんなに注目してなかったけど大音量で聴くとベースラインがめちゃ気持ちよくてギターの音も綺麗だし歌詞もいいなぁと気付かされました。こうやってライブに行くたびに好きな曲が増えるのが素敵よね。
そして「bedtime story」繋がりで、ライナーとは電車繋がりの「GOLD TRAIN」が第1ブロックのクライマックス。これも元から好きだけどライブで聴いて特別好きになった曲の一つですね。

そして、YouTubeの日比谷野音の映像と同じくメンバー紹介を兼ねたセッションから入る「東京」のイントロのかっこよさに脳天ぶち抜かれたし、からの「地獄」への繋ぎは前回行ったライブと同じだけどやっぱ最高です。曲の入り方とか繋ぎ方をエモくやる天才だと思うこのバンド。

盛り上がりつつも不穏さをも孕んだ「東京」「地獄」からの「明日戦争がおきるなら」への流れもやばかった。冒頭がちょっとゆったりになっててオレンジの光の中での弾き語りだったのが美しく切実で泣きそうになった。「明日戦争が起きるなら、こんなことで別れたりしなかった」という歌詞がなんか、身体で納得できたような感覚になりました。
そしてさらにシリアスに死を描く「蛍狩り」の美しさは圧巻。ポエトリーリーディングってライブで下手にやると聞いてるのが恥ずかしいみたいになっちゃうと思うんだけど、たかはしさんは上手すぎますよね。曲の大半がリーディングなのにこんなにカッコいいのが凄い。そして静かなリーディングの中にもじわじわと滲み出しつつも抑えていたエモーションが爆発するようなアウトロもまた毎度圧巻。この曲がこんなにライブ映えするとは、音源聴いてた時は想像出来てなかった。
そんな、死の匂いを感じさせる2曲から、「もしかしたらこれが最後の歌かもしれなくて」と歌う「ハンシー」への繋ぎも完璧で、今ここでこうして彼女の歌を聴けているのももしかしたら最後かも......という不安と愛おしさで苦しくなった。
そして「ノーワー」も「明日戦争」と同じく始まりが音源よりシリアスになっててぐっと引き込まれたし、「対立、対立」あたりの絞り出すような歌い方にまた胸が苦しくなった。この人の言葉があって、それをあの声であのメロディで歌ってくれててほんとに良かったと思った。好きでよかった。

そしてここで今回初めてのMC。
名古屋への思い入れと、生まれ育った福生で書いた次の曲への想いをたどたどしく語る様に正直ちょっとハラハラしつつも、そのたどたどしさも借り物の言葉じゃなくてちゃんと自分の中から取り出した言葉で話しているからだと思うとかっこよく見えてしまうから不思議。
そうして始まった「overture」はアコースティックな雰囲気の演奏でゆったりと心地よくも根源的な死の恐怖とか不穏さとか物悲しさとかがあって不思議な気持ちになりました。
からの、こちらも不思議な気持ちにさせられる「地球でつかまえて」。やっぱりこの曲好き。ライブで聴くとめっちゃダンスチューンだなってのにも気付かされて、なんか不思議な気持ちになりつつ踊り回ってしまった。踊ってない夜を知らないわ。

そして、2度目のMCでは、コロナ以降でライブで声が出なくなったことがあり、その時に声が出る時は歌うことも歌わないことも自由だったと気付いた、というお話で、そう言ってからの「管制塔の退屈」だったので、みんなでシンガロングしたいけど恥ずかしかったりする人は声に出して歌わなくても心で歌えばそれが歌だよ、と言ってくれてるようで優しい......。
音源では歌い方の可愛さに意識が行ってしまうこの曲ですがライブではもうただカッコよくて美しかった。身近にリーガルリリー知ってる人なんて見たことないのにここにいるこいつら(観客)はみんなリーガルリリーを聴いてて一緒に「ららら」を歌えるんだなぁという不思議で素敵な感慨に浸りました。
そして、最新曲の「泳いでゆけたら」は音源ではキーボードかなんかの音が入っててキュートでポップな感じなのがライブでバンドだけの剥き出しの音でやるとめちゃくちゃカッケえな!というのも発見でした。ちょっとだけまだ歌い慣れていない感じがしたのも産まれたての曲が育っていく過程を見るようで嬉しくなった。

そして、恒例のクライマックスの「1997」はもう生のライブでもライブ映像でも毎度毎度最高にかっこいいよね。
海さんのベースの弾き方がめちゃかっこいいと思ってるんだけどベース主体のこの曲だと特にそれを感じて最高だった。2番の最初の方で一旦ベースが止まるとこのギターが最高にカッケェし、そっからグリッサンドで入ってくるベースも気持ち良すぎるこの曲大好きラブ。

そして代表曲であり定番曲のリッケンバッカー
なんか、イントロの後の歌の入りでちょっとミスってたけど、そういうのもまたライブの醍醐味というか、たまにミスるのに気付くことでかえって「ミスもする生身の人間がこんなにかっこいいライブをやってんだ」という当たり前の感動があって良かった。
しかしバンドのキャリアオールタイムのセトリの中でこの曲を聴くとなんだかちょっとこれだけ異質な感じがして、そんな曲が代表曲というのがまた面白いなという気付きもあった。

そして、本編最後は、『where?』の最後の曲でもある「キラーチューン」
ライブで聴くとまさにタイトル通りのキラーチューンで、リズムチェンジを繰り返しながらだんだん盛り上がっていく構成でサビではもう体を無理やり操られて飛び跳ねさせられるくらいの感覚で踊らされましたわ。「誰も葬式に来ないから」のところを「誰も葬式になんか!」と歌っていたのが良かったし、歌詞って変えてもいいんだというこれまた当たり前の感動を得た。
アンコールあるのは分かってるけど終わった後さっさとはけちゃうのがカッコよくて寂しい。



そして、アンコールに入ると海さんとゆきやまさんの2人が先に入ってきて安定感のある友達同士のおしゃべりみたいなMCにほっこり。たかはし先生も1人でMCやるとたどたどしくも詩的なことを言うのに3人だと「名古屋に来るとマック行きたくなるよね〜」みたいな俗っぽいことを言い出してとても愛くるしかった。
あと、リーガルリリー来年で10周年らしい!おめでとうございます!1997年生まれだと私より3歳年下なのにもう10周年ってのがえらいねぇ〜と思ってしまいますが、10周年イヤーでライブもリリースもガンガンやるぜ!と言ってた(意訳)ので楽しみすぎます。

そして、アンコール1曲目は野音YouTubeでも何回も見てた「ジョニー」。ゆったりと始まってサビにかけてだんだん盛り上がってく感じがアンコール1曲目に合っててよかった。10周年の話してからの最初のミニアルバムの最初の曲をやるのも粋ですね。

そして、本当に最後の最後の曲が「はしるこども」。これにもやられたわ。音源でも初期の曲の中では特に好きでよく聴いてる曲ではあったものの、ここまでライブ映えする曲だとは思ってなくてドギモを抜かれました。
イントロの速いギターからはじまって速いドラムと速いベースが入ってくるあたりからしてもう今日1番のテンションぶち上げでぶっ倒れそうだったし、間奏とかではたかはし先生と海さんが向き合って演奏したり客席側に出てきてギター掻き鳴らしたりと「ロックバンドのライブかよ!」みたいな光景を見れてなんか生きてて良かったと思った。
一旦終わったみたいな感じになってから戻ってくるアウトロもライブでさらに溜めてやられるとカッコよすぎておかしくなっちゃう〜と思った。

そんな感じで、前から大好きを超えるくらい大好きだったし前回のライブも良かったけど今回前の方で近くで没入して見れてさらにリーガルリリーへの愛が溢れてしまってもう苦しい。終わった瞬間からもう次のライブに行きたくて苦しい。
なんか、こないだうちもまた嫌いになったはずのミュージシャンの新譜が出て落ち込んだりしてたけど、もうマジでリーガルリリーがいてくれればあんな奴いらねえわとじわじわ思えるようになってきた。最後にネガティブで汚いことを書くのも嫌なんですけど、今の私の記録として。

帰りにライブハウスのすぐ裏にあるラーメン「鞍」さんの濃厚な鯛出汁白湯ラーメンを食べて帰ったけどめちゃくちゃ美味いんですよねあそこの鯛ラーメン。オススメです。