偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

怪奇な手ざわり『現代怪奇談』

本日は「怪奇な手ざわり」さんの『現代怪奇談』シリーズをご紹介します。

「怪奇な手ざわり」さんというのは、YouTubeに短編の自主制作ホラー映画をアップしている人?集団?です。
福岡の人らしいこと以外に詳しい情報は全くないのがミステリアスで良いですよね。
なんか妻が観てたので一緒に観たんですが、私も昔は映研で下手な映画撮ってたんで自主制作でこのクオリティ!とか、こここうやって撮ってんだろうな!とか、半分は作る側の目線から楽しめました。

この『現代怪奇談』は各話5分〜15分程度の短いホラー短編が4話から成る連作で、各話で内容は独立していつつ、ところどころで別の話とのリンクもあったりする連作としてちょうどいい感じのものになってます。
一応ホラーなんだけど怖さはほとんどなくて、奇妙な物語に脱力系のユーモアを仕込んであるので適度に抜け感がありオシャレです。霊的なものは出てくるんだけど、それを怖いものとして描くのではなくてある種の親しみを感じるような存在として描かれているのが優しくて好きです。あと、「開けると悲鳴が鳴るギターケース」とか「事故で幽体離脱したので霊感のある人に助けを求めに行く」といったアイデアと、それを手短にまとめる脚本の上手さも凄かった。
まぁなんせ数分で観れるので良かったらみんな見てみてください。こういうの観ると私も大学の時にもっとちゃんと映画撮ってれば良かったなぁと思わされますね............。
ちなみにこの連作以外にもいくつか作品があるようなのでそれも追い追い観ていきたいです。



「見えちゃダメなもの」

シリアスな雰囲気からはじまりつつタイトルの真の意味が分かると納得しつつもずっこけちゃうところが秀逸。


「悲鳴袋」

これが1番「世にも奇妙な物語」にありそう。主役の男の子と女の子のゼミの知り合いかなんかそんくらいの微妙な距離感がとても良い。


「さまよう霊魂」

状況設定のアイデアが良い。オチは、そういう意味なんすかね......?だとするとこれが1番怖いのかも......。


「霊感が強すぎて」

主演の女の子が可愛すぎる。タイプ。1番長いお話で、幽霊だって普通の(元)人間なんだというこの連作のテーマが現れた作品でもあり、その暖かさと切なさにちょっと泣きそうになります。