偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

笹沢左保『求婚の密室』感想

トクマの特選笹沢左保100連発第6弾。 前回の『他殺岬』の主人公・天知昌二郎が再登場する密室ミステリです。有栖川有栖選 必読! Selection6 求婚の密室 (徳間文庫 さ 1-130)作者:笹沢左保徳間書店Amazon 軽井沢の西條教授の別荘に招待された13人。教授は女優…

氷室冴子『海がきこえる』感想

1993年に刊行され、同年にジブリの長編テレビアニメにもなった作品......らしいです。 私はジブリに疎く、どメジャーどころはある程度見てるけど『魔女の宅急便』くらいになるともう観たことないくらいなので、当然本作も観てないです。 てゆかなんならジブ…

魔女の宅急便(1989)

ジブリ意外と観てない説が浮上してきたので、観てないやつ、観たけど忘れてるやつを観ていこうと思います。第一弾がこちら!13歳見習い魔女のキキが相棒の黒猫ジジと遠くの街へ修行の旅に出るお話!魔女の宅急便 [DVD]ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会…

綿矢りさ『意識のリボン』感想

8編の短めの短編を収録した作品集。意識のリボン (集英社文庫)作者:綿矢 りさ集英社Amazon連作とかではないし厳密に縛りがあるわけでもないけど、緩やかに「女であること」「30歳が感じる老いへの恐怖」というのがコンセプトのようになった作品集。 全体に私…

アクロス・ザ・ユニバース

今年の初めに抱負として映画のコーナー復活させるみたいなこと言ったのにしてないので、せめてハマった映画の感想はFilmarksに書いたのコピペでもブログに載せて映画ブログっぽさを出したいと思います!(?) さて、本作。 タイトルで気になって観てみたら、…

殊能将之『殊能将之 未発表短篇集』感想

『ハサミ男』や石動戯作シリーズなど7冊の著作を遺し、2013年に49歳の若さで亡くなった著者の、タイトル通り未発表短編集。殊能将之 未発表短篇集 (講談社文庫)作者:殊能 将之講談社Amazon私の母校の隣にある名古屋大学のSF研の人だったり、亡くなった時に知…

チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』感想

こないだ映画版を観たんだけど原作と結構違うっぽかったので原作も読んでみました。82年生まれ、キム・ジヨン作者:チョ・ナムジュ筑摩書房Amazon 3年前に結婚し、去年娘を出産したキム・ジヨン氏は、ある日突然母親や先輩などの知人が乗り移ったような喋り方…

綿矢りさ『ウォーク・イン・クローゼット』感想

表題作を含む中編2編を収録した1冊。ウォーク・イン・クローゼット (講談社文庫)作者:綿矢 りさ講談社Amazon 「いなか、の、すとーかー」珍しい男性一人称で、売り出し中の若い陶芸家とそのストーカーの攻防を描いたお話。とりあえず書き出しからしてなんか…

綿矢りさ『ひらいて』感想

昨年映画化もされた中編で、『蹴りたい背中』以来の高校生の恋愛に主軸を置いた作品。 ひらいて(新潮文庫)作者:綿矢 りさ新潮社Amazon 学内ヒエラルキーの上位にいる高校三年生の愛は、一年の頃からクラスの目立たない男子たとえに片想いをしていた。 ある…

綿矢りさ『夢を与える』感想

綿矢りさの3作目、前の2作を中編とすれば初長編で、初めて三人称で描かれた作品でもあります。夢を与える (河出文庫)作者:綿矢りさ河出書房新社Amazon 主人公の夕子が、幼少期にチーズのCMシリーズに出演し、やがて事務所に所属して本格的に芸能活動をはじめ…

スピッツ『Crispy!』今更感想

スピッツ全曲感想シリーズ、今回はこのアルバム!Crispy!アーティスト:スピッツユニバーサルJAmazon 前作からちょうど1年後の1993年リリースの4thアルバム。姉妹作的な『スピッツ』『名前をつけてやる』と、前作『惑星のかけら』までが私の中での「初期スピ…

歌野晶午『明日なき暴走』感想

単行本は『ディレクターズ・カット』というタイトルだった作品の改題文庫化。 明日なき暴走 (幻冬舎文庫)作者:歌野晶午幻冬舎Amazon 職場で虐められる鬱憤をTwitterで晴らしていた根暗な美容師の輪生は、ある日事故で人を刺し殺してしまう。それ以来、日頃の…