- 作者: 村上春樹,安西水丸
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1998/03/02
- メディア: 文庫
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1話4ページほどの超短編に安西水丸画伯のイラストを添えた36編の掌編集。
起承転結のある話はほとんどなくって、全編にわたってシュールなワールドが繰り広げられます。
毎回なんか変なもの(それは襲撃してくる海亀だったり虫窪老人だったり様々ですが)が出てきて、出てくるだけで特にオチも意味もなく終わる。
これが、面白いかどうかと言えば決して面白くはないのですが、なんとなく夢中になって読み進めてしまうんですね。
それは変なもの見たさもあるし、軽妙な文体と不思議なユーモアに何か音楽を聴くような心地よさがあるせいもあるでしょうが、とにかく普段の私の価値基準における面白さとは無関係になんとなく読まされてしまう謎の魅力のある本でしたね。
ちなみに最後の「夜中の汽笛について あるいは物語の効用について」というお話だけは普通に意味がわかって面白かったのですが、これが一番面白かったと思ってしまう時点でやはり私には村上春樹を読む素養がないような気がしなくもないですね。
ともあれ、このお話は泣けました。