偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

今月のふぇいばりっと映画〜(2019.2)

はい、2月のふぇいばりっと。
2月は個人的にはそこまで忙しくなかったですが、途中2週間ほど映画観ない期に入ってしまっていたので結局10本くらいしか映画観れてないです。
そんな中からなんとか選び出したのがこちら↓




アクアマン
新婚道中記
道(フェリーニのやつ)


アクアマン

【映画パンフレット】アクアマン

【映画パンフレット】アクアマン


スーパーヒーローものを観るのはノーランバットマンとシャマランユニバース除けば人生初なんですが、まぁ面白かったです。

海底王国の女王と人間のハーフである主人公のアーサーくんことアクアマンが海底王国の王位継承問題に巻き込まれたり地上vs海の戦争を止めようとしたりするお話でした。

ジェームズ・ワンのホラーは個人的にはあんま好きじゃなくて、それは一言で言えば派手なばっかで情緒がないからなんですけど、ことこういうファンタジーアクションに関しては派手ならオッケーの世界なので楽しめました。
というのも、ホラーで怖がらせるために音でバーン!ってやるのは安直ですが、アクションで滾らせるためにバーン!はアリですからね。音でびびらすホラーの旗手だけあって話してる最中に急に敵襲どーん!みたいな演出が多くて、そのせいで会話パートの印象がほぼないまま常にアクションしてるような全力感があり、テンション上がりっぱなしですわ。

そして盛られた要素も多いこと多いこと。
半妖の身のコンプレックスを抱えた内気な少年が筋肉ダルマに成長し、さらにヒーローになるという王道ビルドゥングスな話がメインかな。
そこに、両親の愛の物語や、赤毛の美女のカッコよく可愛い大活躍や、ラッセンを超える美麗海底映像や、いろんなモンスター勢揃いの怪獣大戦や、復讐に囚われた男が仮面ライダーになるまでというサイドストーリーにインディジョーンズ的なお宝探しアドベンチャーや、ホラー的な海溝探検や、エクスカリバーや、「シチリアの浜辺の絵葉書とよく似てた〜♪」や、おっぱいなど、文字で書くだけで8行費やすほどのメガ盛り、いやもはやメガ盛り食べた後でギガ盛りおかわりするくらいの満腹感。
観た後はなんかもういっそ韓国のドロドロ復讐サスペンス観たみたいな疲労感がありました。もちろん後味は爽快なんですけど、それよりどっと疲れたわ〜っていう。

とりあえず、一言でまとめるなら、おっぱい最高です。




新婚道中記


お互いに不倫の疑いを抱き離婚を決めた夫のジェリーと妻のルーシーの夫婦。
裁判も終わり、あとは離婚が成立する日を待つだけの2人はさっそく互いに新しい相手を作るが、一方でお互いの新しい恋の足を引っ張り合い......。


もうね、これは他のみんなが可愛そうw
結局めちゃくちゃ相思相愛な夫婦の離婚沙汰にまでなった壮絶な夫婦喧嘩に巻き込まれてるだけなんだもん。
ストーリーはそんだけで、お互いに新たな恋の邪魔をして気まずい空気を作り合うという、気まずさの笑いがクセになります。
邪魔されて怒ってるようでいてどこか共犯者みたいな楽しさを共有してる2人に「なんっっっやねん!!」とブチ切れたくなりますが、災難に遭う新恋人たちも変なやつばっかだからそんなに可哀想にもならず能天気に笑いながら見れましたよ。こういうの下手に噛ませ犬に感情移入しちゃうとつらいですからね。

ラストなんかなかなか印象的で、開くんかい開かんのかい開くん開かん開くん開くんかい!みたいな、こう、むず痒くて虫唾が走る感じが最高に胸キュンですわ。時計なんかキモい......。

あ、あと、夫婦喧嘩は犬も食わないとはよく言いますが、本作に出てくる愛犬のスミス君はまさにそんな感じで、2人の喧嘩をすまし顔で見つめつつ犬史上に残る名演技をぶちかましてきてめっちゃ可愛かったです。かくれんぼのシーン最高かよ。




道 [DVD]

道 [DVD]


しばらくの間映画見ない期が続いてましたが、サスペリア以来実に2週間ぶりに映画観ました。
カビリアの夜」がめちゃくちゃ良かったのでこれも気になっていたのですが、ちょうどよくBSでやっていたのです。

ジュリエッタ・マシーナ演じる貧しい家の娘・ジェルソミーナは、口減らしのため、粗暴な旅芸人のザンパノという男に買い取られ、芸の助手をしながら放浪する生活をはじめます。

もう、ジュリエッタ・マシーナがただただ素晴らしいですね。
最初にザンパノに芸を仕込まれる時の純真無垢なはしゃぎ方、あのよく動く表情を見てるとこっちまで嬉しくなったり悲しくなったり......ってのは『カビリアの夜』でも書いた気がしますが、ほんとにあの人の顔を見ているだけで映画一本飽きずに見れちゃうワケですからね......。しかもこれがマリリン・モンローみたいなセクシー美女とかだったらまだしも......ですからね。

ストーリーはいたってシンプルなロードムービーなのですが、そのシンプルさが素晴らしいです。
今の視点からはちょっともにょもにょしますが、知らない男の元へ売られた女性が彼と夫婦のような関係を作っていく様はそのまま恋愛観・結婚観の一つのモデルとして現在でもエモエモのエモではないでしょうか。誰しも100%の相手と結婚できるわけじゃないですが、その中で相手にどういう態度をとるのか、どう扱うのか。相手の価値をどう思うのか。
そういったことを突きつけてくるラストシーンは忘れがたい印象を残します。

あと、途中でザンパノが大きい舞台に立つシーンがあるのですが、あそこから私の中でザンパノへの印象がちょっと変わって、それがラストの余韻にも繋がっているような気がして、私はあの場面が一番好きです。あと修道院のくだりも良い......。