偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

ゲーム(1997)


投資銀行の経営者のニコラスは48歳の誕生日に弟のコンラッドと再会する。奇しくも父親が死んだのと同じ年齢になった彼に、弟はCRSという会社が提供する"ゲーム"をプレゼントする。しかし、"ゲーム"はやがて彼の日常を侵食しはじめ......。



デヴィッド・フィンチャー監督作品で、『セブン』と『ファイトクラブ』という2大超傑作に挟まれた3作目。
前後の作品が良すぎて相対的にそんなにな感じがしちゃいますが、とはいえ面白いです。

主人公が典型的な傲慢な金持ちで権力者。偉っそうにしてて正直1ミリも共感できないところから、しかし奇妙な"ゲーム"に巻き込まれてやがて命の危険にまで晒されるようになればさすがにハラハラして感情移入していってしまいます。
目的が分からないながらにかなり大掛かりな手段で主人公を追い詰めてくる謎の組織CRSが怖すぎる。敵か味方か分からないヒロインのクリスティーンを筆頭に、だんだん日常が侵食されていって身の回りの全てが敵にしか思えなくなっていくジワジワした恐怖......。ゲーム自体が向こうから仕掛けられるもので受動的なので後半若干ダレるきらいはありますが、ラストのアレも良いんですよね。ある種しょーもないとすら言えそうな話なんだけど、主演のマイケル・ダグラスさんの渋さであれをやられるとじんわり来ますね。

ネタバレ↓




















































結局この映画の内容は全部ゲームだったってわけだけど、それによって傲慢な主人公が48歳にして成長するというシンプルな人間ドラマになってるので「なーんだ」ってがっかりせずに良い話だったなーと思えるのが好き。まぁ、冷静に考えてこれが良い話なのかは分からんけど。