偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

シャーク・ド・フランス(2022)


3日後に引退を控えた海上憲兵隊のマジャ。しかしこの海にいるはずのない鮫が現れる。自身も鮫を目撃したマジャは引退までに鮫を退治するため奮闘するが......。


フランス初のサメ映画!🇫🇷以前行った最狂サメ映画フェスに引き続き大須シネマさんで上映してくれてたので観てきました!

さて本作、昨今のクソであればあるほど有り難がられるクソサメ映画とは一線を画したちゃんとした映画でした。そして、ジャケ写のポップでキュートな感じともちょっと違う、風刺の効いた映画でした。

でもとりあえず映像はポップでキュートな感じ。夏の海辺の町の陽光に光り輝く美しさだけでも観ていてハッピーな気持ちになれます。

ストーリーはサメ退治を軸にしているんですが、それを通して描かれるのは、サメ禍をコロナ禍に見立てて見えない脅威への苛立ちがSNSを媒介に沸騰する様。
主人公のマジャは生真面目なザ・仕事人間なんですが、そんな彼女がその真面目さ故に謂れのないヘイトを受けるようになる様が(ちょっと誇張しすぎな気はしつつも)恐ろしくて、サメそっちのけで人間が怖いです。
そんな感じでイマドキなテーマをサメに仮託したような映画ではあるんですが、それはそれとしてクライマックスのサメとのバトルシーンももちろん緊迫感たっぷり。昨今のサメ映画の奇抜さこそないもののちゃんとしたパニック映画として楽しめます。

ただ、結局のところ夫との関係性も誹謗中傷も特に解決してない感じなのがもやもやしますね。