偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

ラーメンズ第17回公演『TOWER』

しばらく間が開いてしまいました。
というのも、本作が(今後再結成とかがなければ)ラーメンズの事実上最後の本公演ということになるので、なんかもったいなくてしばらく放置して映画とか観てたんですけど、そうすると今度はラーメンズ不足でイライラしてくるので結局観ちゃいました。


収録内容
タワーズ1/シャンパンタワーとあやとりとロールケーキ/名は体を表す/ハイウエスト/やめさせないと/五重塔/タワーズ

前回の『TEXT』をはじめ、ここんとこのラーメンズの公演は話同士の繋がりがあるものが多い印象でしたが、今回に関しては繋がりというのはほとんどありません。
その代わり、ほぼ全てのコントが「タワー」にまつわるものなので、統一感というか、コンセプチュアルな感じはやっぱりありました。
そして、前回はシリアスで知的ぶった感じだったのが、今回はその反動なのか、もうちょいシュール寄りで馬鹿馬鹿しい感じの面白さでした。
以下各話感想。



タワーズ1」

塔のように聳え立つ象徴的な2人の姿から公演が始まります。
一つずつフレームを外していくように発想が、世界が広がっていく様は意外にして爽快。広い意味で叙述トリック的と呼んでもいいかもしれません。
そして知育玩具になっていくところの、知的でもありつつ無邪気で感覚的な面白さがまた心地よかったです。
ここからラーメンズの世界が始まるという期待に満ちた開幕です。



シャンパンタワーとあやとりとロールケーキ」

からの、わけわかんない系()。
ドアの話とあやとりの話が噛み合わないまま並行する様は前回公演の「モーフィング」をもうちょい分かりやすくしたみたいな感じでもあり、翻弄されつつも面白かったです。
あやとり、懐かしいですよね。めっちゃ苦手だったのであやとりできる人すげえと思います。



「名は体を表す」

ラーメンズらしい言葉遊びネタですが、途中からかなりアクション要素が入ってくるのであまり知的っぽくないというかむしろアホっぽくて面白いです。
こういう、小林さんが賢そうな顔で実は変なこと言ってるやつ好きです。
あと、片桐さんがどんどん暴走してくやつも好きなので、ラーメンズの好きなところが詰まった好きなお話でした!



「ハイウエスト」

これはわけわからんかった。
ハイウエストそのものの見た目の面白さと、ハイウエストという言葉の響きの面白さと、小林さんの顔の面白さ、それだけのお話です。
最初は基礎編みたいな感じで思った通りのところに来る笑いで、そこからだんだん応用編みたいに予想を外してくる面白さにシフトしていく構成が良いっすね。



「やめさせないと」

個人的な好みでは本作で1番好きなのがこれでした。
親友が他の友達と遊びに行ってしまう......という友達がほとんどいない陰キャ特有の悩みに共感しちゃった時点でもう好きになること確定。
話の筋はシンプルなはずなのに、途中でトリッキーなことをしはじめたり、某チェーン店のネタがやけに長かったりと脇道の部分でめちゃくちゃ楽しめます。
そして小林さんがとにかく卑屈で卑屈で、ハッピーエンドっぽいラストですら実はそんなに前進してない感じとかも見ていて痛々しくて凄く好きです。



五重塔

久しぶりにこんな馬鹿馬鹿しいものを見たってくらいに馬鹿馬鹿しいやつでした。
もはや会話も成立していなくて小林さんが訳わからんこと言うのに片桐さんが勝手に突っ込んでるような感じで、もはや勢いだけのネタなんですけど、その勢いが凄いからなんとなく笑っちゃうのが悔しいです。



タワーズ2」

アウトロダクション的なやつ。
これまでのコントに出てきたものや人が勢揃いしますが、繋がるとか伏線回収とかではなく、カーテンコールとかrepriseみたいなもの。
ベタな笑いを織り交ぜつつもオシャレに公演が終わっていく感じで個人的にはこの終わり方は好きです。
最後のパントマイムとかまじでめっちゃシャレオツですやんね。

今回、ほとんどの話にタワーというワードが関連はしてくるけど、正直その絡め方は無理くりな感はあったんですが、これがあることでさもかっちりしたトータルコンセプトだったように錯覚させられてしまうからズルいです。