偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

シャーコーン! 呪いのモロコシ鮫(2021)


トウモロコシ畑に現れる鮫。ストーンヘンジの秘密と、カルト教団による連続殺人事件。警察、FBI、マフィアの思惑が絡まる中、世界の終わりの月が昇る......。


実話を基にした、非常に難解なサスペンス映画でした。
大量に詰め込まれた宗教知識は教養のない私には正直難しかったし、そこに歴史や政治、「鮫とトウモロコシ」などの文学的なメタファー、またコロナという時事問題にまで触れる緻密な脚本が凄い。何が起きているのかさっぱり分からないながらも何か凄いことが描かれているという崇高さは感じられました。

映像は、手持ちカメラでの撮影にこだわり、余計な技巧も凝られておらず、部分的にではありますが「ドグマ95」を意識しているようにも思えます。
役者たちの演技も、演技らしさを抑えた自然体のものだったので、今まさに自分が映画の中にいるようなリアリティがありました。
また、そこから終盤のメタ的なセリフによって、観客の現実と虚構の境目を揺さぶってくるあたりも凄いですね。凄いですねじゃねんだわ。「まるでクソ映画だ!」ってなんだよ。予防線貼るな!
てか長え!会話のテンポとかがすごく冗長なんですよね。削れ!あとカット割れ!絵コンテとかなくその場で考えただろ!

......っていう稚拙さが自分が作ったみたいで愛着が湧いてしまいます。あとちっちゃい鮫とかブレスレットとかのどこで買ってきたのっていうアイテムが良かったです。てかトウモロコシあんま関係ねえな?