偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

フレデリック『FREDERHYTHM TOUR23-24 "Well 噛 One"』2024.1.12 Zepp Nagoya

音楽のことなんかなんも分からんからいつも通りお気持ちだけ書きます、という予防線を、フレデリックファンの方に見られた時のために張っといて......。

妻に薦められて去年くらいから聴いているフレデリックのライブに誘われて行ってまいりました。
妻の好きなものは私にとって「興味ない」とかですらなく明確に「苦手」なものが多く、こっちが一方的にスピッツとかリーガルリリーを聴かせてる状況だったのですが、その中でフレデリックだけは邦ロックという私のテリトリーのバンドだったので「じゃあ聴いてみようかな」ってなってハマったわけです。
まぁフレデリックも大学時代に「オドループ」が流行った時には歌い方ヘンだしMVの健司の髪型も相俟って「なんとなく嫌い」と思ってたんですが、むしろオドループのイメージのままでいたおかげで最近歌い方がV系っぽくなってるところにギャップ萌えして悪いイメージが吹っ飛んだというのもある。

そんなこんなで久しぶりにZepp Nagoyaへ。前来たのが2017サカナクションだったので6年ぶりのZeppでなんか懐かしかった。

わりと前の方でバーにもたれられる良い位置を確保して、間も無く開演のアナウンスにワクワクしながら待ってると、明かりが消え、仄かな青い照明と共に重低音がぐわんぐわん来る不穏なオープニングで、正直超怖くて逃げれるように非常口を探してしまったが、長い焦らし前置きを経て健司が歌い出したその声量と声の伸びにびびって歌うまっ!と思い、そっから始まる1曲目の熱帯夜からもうハートを鷲掴みにされてフレデリックに夢中になってしまった......。もちろんDVDとかでライブかっこいいのは観てたけど、いざ目の前で爆音で聴くともう圧巻ですわ。
そして立て続けに同じく盛り上がる曲オワラセナイトで早くも「今日来て良かったな......」と思ったね。わりと昔の曲なので音源との歌い方の違いもはっきり分かって今のフレデリックのカッコよさがひしひしと伝わってきた!「よ、な、か、駆け、抜け、てく」のとことかめちゃ楽しかったわ。

そして、1回目のMCは注意喚起として、「ガンガン盛り上げるけど盛り上がりすぎて酸欠にならんようにね」みたいなことだけ話しててなんて優しくてカッコいいバンドなんだと思った。
周りのファンの方たちもバンドのそういう考え方を分かっているのか、ガンガン盛り上がりつつも押したり割り込んだりモッシュしたりする奴がいなくてHigh民度でした。

そして3曲目はかなしいうれしい
フレデリックの曲って、フェスバンドの代表格として語られることもあるように踊れて楽しくて盛り上がるダンスロックチューンと、三原兄弟が大きな影響を受けたという「たま」みたいな奇天烈さの二つの軸があると思うんだけどこの曲は盛り上がり7対たま3くらいの割合でテンテコさもある曲。
そして、続く他所のピラニSPAM生活では一気に「たま」感強めの奇妙奇天烈曲ゾーンに突入してもう最高!んべんべいうエロいベースラインに乗せられて踊り狂ってしまったし、ピラニア→SPAMの繋ぎがめちゃくちゃカッコよかった。
そしてSPAM生活のBメロは音源よりだいぶゆっくりで音で遊んでる感じで、1曲の中で時間の流れ方が伸縮する気持ち悪くて気持ち良い快楽があり、音楽って時間をも操れる魔法なんだと気付かされた。

そしてラベンダは音源ではちょっと打ち込みっぽい感じの無機質なサウンドですが、ライブで生音で聴くとだいぶ印象が変わってカッコよかった。サビの音の残響感もすげえイカす。あと、照明の演出もよすぎた。後ろに[F][R][D][C]の4枚のパネルがあって、この時パネルの存在に気づいたんだけどこれがパッパッと明滅するクソオシャレな演出。たぶんこの曲までパネルをあんま使ってなくて、ここでいきなり明滅させて驚かせる作戦なんだよね?私がちゃんと見てなかっただけ?

音源通りエンジンのかかる音が聞こえてその瞬間テンションぶち上がったmidnight creative drive。ミニアルバムの中でも特に好きな曲で、これまでライブ初参戦なこともあり様子見してて手を振ったりしてなかったけどこれはもう好きすぎてめちゃ手振ってしまった。近所の人もこいつ急にノリノリになったな、とびびったと思う。
そしてフレデリックの虜にしてやんよ!(意訳)みたいな健司の小ボケを挟んだは逆にミニアルバムの中ではそんなに聴いてなかった曲だけど生だとめちゃ踊らされてしまった。踊ってない夜を知らねえわ〜とか思ってたら次がまさにオドループ。あのイントロが流れた瞬間もうサビみたいな盛り上がり方をしてて凄え。やっぱりこの曲はもう良くも悪くもフレデリックのライブには期待しちゃうし、期待を裏切らずにMAX盛り上げてくれつつ、しかしこれが本編ラストとかではなく中盤のクライマックスに過ぎないところにオドループだけのバンドじゃねえっつー意地を感じて、よかった......。
Bメロで健司がなんか喋ってたけどよく聞こえなかったのはごめん......。誰か聞き取れた人いたら教えてください。
あと間奏前に隆児が康司の周りをぐるぐる回りながらなんか小学生みたいにちょっかいかけてて微笑ましかったです(もちろん間奏のギターソロは最高)(にわかのくせにメンバーのこと馴れ馴れしく呼び捨てにするのは妻がそう呼んでるからですすみません)(でもロックスターは基本呼び捨てだよね)。
あと、たたたたんたたんたんたたんたんを覚えて行ってよかった......。

そしてここでMC。MCはいつのタイミングで何を言ったかうろ覚えなので違ってたらごめんけど、康司おめでとう〜🥳など。
配信とか見てたから知ってたけど、MC緩くていいな。しかし健司くん決めるときはちゃんと決めるし喋りがなめらか過ぎてすごい。普段スピッツとかしか見に行かないからこんなになめらかに喋るバンドマン見るの初めてかもしれん。

そして、オドループでもう最高潮かと思ってたのにそこからさらにスキライズム銀河の果てに連れ去って!とぶち上げ曲を連打し、ダメ押しのようにスパークルダンサー
この曲元から大好きなんだけど、音源だとシンセが目立って楽器の音をそんなに意識してなかったんだけど、ベースがぶいぶい言わせすぎてて踊れすぎる。なんかもはや体を操られて強制的に踊らされてるような感覚。「あ、これがディスコか......」って思ったし、これをもう一度体験するためだけにまた絶対来ようと思った。
さらにさらにKITAKU BEATS!正直「もうスパークルダンサーで遊び切ったよ......」と思うくらい燃焼してたけどさらに遊んでしまった......。2番のBメロがかっこいいことに気づいた。
そして正真正銘クライマックスのジャンキーでは「フレデリックの虜になったりジャンキーになったりお前ら忙しいな!(意訳です。お前らとか言わない)」とか言っててなにそれって思ったけどマジでミュージックジャンキーになってしまった。

そして、はぁ〜もう疲れたわ〜さすがにもう無理やで〜と思ってたらMCでグッズ紹介(?たしか)とかを挟んで、フレデリックの信条は毎回のライブを今日がこれまでで最高のライブにすることみたいなことを言ってた気がする。からの、噛めば噛むほど味が出る新曲ペパーミントガム
もう散々盛り上がった後でオシャレでチルな雰囲気のこの曲でゆったりと踊りながらのお別れがエモすぎた。なんかちょっとこの曲サカナクション感強くて好きなんすよね。
そして終わり方がライブの始まりに戻るような演出も粋で、こんだけ飛び跳ねさせといて最後ちょっと幻想的な感じで終わりやがってカッコよすぎるズルい。





......からの、アンコールではまたゆるいMCを挟みつつ、以前のファンクラブライブで未完成の状態でやった曲の完成版だという新曲PEEK A BOOを聴けたんだけど、マジでワケワカメな曲でした。変な曲が多いフレデリックの中でもこれはまた一段と変な曲で最高だったよ......。思わずライブ中に「はぁ???」って言いそうになったもん。なんかみんな笑ってたし。

そして、ほんとのほんとに最後の曲はオンリーワンダー
今日が最悪な日でもフレデリックのライブ見て今日ここに来てよかったと思えるような気持ちを与えたい、みたいなことを(クソうろ覚えだけど)健司が言ってて、これまでミュージシャンとかスポーツ選手が言う「与える」って言葉がどうも好きじゃなかったんだけど、でも彼らはプロのエンターテイナーとしての誇りと自信を持ってそう言ってるんだと思い直したし一生ついていきます!と思った。

だからあなたはあなた
わたしはわたし
君は君なんだ

健司が「みんなじゃなくてあなたに歌います」みたいなことを言ってたけど、本当に一対一で歌ってくれてるように感じるくらい最高のライブで、なんかもうこれからフレデリックが名古屋に来たら毎回見に行こうと思ったし、たとえ今日誘ってくれた妻がフレデリックに醒めても俺はファンで居続けようと思った(妻はすぐ醒めて別のもの好きになるから当てにしてない。こないだまで米津米津言ってたのにもうフレデリック一筋だし)。

健司曰く「今日があなたの人生で最高の日にするわ(意訳)」らしいけど、ほんとに今までに見たライブで1番よかった!!!
と、スピッツとリーガルリリーを二大巨頭として崇めるフレデリック第1主義ではない私にまでそう思わせるくらい楽しかったです。次いつ来るんだろう!!早くまた行きたい!!