偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

ロリータ(1962)

ロリータ (字幕版)

ロリータ (字幕版)

  • ジェームズ・メイスン
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アメリカへやってきた大学教師のハンバートは下宿先の娘ロリータに一目惚れする。
ロリータの母シャーロットはハンバートに惚れ、彼はロリータと離れないためにシャーロットとの結婚を決める。
しかし、シャーロットは邪魔なロリータを寄宿学校へやってしまい......。


面白かったです。
主人公がとにかくキモいストーカークソ野郎みたいな感じで、終始想像をちょっとずつ上回るキモさを見せてくれ続けるので胸糞悪いけど一周回って痛快ですらあるみたいな変な感覚でしたね。
ロリータの母のシャーロットがとにかく可哀想で、前半は結構彼女に感情移入しながら観てました。
後半はハンバートのキモさがどんどん悪化していくのと同時にロリータも結構嫌な性格してるのでどっちもどっちな気もしてしまってジェイソンvsフレディみたいな怪物同時の戦いみたいに見えちゃって結構笑えました。
シャーロットに対するハンバートも、ハンバートに対するロリータも、一方的に執着される側はここまで残酷になれるんだというのがリアルに描かれていて怖かったっす。

スー・リオン氏演じるロリータの魅力がもの凄くて、初めて出会うシーンなんか確かにあんな女の子を見てしまったら頭おかしくなってもしゃあないわと納得させられてしまいます。あの大人なのか子供なのか、賢いのか馬鹿なのか分からないミステリアスな感じに触れてしまったら後戻りは出来ないでしょうね、たしかに。

ドロドロした情念の溢れるお話なのにさらっと観られるのは、ところどころにユーモアが散りばめられてもいるからでしょうね。
特に、映画館のシーンや簡易ベッドのシーンなどのサイレントのコメディへのオマージュみたいな笑いがオシャレで印象的でした。