偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ(1989)


細長いリーゼントヘアーに細長く尖った靴、サングラスに黒いスーツがトレードマークのツンドラ生まれのバンド、レニングラードカウボーイズ
そそのかされて売れるためにアメリカへ行き、さらにはメキシコへ向かうことになり......。



『真夜中の虹』で気になり出したアキ・カウリスマキ監督のシュールなコメディ。めちゃくちゃ好き!

ストーリーはまじで特になくて、バンドがあちこち旅しながら演奏して回る当てのないロードムービーみたいなものなんだけど、映像の美しさ、音楽の良さとシュールな笑いのセンスがもう全部ツボでやばい。

とりあえずとりあえずもうレニングラードカウボーイズさんのビジュアルだけで78分間普通に笑えてしまうのでズルいですよ。
ゴツいリーゼントなら見たことあるけど、このひょろっとしたリーゼントだけで面白いし、犬も赤ちゃんもリーゼントだからたぶんファッションとかじゃなくて生まれつきこうなんだろうな、と思うと面白すぎる。
全体にそういう、ちょっとあり得ないことが平然と起こるというやり口で、死体を積んで普通に飛行機に乗れたりとか、死体を氷付けにして車の天井に括り付けて運んだりとか(氷溶けないんかい!)みたいな「ちょっとヘン」が頻発してツッコミが追いつかない!
それをみんな淡々と演じてるのももうダメで、あんな真顔でわけわからんギャグを連発されたらじわじわきてしょうがない。
あと真顔と言ったけどアコーディオンの人だけ顔芸担当でやたらと変なキメ顔をしてきたりするのも無理。吹く。
あと野菜関連のシーンはマジで好き。やばい。🥦やばい。🧅も。

なんだけど、映像はバチっと決まったカッコ良さだし、バンドがやる曲もだんだんといろんな音楽性を取り入れていってバラエティ豊かなので演奏シーンもMVみたいに楽しめるし、音楽とシュールなギャグが大好きな私としてはほんと完全にツボったよね......。
終わり方もそこで終わり?みたいなあっさりさが腹八分目で良いし、腹八分目だけど続編はあるから、もっと観ていたかったなぁって分をそっちで補給することにします。