偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

七人の侍(1954)


戦国時代、野武士の襲撃に耐えかねたとある農村の人々は、侍を雇い野武士と戦うことを決意する。やがて金にも出世にもならない仕事を引き受けた七人の物好きな侍が集まり、村人たちを訓練し始め......。



世界の映画史上に燦然と輝く日本の大名作!......である本作を、今更ようやく観ました。
今まで観てなかったのはただただ「長いから」という理由だけだったんですが、いざ観てみたら面白すぎて200分なんてあっという間でした。

本作はざっくり言うと、侍集め、侍たちと村人の交流、野武士との合戦の3つのパートに分かれているのですが、最初の侍集めからしてもう面白い。
それぞれ個性的な七人の侍たちが1人また1人と仲間に加わるワクワク感はやっぱ堪らんすよね。
そして村人との交流のパートでは、野武士に怯えながら卑屈に生きるしかない百姓たちの苦しみと、志村喬演じる島田官兵衛をはじめ、一国一城の主にはなれなかったはぐれ者の侍たちの悲哀とが描かれます。そして、"ニセ侍"である三船敏郎演じる菊千代が百姓と侍を繋ぐかすがいのような役回りを荒っぽくこなすのも胸熱です。
そういう地味ながら重厚な人間ドラマがじっくり描かれているからこそ、クライマックスの合戦のシーンもただアクションのかっこよさだけではない、キャラクターたちの生き様と死に様のドラマとして観ることが出来てよりアツいんすよね。
そして派手なドンパチの後であのラストシーンもとても印象的でした。