偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

好奇心(1971)


婦人科医の父と美しい母の元に生まれた三人兄弟の末っ子のローラン。ある日、病気が判り、母と2人で療養施設に滞在することになり......。


むかーしむかしに『地下鉄のザジ』を観て当時はわけわかめだったので(映画経験値積んだ今なら多少は分かる......?のか?)なんとなく苦手意識のあったルイ・マル監督でしたが本作は別に分かりづらいところもなく普通に面白かったです。

三兄弟の末っ子のローランが主人公なんですが、冒頭から万引きしてタバコ吸ってとめちゃくちゃで、でも父親は医者なので家は金持ちだし成績も悪くないみたい。兄2人が悪ガキで、ローラン本人は素直な性格なので逆に兄貴たちの影響を素直に受けちゃってる感じで、破天荒な悪さをしていくのが見てる分には面白いです。

不倫する母親、明らかにいやらしい神父さんなど大人たちから漂ってくる性の匂いを受けてローランも好奇心と畏れを持ちつつ娼館に行ったりしつつママとの関係にヤバそうな感じもしつつ......というヒリヒリする危うさとトホホ感のないまぜになったような雰囲気がなんか良い。
ラストはどういうことなのかちょっとぼかしつつ、それでいいのか?って感じもあってなかなか印象的。
なんとなく中学生の頃に帰り道でエロ本落ちてないかな〜って思ってたようなことを思い出しました。
あと、飯が不味そうなのが良い。仏教徒なので食べ物を粗末にするのは嫌なんだけど、あれは粗末にしたくなるのも頷ける。