落ち目の老舗ホテル「帝王閣」を舞台に、客やスタッフたちを描いた連作群像劇です。
収録内容
ベルボーイのホテル旅館化計画/マリコマリオ/受験/ダメ人間/ギリジンツーリスト/バニーボーイ/1313/帝王閣ホテル応援歌
ラーメンズのライブDVDを観るも早いもので3本目ですが、本作は前の2つよりちょっと落ちるかなっていうのが正直な感想です。
といっても個々のネタはやっぱり面白いんですけど、じゃあ何が不満かっていうと単純に期待しすぎた、ってとこですね。
なんせ、全体を通して一つのホテルを描いた連作ですから、ミステリファンとしてはどうしても各話間の細かいリンクとか、最終話で明かされる真相とか、そういうのを期待してしまいます。前作までにもミステリ的な要素が強いお話もちょいちょいあっただけになおさら。
でも、各話のリンクはなくはないけど普段とさして変わらない程度だし、最終話が応援歌なのも全体の構成としてなんとなく散漫な感じがしてしまいます。
そんな感じで、勝手に期待しすぎたわりには期待に達しなかったかなぁという印象の本作ですが、とはいえ個々のネタは面白く、いくつか特に気に入ったものもあったし、普通に面白かったです!
以下各話の感想。
「ベルボーイのホテル旅館化計画」
舞台設定の説明も兼ねたイントロダクション的な第一話。
スタッフの中では最弱くらいであろうベルボーイたちが革命を企てるという設定がいかにも好きそうな感じで微笑ましいっす。情けなくもロックンロールなお話ですね。
「マリコマリオ」
タイトルから想像がつく通り、漫画家コンビの話。やっぱホテルといえばカンヅメ!私も作家になったらカンヅメやってみたいですねぇ。まぁよっぽど売れっ子じゃないとさせてもらえないだろうけど......と考えると彼らマリコマリオ先生は意外と売れてるのかしら?
「受験」
アホすぎてイラッと来つつも、なんだか絶妙に分かってしまうのが辛いところですよね......。私も学生時代には英語苦手すぎたので(いや、今も苦手だけど使う機会もないから苦手意識を感じることもない)、英語のつづりの理不尽さには思わずうんうんと頷いてしまったり......。
「ダメ人間」
「ダメ人間」ことチンピラっぽい風貌の小林さんが新鮮ですね。どっちかと言えば小林推しなのでいつもと違う一面が見られて嬉しいです(?)。
なんかもう半分くらいアドリブかと思うようなグダッとしたノリが心地よいですね。
最後だけなんか上手くオチたっぽくしてるのも好きです。
「ギリジンツーリスト」
タイトルの通りなんだけど、まぁひっでえ。
ギリジンが歌わずに普通に喋り出すから何かと思えば言っとることがただただめちゃくちゃっていうだけのわけわかんないお話なんだけど、なんかもうここまでいくと音楽でも聴いてるかのように、意味のない小ボケの連発が耳にするする〜っと入ってくるんですよね。
もちろんいつものやつも途中でぶちかましてくれるし、ギリジンファンなら当然楽しめますけど、それにしてもわけわかんねえ。
「バニーボーイ」
小林さんがウザ可愛いの極みバニーボーイを演じるお話。
会話の噛み合わなさにイライラして脳みそを掻きむしりたくなりつつも、なぜかそれが快感......という気持ち悪い気持ちよさは、小林違いで小林泰三の小説なんかを思い出してしまいました。
これもなんかところどころぐだぐだなところが面白くて、酒飲みながら友達と話してるみたいな気分にさせてくれます。好き。
「1313」
映画みたいなタイトルからなんとなく展開が予想できてしまいつつも、ここまでアホみたいなことだとは流石に想像がつきませんでした......。
まぁどんでん返しと言えばどんでん返しだし、本作で一番ミステリっぽいんだけど、アホすぎて全然そんな気がしませんでしたね。
良い話っぽくなりそうなところを別にそんな良い話とも感じさせないし、なんだか掴みどころのないお話ですよね。正直そんなに好きじゃないです。
「帝王閣ホテル応援歌」
コントの中に歌が出てくるとかではなく、ほんとにただ応援歌。もちろん歌詞の内容とかで笑わせてはくれます。
エンディングテーマ的な位置付けかもしれませんが、個人的には今更ホテルの紹介をされるよりオープニングにこれがあった方が良かったのでは......とも思ってしまいました。
しかし歌が上手い。もしかしたら、かなり熱唱するから最初にやると消耗しちゃうので最後に持ってきてるってのもあるのかもしれませんね。
ラーメンズってなんとなくあんま下ネタとかやんないイメージでしたけど、これの終盤の歌詞とかかなり下品で好きです。
なんだかんだ歌で終わるってのも大団円感があっていいのかもしれません。