偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

トラフィック

名古屋人です。
名古屋は車の国だの名古屋走りだのとよく言われ、実際名古屋を走っていると結構酷い運転をよく見かけるので名古屋はすごい街なんだと思っていました。

この映画を見たらそれは勘違いだっと気づきました。

フランスすげえ。スケールが違うよ......。
※別にカーアクションとかでわないです。





というわけで、ジャック・タチのユロ氏シリーズ・自動車展示会編でございます。

車のデザイナーになったユロ氏は、考案したキャンピングカーを出展するため展示会場に向かうが、警察の事情聴取や大事故などに巻き込まれなかなか会場に着けない......というドタバタロードムービーです。

前作『プレイタイム』はストーリーの焦点がどこにも合っていない感じでしたが、本作は分かりやすい筋があるので、個人的にはこちらの方が好みでした。綺麗な映像と小ネタの連続なのは前作と同じく。

画面の雰囲気は前作が無機質で未来的なオシャレ感だったのに対し、今作は色鮮やかで可愛い感じ。こちとら心はいつでも17歳JKなので、こういうキュートでポップな画が好きですよそりゃ。向こうは作業服もガソリンスタンドも原色で可愛い⛽️ もちろん本作の主役である車たちも可愛い🚗🚙🚜 車にほとんど興味のない私ですら可愛くて悶えたので、これ車好きな人が見たら悶え死ぬでしょ。

また、ギャグもポップでキュートで分かりやすかったです。
キャンピングカーの仕組みへの脱力感とか、悪戯っ子たちによってヒロイン(?)が泣かされるシーンとかおかしくておかしくてしょうがなかったです。
何と言っても、車たちのダンス......というか、まぁ、有り体に言えば複合大事故なんですけど、これが凄かったです。ボンネットぱかぱか、前輪ふわ〜、タイヤころころ〜。現実には絶っっっ対遭遇したくない光景ですが、滑稽さを通り越して白昼夢のような美しさのある傑作ギャグシーンで、ここだけ何回も観たいくらいでした。

しかし、一つ恐ろしかったのは、ギャグでもなんでもないようなシーンですら車の運転が荒すぎる......。ウインカーの無い時代に対向いる中での急左折(車線が日本と逆なので日本でいう右折と思ってください)とか平気でするし、ちょっとくらい人の車にぶつけても「(。・ ω<)ゞてへぺろ♡」だけで済ませやがります。今まで名古屋の過酷な道を走っているという自負を持ってきましたが、フランスのガチのデスロードを観てしまってそれが喪失されたことだけが残念でした。

つーわけで、機械化の風刺とか資本主義批判とか言われてますが、そういうの抜きにしても、タチの作品の中で一番エンタメ性が強く誰が観てもシンプルに面白い作品だったと思います。