偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

北大路公子『苦手図鑑』感想

4ページほどの短いエッセイを35編収録した北大路公子のエッセイ集。

タイトルの通り広い意味で著者の苦手なものをテーマにしたエッセイが多い一冊ですが、そもそも普段から何かに文句を言ったり出来ないやりたくないみたいなのが多いので平常運転でしかない。
だいたい毎回同じような話しかしないのにめちゃくちゃ面白いし、こんだけ何にもしてない、家で昼から酒飲んでるだけの人間のエッセイを何冊読んでもちゃんと面白いのが凄い。
今回特に面白かったのは家庭科の裁縫の話とゴミの分別の話、あとホラー映画好きなのでホラー映画の話も良かったです。
そして、最終話の「塔」だけがもう超ウルトラスーパー異色作なんですが、これがあることによってなんかここまで読んできたこの本が尊いものに感じられてしまうのが腹立つわ。何もない日常の尊さと愛おしさ......みたいな。

それぞれの話のその後が最後におまけで付いてるのも面白いんだけど、どれがどの話だっけってなるので最後にまとめてじゃなくて都度都度載せといてほしかった。