偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

ウィジャ・シャーク 霊界サメ大戦/ウィジャ・シャーク2

幽霊ザメの活躍する、いわゆるZ級クソサメ映画ですが意外とめちゃくちゃ良かったんで紹介します。
そして2は普通にクソだったけどついでに紹介します。



ウィジャ・シャーク 霊界サメ大戦


オープニングでそれっぽい昔の絵とそれっぽい音楽が流れてなんか映画が始まるぜっていうそれっぽさを出しててワクワクする。
冒頭からしてお姉さんが車から降りてきて海まで歩いてきておもむろに服を脱いでなんか寒がりながら水に入っていくというどういうシチュエーションやねんみたいな場面がそこそこじっくり描かれるのを筆頭にどーでもいいシーンがちょっとずつ長くてかったるい感じはします。

ただ、友達の家のお洒落な内装や中庭、お姉さんたちのカラフルな服装や水着姿、カメラワークもしっかり練られていて、低予算なりに「映像を見せる」ということに気を使ってる感じはすごくあるのでかなり好感が持てました。

とはいえ、小学生が昼放課に作ったみたいなヴィジャ盤とか、君の前から姿を消すって言ったのにきちんと消えられない半透明サメちゃんとかチープなヘンテコ映像ももちろんいっぱいあって楽しいです!
サメがゴーストなので食べられた人間も消えちゃうという設定でグロいシーンを割愛して予算を浮かせているのもとてもクレバー。
あと、最初にはっきりとサメが出てきて襲われる場面の、男女の会話からの流れがめちゃくちゃ良かった。普通に演出がうまいと思います。

そしてなんといってもクライマックスのサメとのタイマンバトル、あれ最高っすね。久しぶりにZ級サメ映画で腹抱えて笑いました。それまでゴーストシャークの存在以外は地に足のついた作風だったのが一転してぶっ飛んじゃうこの飛距離に惚れました。1人ずつ食われていくという王道なホラー展開から後半でどんどんジャンルミックス......っていうと聞こえが良すぎるけど雑多なアイデアをごった煮していく感じが堪らなく愛おしいです。

そんな感じで、まぁZ級クソ映画には違いないけど意外にも「時間を無駄にした」とは思わないくらいの出色の出来で予算の割には大傑作だと思います。続編もあるらしいから「シャークネード」みたいな人気シリーズに育ってくれるよう期待!




ウィジャ・シャーク2



......てわけで、前作がZ級サメ映画の中では最も好きな部類の傑作だったので2も楽しみにしてたんですが、まぁ予想通りというか、それにしても想像以上にレベルダウンしてて驚きました。

前作で地獄行きになった父親アンソニーが地獄の支配者とその手下の幽霊サメと戦うお話。

冒頭からがっつりと前作のあらすじを語ってくれる親切設計で前作を観てない人でも安心して観られるようになってますが、マジで本作はゴミなので本作から観るくらいなら前作だけ観てほしい。
アンソニーを演じるジョン・ミリオーレが本作では監督・脚本も兼任して自作自演してるわけですが、そのせいなのかなんなのか映画としての出来が単純に落ちてるんすよね。
なんせカメラワークはガチで俺でも撮れそうというか俺が撮ったみたいな正面から固定カメラオンリーの単調なモノだし、ストーリーも俺が小学生の時に放課に書いて友達に見せてた漫画とそう変わらないシロモノでして。まぁ映像についてはコロナのせいでリモート撮影みたいなのしてんのもあるだろうから可哀想ではある。日本のリモート制作のドラマとかも映像の出来は散々だったし.......。

とりあえず序盤から惜しげもなくミスティックシールドを出してくれて、その後もいろんな技が観られるんだけど、それも別になぁ......。
思うに、前作は集まった若者たちが怪物から逃げ回るという正統派なホラーのプロットの中に突然、一瞬だけミスティックシールドが出てくる違和感がいわば薬味のように効いてたのであって、本作では薬味のわさびだけを皿に山盛りにして「これが好きなんでしょ?」と言って出されているような感覚なんすよね。
薬味は薬味の分を弁えて最後にピリッと効いてくれればそれで良かったものを......。
あと、変にメッセージみたいなのを入れてくるのが強烈にダサかったな......。

日本ではこれが単日1回のみとはいえ劇場公開されてU-NEXTにも来ちゃってるし、エンドロール見ても日本人がありがたがるからこんなモノが大量に生産されてしまっているのだろうという罪の意識に苛まれました。

まぁ、でもふよふよ浮かんだりするサメちゃんがとても可愛かったので良かったです......。