偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

後藤正文『ゴッチ語録 決定版』

アジカンのゴッチの本。

2004年から2005年にかけてピアで連載された、五十音の順にトピックを挙げて2ページほどで語るコラム『ゴッチ語録』。
および、2010年から2011年に連載されたその続編『ゴッチ語録A to Z』を合本した決定版の文庫です。

アジカンディスコグラフィーに照らし合わせると、五十音の方は『ソルファ』をリリースし、『ファンクラブ』を作っているくらいの時期。
アルファベットの方は、『マジックディスク』の制作中からリリース後くらいに当たります。

基本的にはバンド名のトピックが多く、ゴッチがそのバンドと出会った時の思い出などが語られていき、毎回CDを1枚紹介するというディスクガイドの側面もあるのでゴッチやロックバンドに興味があればなかなか楽しめる本だと思います(てかファンじゃなかったら読まんか......)。
出てくるバンドはけっこう、興味はあるし数曲知ってるけどちゃんと聴けてないみたいなのばっかで音楽欲が無駄に上がってしまいました。聴けもしないのに。
あとメタルとか苦手でオタクっぽいロックが好きみたいなのも分かりみがつよかった笑。

五十音の方は、ゴッチが29歳くらいの時?の文章で、まだ今のように整ってはいないけど好きなものへの情熱を感じさせるエモさがありつつ惚けた味わいも(たまに滑ってるけど)あって楽しいですというか私とほぼ同い年だと思うとそれでソルファ作ったのは凄え。

そして後半のアルファベットの方はもうちょっと歳を重ねて大人なゴッチが見られます。また連載終盤で3.11が起きたこともあり、軽い読み物だったのが終盤だけ急にシリアスになったりもして、後の「The Future Times」の活動などにも繋がっていく感じがして感慨深かったです。
また、巻末にはクドカンやライムスターとの対談もあって、特にライムスターとの音楽と言葉に関する話が面白すぎてずっと読んでたいというか喋ってんの聴きたいと思っちゃいました。
ライムスターも興味はあるけどそんな聴いてないから、対談中に挙がってたターニングポイントのアルバム『マニフェスト』以降だけでも聴こうかな......。