偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

野原広子『消えたママ友』感想

本棚探偵さんにお借りした漫画です。本棚探偵さん、あざまる水産


レタスクラブという生活情報サイトに連載されていた漫画らしいんですが、今夜の献立とかと一緒にこんなもんを載せるなよ!と言いたくなるようなイヤな話。

タイトルの通り、主人公のママ友・有紀ちゃんがある日突然失踪し、彼女が消えたのをきっかけにして今まで上手く回っているように見えた人間関係がしゅるしゅると綻びていきます。
物語の中心である有紀ちゃんがどこにいるのかもなぜいなくなったのかも分からず不在のまま、その周辺にいる主人公や夫、他のママ友たち、有紀ちゃんの家族らの間で話が進んでいくのですが、1話ごとに善良な小市民であるかれらの間が色々とギスギスしてくるのが恐ろしい。
友達と比較しての嫉妬や、自分の子供が大事な故の諍い、子育てへの意識の違いなど......「ママ友」という場においては善良な人々の「闇」とまで言えないような素の醜さが発露してしまうんだなぁ。そりゃ、自分で選んだ友達じゃなくて子供同士が仲良いだけの関係性ですもんね......。

しかしそんな特殊な場を描きつつ、終盤で語られる有紀ちゃんの生きづらさなどは現代社会を生きる私たちに普遍的に当てはまるところもあり、苦しくもよくぞ言ってくれたという気分にもなりました。
まぁしかし、これを読んでますます子供作らないでおこうという思いを新たにしましたね。