偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

2017年、私的アルバムランキング!

あけましておめでとうございます。嘘です。メリークリスマス。

2017年、いかがでしたでしょうか?
つらいことがあった?わかる、私もです。
楽しかった?そうか、楽しかったやつは爆発せよ。

というわけで個人的には踏んだり蹴ったりと泣きっ面に蜂を足したような1年でしたが、そんな中で音楽だけは今年も優しく寄り添ってくれました。
音楽って、、、擬人化すると、大好きだし一緒にいて楽しいし色んな感情を湧き上がらせてくれるし聴きたい時だけ聴けばいいからめっちゃ都合のいい恋人みたいですよね。やっぱ人間の女はクソだ。ママ〜っ!ぼく、音楽と結婚するよ〜っ!!

というわけで、今年も終わるので2017年に出たアルバムやミニアルバムの中で好きなやつをランキング形式でざっっっくり紹介していきます〜。それではまずは第10位!


10位 欅坂46「真っ白なものは汚したくなる」

真っ白なものは汚したくなる(通常盤)

真っ白なものは汚したくなる(通常盤)


はい、出ました。いやー普段アイドルって聴かないんですよ。嫌いとまでは言わないけど、2.5次元の女に入れあげることができないタチなのでメンバーへの興味も「顔が可愛い」程度にしか湧かず、そんな奴が曲だけ聴くのもなんかガチのファンの人に怒られそうだからなんですね。あと単純にキャピキャピした歌も好きじゃないっていう。
ただ、欅坂ってキャピキャピしてないしアイドル好きじゃない人でも楽しめるくすぐりが歌詞とか曲とか振り付けとかにあって、「サイレントマジョリティー」以下シングル各位をテレビで見たり聴いたりしてるうちになんとなく気になってアルバム借りてみたんです。
そしたらもうかなり好みな曲調だったので驚きましたよ。だってダークでカッコイイ系の曲や眩しすぎて死にそうな青春ソング好きにはドンピシャでしょ。
個人的には「手を繋いで帰ろうか」の爆発しろ感と、「誰よりも高く跳べ!」「大人は信じてくれない」「不協和音」の怒涛のシリアス繋ぎにやられました。でも一番好きな曲は「エキセントリック」。
名盤です。

欅坂46 『エキセントリック』 - YouTube




9位 松永天馬「松永天馬」

松永天馬 (初回限定盤)(DVD付)

松永天馬 (初回限定盤)(DVD付)

アーバンギャルドの全作詞、多くの作曲、サイドボーカルを務める松永天馬のソロアルバムです。
アーバンの方では女性ボーカルに仮託して少女の歌ばかり書いてて正直私のようなおっさんには分かりづらいところもありますが、今作はソロということでイカ臭い気持ち悪さが濃厚なアルバムになってます。
ただ歌詞も曲も気持ち悪いんだけど気持ち良い。サウンドも夜っぽさの強いディープなダンスミュージック成分が多めで好みドンピシャでした。
人前で聞くのは憚られるけど部屋でヘッドホンしてこっそりリピートしちゃう感じの名盤です。

松永天馬 - Blood,Semen,and Death. (YOUTUBE ver.)TEMMA MATSUNAGA - 血、精液、そして死 - YouTube
松永天馬 - ラブハラスメント TEMMA MATSUNAGA - LOVE HARASSMENT - YouTube




8位 RHYMESTER「ダンサブル」


いやー普段ヒップホップも聴かないんですけどね。RHYMESTERは友達が好きなのと宇多丸さんが映画の紹介をやっててそれをたまに聞いたり読んだりするので気になってました。
しかし、良いですね。いや、他の曲はベストに入ってるような有名なの数曲しか知らず(せめてベスト聴けって感じですよね)、そのためこのやアルバムが彼らの作品の中でどのような位置づけかとかはさっぱり分かりませんが、とにかく良いです。

アルバムタイトルの通り横に揺れながら聴ける、まさにダンサブルな曲が多く、その横揺れをリズミカルなラップが推進していくような......。ラップでダンスミュージックってこんなに気持ち良いんだ!と驚きましたよ。
でリリックもやっぱ凄えよ。ちゃんとストーリーになっていながらめちゃくちゃ韻を踏んでる。そりゃラップなら韻を踏むのは当たり前かも知んないし、その辺詳しいことはさっぱり分かんないですけど凄いと思いました。
とにかく突き抜けて気持ち良い名盤です。

RHYMESTER - Future Is Born feat. mabanua - YouTube




7位 syrup16g「delaiedback」

delaidback

delaidback

今年は色々と嫌なことがあって「そうだ、メンヘラになろう!」と決意した一年でした。さて、メンヘラになるにあたり、私は型から入るタイプなので、メンヘラらしい作品を摂取しようと思い立ったわけです。そうして今年ハマったのが『人間失格』、押見修造、そしてsyrup16gだったわけです。
で、一年で彼らのアルバムを全部聴いて、もう知らない曲がなくて寂しい😂と思っていたところでの本作のリリースということでソッコー買いました。
正直前作がいまいちだったので不安もありましたが、今作は全曲過去の曲ということでいまいちなハズもなく......。なんかもはや暗いのか明るいのか分かんないというか諦めすぎて前向きにも見えるみたいな感じ。あと今作はかなりボーカルが(音量の段階から)強調されていて、五十嵐隆の声が大好きな人間としては一枚通してゾワゾワしっぱなしでした。
問題はこれが全曲過去曲ということで、次の新作がどうなるか、そもそも新作まだ出すのかというところが心配な気持ちはありますが、ともあれ名盤です。

Syrup16g 赤いカラス LIVE - YouTube




6位 BaseBallBear「光源」

光源(初回生産限定盤)(DVD付)

光源(初回生産限定盤)(DVD付)

ベボベといえば青春!というのが我々世代の一般認識でしょうが、最近は青春以外にも人生のことや世間に物申すみたいな曲まで歌詞の幅が広がってる印象があります。もちろんそれは良いことですが、どこか寂しさがありました。
そんな作風の変遷、更にはメンバーの脱退も経て、今作は再び"青春"をテーマに掲げたアルバムになっています。
曲数は少ないですが、曲調はブラックミュージック感の強いものから往年の王道ギターロックまで幅広く、歌詞も青春のキラキラと痛さ暗さがどちらも詰め込まれています。また、そういう青春を過ぎたものとする視点もあって、個人的に社会人になった今年に聴くとなかなかキツいものがありました。
特に好きな曲は「逆バタフライエフェクト」。直接的に青春を歌っているわけではありませんが、"今までの全ての選択が収束して今がある"という"逆バタフライエフェクト"の発想がこのアルバム全体のテーマを貫いていますね。
いやはや、名盤です。

Base Ball Bear - すべては君のせいで - YouTube




5位 米津玄師「BOOTLEG

BOOTLEG(映像盤 初回限定)(DVD付き)

BOOTLEG(映像盤 初回限定)(DVD付き)

米津玄師、まさかここまで大々的にヒットするとは。個人的には最近ちょっと離れてたんですが、今作に収録されたシングルの「ピースサイン」をフォロワーさんがカラオケで歌ってるのを聴いたり「灰色と青」のPVをテレビで見たりして「米津玄師ええやん......!」と思い始めていたところにこのアルバム。聴いてみたらめちゃくちゃ好きな音でしたね、はい。
もちろんどの曲もいいんですが、個人的には7曲目の「Moonlight」からの夜っぽい曲繋ぎとラスト二曲のキラーチューン連打が最高だと思います。
サウンド自体の懐かしさとメロディのノスタルジーとそれでいて新しい刺激的な感じと、染み入るような歌声。
ダークな雰囲気もありつつ今まで以上に美しく今までになく開けた印象の名盤です。

米津玄師 MV「 灰色と青( +菅田将暉 )」 - YouTube
米津玄師 MV「春雷」Shunrai - YouTube




4位 ゲスの極み乙女。達磨林檎

本当は去年発売されるはずでしたが未成年飲酒により発売が延期されたアルバムです。当時は「延期だと〜💢なにやらかしとんねん💢」と思いましたが、そうして待たされた結果、行列に並んだ後に食べるラーメンのような美味を味わえました。
まずシングル曲がない全曲書き下ろし新曲のアルバムということで、今まで以上にヘンテコでマニアックな曲が多い気がします。それでいてやっぱりどの曲も頭にこびりついて離れない中毒性があって何度も聴いちゃいます。
この中毒性の秘密は曲の幅広さにもありますよね。初期のゲスっぽいわちゃわちゃした曲から最近のゲスっぽいメンヘラが踊ってるような人力ダンスミュージック、畳み掛けるような焦燥感のあるポエトリーディングから女性メンバーも交えた演劇のように展開する歌まで、今までのアルバム以上に一曲一曲の個性が際立っています。そんな幅広い楽曲たちがあるときは流れるように、ある時はギャップで驚かせるように並んだ曲順も素晴らしくて、飛ばし曲ナシ。更に最後の曲が軽妙なので絶妙にもう一回聴きたい気分にさせられる。そんな、アルバムという形で音楽を聴く愉しさを思い出させてくれる名盤です。

ゲスの極み乙女。「心地艶やかに」 - YouTube
ゲスの極み乙女。 - 「影ソング」 - YouTube
ゲスの極み乙女。「勝手な青春劇」 - YouTube
ゲスの極み乙女。 - シアワセ林檎 - YouTube





というわけで以上ベスト10〜4でした。
それではいよいよベスト3の発表............

............の前に、アルバムベスト10以外で今年の音楽についてどうしても言っときたいのが............

............そう、今年はスピッツですよ!なんと2017年はスピッツ結成30周年ということで、去年アルバム出したばかりなのに早くも新曲3曲入りの3枚組ベストが発売されました。

ベスト部分はすでに知ってる曲なのではしょりますが、新曲3曲がとても良かったです!
暖かいバラード、ミディアムなロックチューン、そしてインディーズ時代のスピッツにオマージュを捧げた疾走感のあるパンクチューンと、ガラッと曲調を変えてくるサービス精神!さらにスピッツが30年経ってまだ歌い続けていることを力強く歌った歌詞!節目の年にこんな素敵な新曲出されちゃ「ベストなんてみんな知ってる曲やしな......」と思っているファンも無理やり買わされ......失礼、楽しませてもらえました。

スピッツ / ヘビーメロウ - YouTube
映画 『先生! 、、、好きになってもいいですか?』スピッツ「歌ウサギ」スペシャルショートムービー【HD】2017年10月28日公開 - YouTube
スピッツ / 1987→ - YouTube

さらに同じく30周年記念のツアーもやってて行ったんですけどこれもよかった。ベストの曲多めの選曲でしたが古い曲も今の演奏で聞くとまた一層輝きますね......。このツアーのDVDが15,000円で出るらしいんですが、たっけーな!と思いつつも買うんでしょうね私は......。



さて、それではいよいよベスト3の発表です。いきます。






でーん!

3位 SHE IS SUMMER「WATER」

WATER

WATER

元・ふぇのたすのボーカル、MICOちゃんによるソロユニット・SHE IS SUMMER!その記念すべきファーストフルアルバムがこの「WATER」です。
もうね、好きなのか嫌いなのか分かりませんよ。というか好きで嫌い。というか嫌いすぎて好き?とにかく、SHE IS SUMMERに対してはそんなフクザツな感情を抱いています。
なんせ女性目線のめんどくせえ恋愛の歌詞ですからね。男の敵ですよこのクソ女は。「とびきりのおしゃれして別れ話をしに行こう」とか「ずっと出会ってから付き合うまでのあの感じでいよう」とかね。殴りたくなるでしょ?泣きたくなるでしょ?女ってほんとゴミだわ。
そんなファッキン歌詞をファッキンエレクトロニカサウンドでキラキラと歌われた日にゃあ死にたくもなるよ。ああ、死にてえな。名盤です。

SHE IS SUMMER 「WATER SLIDER」MV - YouTube
SHE IS SUMMER / 出会ってから付き合うまでのあの感じ - YouTube




2位 ドレスコーズ「平凡」

元・毛皮のマリーズのフロントマン、志磨遼平によるソロバンド・ドレスコーズ
その5枚目のアルバムである本作は、個性を悪とし平凡であることが求められる架空の国で、「平凡であれ」という啓蒙をするバンドのアルバムというテーマの完全コンセプトアルバムになっています。

元はバンド形態だったドレスコーズですが、3枚目のアルバムを出す前に志磨以外のメンバーが脱退、現在は一人バンドというスタンスでやってます。その特性を駆使して、今回のアルバムにはPOLYSICSのハヤシ、ZAZEN BOYS吉田一郎Scoobie Doのナガイケジヨー、在日ファンクホーンズなどなど豪華な実力派演奏家をバンドメンバーに迎えてファンク色の強いダンサブルなサウンドになっています。正直初めて聴いたときは今までの作風との違いに困惑しましたが、とはいえあまりのカッコよさにそんなことどうでもいいやと踊らされました。
そして何度か聴いて踊っているうちに、こうやって踊っていることで個性が削ぎ落とされていくような怖さを感じてしまいます。そうなりゃ志磨遼平の思惑通りで、「人は生まれながら 誰もが皆common」「正しみは 誰ともちがえないこと」「さがせ、エゴを!こわせ、エゴを!」という言葉たちが襲ってきます。
その中でも私が好きなのがラス前の曲の「おかしな歌に涙して おかしな映画を観て笑った ぼくたちも 年をとり髪を切った」というフレーズ。
ちょうど今年大学を卒業して無個性な社会の歯車と化した私には突き刺さるものがあります。

アルバムの中でなにか明確な結論や答えのようなものは提示されませんが、それだけに今の世の中へのナマの問題提起として聴くたびに色々考えさせられる作品になってます。音の中毒性も併せてこれからも何度も聴くことになるであろう名盤です。

ドレスコーズ「エゴサーチ&デストロイ」PARALLEL VIDEO from『平凡』【イヤホン視聴推奨】 - YouTube
ドレスコーズ「人間ビデオ」MUSIC VIDEO (フル3DCGアニメ映画「GANTZ:O」主題歌) - YouTube




それではいよいよ、映えある第1位を発表します......!













でーん!

1位 indigo la End「Crying End Roll」


はい、もうこれしかないです!このアルバムに関しては一応感想を書いているのでそれを貼っておきます。↓

indigo la End『Crying End Roll』の感想だよ - 偽物の映画館

川谷絵音は世間からの好感度を悪魔に売り渡し、代償として傑作しか作れなくなってしまったのではないか......?
そんなことを思うくらい、今年の彼の活躍は凄まじかったです。ゲスとindigoを掛け持ちしつつボカロPやDADARAYのプロデュースなど、人間業ではない八面六臂の活躍にもうすぐ死ぬんじゃないかとすら思います。生きてくれ。生きてもっと素晴らしい曲を聴かせてくれ。
このアルバムについて、詳しくは上のリンク先で書いてるので割愛しますが、ざっくり言うと失恋と生命という『藍色ミュージック』からの流れに、ゲス乙女のようなピアノやコーラスの要素を取り入れ、リミックスなんかも入れちゃいつつアルバムとしての曲順も完璧な、進化系『藍色ミュージック』といったところでしょうか。聴けば聴くほど味が出るのでなんだかんだリリースされて以降しょっちゅう聴いてしまっている名盤です。

ちなみに12月にリリースされた配信シングル『冬夜のマジック』もとても良かったので今年は川谷絵音の年でした(と毎年言ってる気が......)。来年も過労死しない程度に頑張って欲しいです。

indigo la End「想いきり」 - YouTube
indigo la End「鐘泣く命」 - YouTube
indigo la End「プレイバック」 - YouTube

indigo la End「冬夜のマジック」 - YouTube






というわけで、今年ハマったアルバムベスト10+スピッツでした。
他にもGRAPEVINE「ROADSIDE PROPHET」、Suchmos「THE KIDS」、パスピエ「&DNA」、ONE OK ROCK「Ambitions」、女王蜂「Q」、おいしくるメロンパン「indoor」、Hump Back「hanamuke」など、なんだかんだ名盤がたくさんあった一年でした。
個人的には人生で最低の一年でしたが、やっぱり音楽っていいもんですね〜。
来年もはやくも聴きたいアルバムが何枚か出ることが発表されているので、リアルは捨てて音楽充に励みたいと思います。
それではみなさまメリークリスマス&良いお年を〜!ファッキュー!