偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

八つ墓村(1996)

70年代の5作品から20年ほどの間を開けて、金田一役も豊川悦司に交代しての市川崑金田一第6弾。


天涯孤独の青年・寺田辰弥の元へ、岡山の八つ墓村から使者が訪れる。辰弥は実は八つ墓村の資産家・多治見要蔵の遺児だという。
しかし対面の際に辰弥の祖父・丑松が毒殺され、辰弥が村を訪れるとさらに連続殺人が巻き起こり......。

やや90年代っぽい乾いた感じがあるものの演出の仰々しさとかはけっこう以前のシリーズの雰囲気を受け継いでいて「そうそう、これこれ!」という感じで観れました。
やっぱりキャラの濃い双子の婆様とか濃茶の尼とかがインパクトを出しつつ、天涯孤独の青年辰弥のルーツを巡る物語であり、新太郎くんと美也子さんのロマンスの一面とかもあって、もちろん旧家の実権とかつての惨劇や祟りを巡る田舎ホラー的側面もありいろんな味が楽しめる作品です。
トヨエツの金田一に関しては、金田一というよりなんか古畑任三郎っぽさがちょいちょい出てきて笑っちゃったけど、ナヨっとした棒読みな感じは味があって嫌いじゃないです。

原作がわりかし長いので、映画では見立てとか典子ちゃんのヒロイン力とかが削られていてちょっと物足りないんだけど、まぁざっくりとは原作の筋をしっかりなぞりつつ市川崑金田一らしさもあり、「よし、わかった!」「しまったぁ〜!」もあってちゃんと面白かったです。