偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

タイタニック

仮にもね、映画ファンを名乗っていながら、今さら『タイタニック』を観るっていう。
別に「こんな誰でも観てる超大作なんか俺は絶対観ないから!」っていう反骨精神ではなくて、ただ単に長すぎて気力が湧かないお年頃だっただけなんですけど、実際観てみて反省しました。
こんな超名作エモエモムービーを観ていなかったなんて俺は馬鹿か!!!

タイタニック (字幕版)

タイタニック (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video



一応ざっくりあらすじを書いておくと、1912年に起きたタイタニック号沈没の事実を基に、架空のキャラクターである、幸運によってタイタニックに乗れることとなった貧乏人ジャックと、望まぬ結婚のために乗船した令嬢ローズとの身分違いの恋を描いたラブストーリーですな。



結末までは書かないけど展開とかそこそこネタバレしてます。



もう何もかもがズルい。
絶対に泣けるように設計されている映像による暴力のような映画でありまして、そうと分かっていてもやっぱり泣かされてしまうので好きだと言わざるを得ないっつうね。ベタがほんとに好きなの......。

まずもう2人の関係がずるいっしょ。不倫で純愛っていう。純粋に応援したくなりつつ、背徳のハラハラもちゃんとあって、やばい。

からの、恋愛映画でありつつパニックムービーでもあるっていう、It's a 吊り橋 effect!!
起承転結の化身かよってくらいに起承恋愛からの転でのパニックのハラハラの起伏が見事。

恋愛パートの、映画史上最高といっても過言ではない名場面のあそこなんかはマジックアワーの美しい夕景と感情揺さぶりすぎる主題歌のインストが流れることでもはや科学的に泣かされるんです。
同じく、ハラハラパニックディザスタースペクタクルの場面では、ピカチュウショックを誘発しようとするかのような光の明滅だったり、「深呼吸して」と呼びかけて観客の呼吸までも操る演出によって科学的に臨場感を植え付けられます。
パチンコの光の点滅に中毒性があるみたいな話を聞いたことがありますが、本作ももはやそれ。
あらゆる手を使って無理矢理に感情を揺さぶってくる様は、これぞほんとのマインドファックムービーと呼びたい!

私はこれてっきり船の中だけの話だと思ってたんですが、冒頭は現代パートで、そこで「これ伏線ですよ」と声高に叫びながら伏線をばら撒き、それをクライマックス以降でどんどん回収していって、予告されているのに泣くのを防げない私はもう怪盗キッドに対する中森警部であります。



そんで、キャストが良すぎる。
脇役の方々も、顔からして嫌な金持ち感をハツラツと発散してるローズのフィアンセに、同じく分からず屋さん全開のママに、ミザリーのイメージでヤバいやつかと思ったらただのいい人だったおばちゃんなどなど賑やか。

ディカプリオは今やなんか顔でっかいおっちゃんですが、この時は本当に美しい。
綺麗なんだけど自由人の奔放さも感じられて、こいつに助けられたら俺でも惚れるわと思っちゃう。ミスチルの桜井がさっき録画しておいたのもこれなんですかね。

そしてケイト・ウィンスレットはもう、好きですよ。
エターナルサンシャイン で、愛を読むひとで、とらわれて夏で......今まで幾度彼女に恋をしたことか。それでも何度でも何度でも何度でも立ち上がりまた恋してしまうんですケイト・ウィンスレット氏に。おっぱい。
僭越ながら私もディカプリオになって彼女に恋した3時間でした。たった3時間の恋。映画。それが乗船していたたった数日の恋だった2人の関係と重なり、しかしその短い記憶が永遠に焼き付くんですよ。エモい。

キャストだけでもエモいですが、もちろん演出の面でも、恋愛映画に必須な疑似恋愛に陥ってしまうような胸キュン名場面もざっくざく。百発百中・伝説のガンマンの如く私のハートを射抜きます。
出会いからして完璧なら、2人の視線の会話も、地下のパーティーも、車のあからさまな暗示に止めるエロティックさも、斧を振り回すところでさえ、今私〜恋をしている〜と俺の中のあいみょんが歌い出すほどのきゅんきゅんをありがとう😊



そろそろ何言ってるか分かんなくなってきたので結末についてですが、良すぎることない!?エモエモのエモじゃない!?
ネタバレ回避のために詳しくは書けないけど、あの終わり方はズルい。
Wind is blowing from the Aegean〜〜♪ですね......。人生............。ライフイズビューティフル。約束は守るもの。

もちろん、家のスピーカーで迷惑にならない程度の大音量で聴く主題歌も最高。しばらく毎日聴くと思う。


そんな感じで、まさか自分がこんだけベタな作品にどハマりするとは思っていなかったような、でも「ベルイマン好き」とか言いながら結局こういうベタな商業主義的映画にコロっと参ってしまうのが自分らしさな気もしつつ、何はともあれ今まで観た映画でも屈指の大好きな作品となりました。やれやれ。




余談

この2人を再び共演させた「レボリューショナリーロード」って映画、まじでうんこだなと思う(あれはあれで大好き)