偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

ファンタスティック・プラネット(1973)


青い肌に赤い目の巨人ドラーグ族が支配するとある惑星。人間は彼らに虫のように扱われていた。ドラーグ族の知事の娘ディバは、人間の赤子をテールと名付けて飼うことにするが、テールはドラーグ族の知識を身につけていき......。



フランス・チェコ合作のアニメーション映画。
私の敬愛するスピッツ草野マサムネが本作をフェイバリットに挙げているのですが、気持ち悪さと可愛さとヘンテコさのあるシュールな雰囲気はまさにスピッツの世界に通じるものがあってスピッツファンとしてはめちゃ楽しめました。

まず大前提として絵がめちゃくちゃ良い!
カラフルなんだけど、くすんでたり影のある色使いがかっこいい。ジャケ写のドラーグ族の顔を見てもらうと分かりますが青い顔に赤い目みたいな絶妙に違和感のある色合いになってて面白いんですよね。
惑星に住む生物たちの造形や生態も、深海魚だとか古代生物みたいな感じで面白いんですよね。子供の頃にそういう変な生き物の図鑑とか、あとはウルトラマン怪獣図鑑とかが大好きだった身としては最高だったしこの惑星の生物図鑑がほしくなっちゃいます。
あと、絵とともに印象的なのが音の使い方で、BGMが良いのはもちろん、SEというか効果音みたいなものも音楽のように作られていて、目と耳で同時に不思議な世界を堪能できるんですね。

また、そんな感じで世界観がシュールな作品ではありつつ、ストーリーはこの惑星では小人である人間がドラーグ族に殲滅されそうになり抵抗するというシンプルで分かりやすいもの。
ドラーグと人間の関係性は現実における人間と他の生き物の関係の暗喩のようです。また両者が対立していくところは戦争映画のようでもあり、結末はそのまま反戦のメッセージとしても受け取れます。
そしてドラーグ族の秘密とかも(よく分かんないけど)SF的なワンダーや映像的なインパクトがあるし、人間同士の対立とかも描かれていて、シンプルながらいろんな楽しみ方のできるお話になってるんすよね。
なので、ワケワカラン映画かと思いきや意外とかなりエンタメ性が強くて実は誰もが楽しめる映画です。昔は観るのに苦労したけど今はサブスクでも観られるので大変オススメ!