偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

川上未映子『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』感想

今や芥川賞どころか国際的な評価を受ける作家の川上未映子が、作家としてデビューする前、歌手として活動していた頃のブログをまとめた本です。


ほんとにただ、ハイセンスな人のブログを読んでる感覚。商業的に書かれた文章ではないので、著者自身にしか分からない、いやもしかしたら著者本人も今読んだら分からなそうな脳内の独り言をそのまま転写したような文章もある一方で、長編小説の中に出てくる一つのエピソードみたいな話もあってどちらも面白かったです。

やっぱ文体がええですよね。
脳内独白をそのまま書いたみたいな意味のない重複とかおかしい文法とかをそのまま出力した感じのメンヘラ感と、関西弁のどこか楽しい感じ(というのもド偏見で関西人に失礼ですが)との違和感がなんかめっちゃ気持ちいいんすよね。
内容もなんかうだうだ悩んでるような感じもする一方でおならの話みたいなマジでしょーもないこと書いてたりもして、重さと軽さの乱高下する感じも楽しい。

でもやっぱ最初の方にあった姉とシルバニアファミリーの話があまりにも面白すぎてそこがピークだった気がしてしまうのは正直ある。サボテンのサボコの話も良かった。

これはブログのまとめだけどちゃんとエッセイとして書かれたエッセイ集もあるようなのでそっちも読んでみたいです。
てかアメリカのなんとか賞の候補になってたからそれも読みたいな。