偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

高橋源一郎『誰にも相談できません みんなのなやみ ぼくのこたえ』感想

最近ハマってる高橋源一郎の人生相談の本です。

先にひとつだけ文句を言っておくと、あとがきで著者自身も文句を言ってますが、やはり短すぎる気がします。
一つの相談が見開き1ページにまとめられているので、相談内容自体も縮められているし、答えも一般論の域に止まりがちで、もうちょっと著者ならではのアドバイスをがっつり読みたいかな、という気がしちゃいます。


とはいえ、内容はやっぱり好きです。
うん、この高橋っておじさん、好きかも///

いや、真面目な話、著者の相談に応える姿勢は、基本は優しく穏やかで、時にお茶目に、時には厳しいことも言ってて、短い分量でも回答することへの真摯さが伝わってきます。だから、この人モテるんだろうなって思うし、私自身もぞっこん惚れてしまうわけです。
相談内容は家族に関するものが多く、親が干渉してくるとか、逆に子供に干渉しすぎてしまうとかいうものが多かったように感じます。
その中で語られる、親の理想的なあり方についての話が特に印象に残りました。
あと、個人的には「職業に貴賎なし」という意味のことを高橋さんの言葉で実感を込めて語ってくれているのにとても救われました。他の人に言われても綺麗事に聞こえてしまってダメなので......。

全体に、悩みへの短期的な対症療法ではなく、悩みの出どころへの注意を促して自ら乗り越えるためのヒントを囁いてくれる感じのスタンスが素敵です。

以前読んだ人生相談の本とはまた違った語り口で、これも凄く良かったです。
お仕事忙しい時にはこうやって人生相談をちびちび読むのもアリですね。