偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

シソンヌライブ[onze]雑感

シソンヌライブ11本目。
例年発売されて数ヶ月経ってから気付いて買ってたシソンヌですが今年はばっちり発売日に買えました!


今回も田舎の青年から国会議員から女装や老人、そして野村くんもアリのバラエティ豊かな5本が揃ってます。
内容もキャラものから某人気ドラマのパロディ、下ネタ(でも下品じゃないのが偉い)、ストーリーものまで幅広く、特にコンセプトとかはないけど一つ一つのネタがただただ面白くて楽しい公演となっています。

冒頭の「喫茶店にて」は、イキった先輩の長谷川さんとイカれた後輩のじろうちゃんという、シソンヌの基本フォーマットみたいなキャラ設定のお話。1本目らしく軽く短めでインパクトはやや薄いですが、「村がパニックになる」みたいな言い草にはめちゃくちゃ笑った。じろうちゃんが変人キャラなんだけど、電子決済の場面でで長谷川さんもヤバいのが示唆されてるのが上手いっすね。

そして前作と同様2本目の「野村くん、愛されたい」で野村くん登場。
DVDだとタイトルが出るのでそこで出オチみたいなところもありますが、今回の野村くんは悩みは悩みでも恋煩いなので、精神状態も安定して健やかに育っていることに安心してしまいます。
しかし相変わらず自意識過剰が過剰すぎて訳分からんくなってる感じが可愛く、その奇行をしばらく突っ込まずに泳がせておいて絶妙なタイミングで絶妙な一言で突っ込む長谷川先生もめちゃくちゃ好きです。

続く3本目は「議員と記者」
珍しくじろうちゃんが生真面目な議員の役なんですが、もちろんただの生真面目な議員ではなく、お堅い感じと「×××」という単語の面白さオンリーで突っ切る蛮勇が凄まじく、今公演で1番好きです。
一応下ネタ?なんだけど下品にならないのが最高。あと、現実の政治家への痛烈な皮肉としても観れるけどただの悪ふざけのようでもある掴みどころのなさも最高。

「パートナー」は、珍しく某国民的ドラマという元ネタがあって、めちゃくちゃそれの要素をぶち込んでくるので、知らん人が見ても何も面白くなさそう......。私は全部は観てないけど子供の頃好きだったので初期エピソードの「浮気相手」の件とか笑う以前に「懐かしい〜」とエモくなってしまいました。
エモいといえば、めちゃくちゃ悪ふざけみたいな話なのに結末はめちゃくちゃエモいのが好きです。ストーリーがしっかりしてるからこそ、悪ふざけでも許せるというか。

そして、最後の「30年前の」は、トリのネタにありがちな、じろうちゃんが老人に扮して人生の儚さを感じさせる話。ではあるんだけど、悪ふざけと言えばこれも悪ふざけみたいな話でもあり、馬鹿馬鹿しさと悲哀の共存が面白いです。
トリにしてはオチが弱いというか、さらっと終わっちゃう感はありますが、濃いキャラで濃いキャラを演じるところとかタイトルの意味とかめちゃくちゃ笑いました。