偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

子供はわかってあげない(2020)

スピッツのニューアルバムリリース記念に観ました!
元々これの原作漫画がめちゃくちゃ好きだったので気になりみと原作を越えられないでしょみの間で揺れてたんですが、結果的には観て良かったです。


高校の水泳部の朔田美波は、同級生で書道家の門司くんが絵を描いているのを見つける。オタク趣味を通して門司くんと親しくなった美波は、探偵だという門司くんの(元)お兄さんに幼い頃に母と離婚した実父を探して欲しいと頼み......。



原作の好きなところは、ゆる〜いギャグ、かわいくて悪い奴が出てこないキャラクターの魅力、甘酸っぱい青春、あたりでしたが、実写映画の本作ではキャラの魅力は踏襲しつつ、ギャグや甘酸っぱさはやや抑えめでその分「家族」というテーマを押し出し、原作とはまた違った良さを作り出していました。原作の主人公は「サクタさん」で、映画版の主人公は「美波」という感じ。

『魔法左官少女バッファローKOTEKO』という作中作のアニメから物語が始まるんですが(この作中作の声優も豪華!)、主人公の上白石萌歌こと美波と育ての父親とが仲良く主題歌で踊るシーンからしてもうめちゃくちゃ可愛くて、ぬるっと引き込まれてしまいます。
とにかくキャラがもう、全員超可愛いんだよね。主役の美波や門司くんはもちろん、美波の両親も実父もアニキも仁子ちゃんも高橋源一郎も全員可愛い。てかそう、古本屋の役で高橋源一郎が出ててびっくり。私、高橋源一郎の顔のファンなので(新書はいくつか読んだけど小説はほとんど読んでない......)、高橋源一郎が棒読みで頑張って演技してるの観れただけでもう愛おしくて泣きそうになってしまいました。

原作にないシーンとかが意外といんしょうてきではありつつ、全体の流れはだいたい原作通りではあり、原作で悶死させられたクライマックス(?)の屋上のシーンは映画でもちゃんとのたうち回らされました。あれはいいものですね。
まぁとにかく、嫌な人は出てこず嫌なことは全く起こらない100%優しさで出来ているような作品で、たまにこういうの観ると心が浄化されて邪念の塊の私などは消えてしまいそうになりますね。