偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

汚れた血(1986)


恋人を捨ててパリへやってきた青年アレックス。危ない仕事の最中に父の仲間だったマルクから、とある製薬会社が開発中の薬を盗み出す仕事を持ちかけられる。アレックスはマルクの愛人アンナに一目惚れしてしまい......。


詩的なモノローグのようだった前作と比べると、「愛のないセックスで感染する死病STBO」を軸に、その特効薬を盗むというクライムサスペンス的な要素も入って、より物語らしくなったとは思います。
ただ、そういうお話として観ると、訓練のシーンがあったのに実戦でそれ別に使わなかったり、そもそもSTBOという病の存在自体が空気で、その設定要るの?と思ってしまいます。
とはいえこの設定のおかげで退廃的な死とセックスの匂いが濃密になってて雰囲気が最高なので良いんですけど。

そしてストーリーラインなんかはぶっちゃけどうでもよくて、本作もやたらと美しい映像で描かれる恋の刹那が鮮烈に印象に残ります。
モノクロの前作から一転してバキバキの色彩。これだけでもうイッちゃいそうになりますよね。くすんだ原色の赤や青が目に鮮やかで、悪い夢でも見てるかのよう。
本作も夜の場面が多いですが、やっぱり夜の空気感が凄え良いんだよな。特にボウイのモダンラブで走るとことか最高やん......ってのはまぁ曲が好きなのもデカいけど。しかしこのアングラな映画にあのボウイの中ではポップな曲が流れる微妙な違和感が変に印象的で良いんですよね。

そして、本作はメインヒロインのアンナと元カノでサブヒロインのリーズのダブルヒロインなわけですが2人ともマジで可愛すぎた......。
特にアンナを演じるジュリエット・ビノシュさんと監督が付き合ってたらしく、愛のパワーなのかめちゃくちゃ魅力的に映ってました。俺も女の子を可愛く撮りたい......愛が足りないのか......。