最近ハマってるラーメンズの小林賢太郎による、演劇とコントの中間くらいの舞台作品。
順番に見るのが筋だとは思いつつも、本作ががっつりミステリらしいと聞いて4作目だけど思わず先に見てしまいました。
大森南朋、久ヶ沢徹、犬飼若浩、西田征史、小林賢太郎の5人が出演、主題歌を椎名林檎が手掛けた公演。
<i>
大正時代末期、帝都図書館で幽霊騒ぎと東側の書棚の蔵書がごっそり消失する事件が発生。
図書館の職員、人力車の車夫、所轄書の巡査、本庁の警部、そして抜群の推理力を持つ書生の5人は事件の真相を推理していくが......。
</i>
というあらすじ。
ガチでしっかりミステリしてて驚きつつも、ラーメンズのコントでもそのミステリセンスを見てきただけに流石だなぁと納得する気持ちもあり、ともあれめちゃくちゃ面白かったです。
まずは事件の謎自体がとても魅力的ですよね。
<b>一面の本棚の本がまるまる全部消失する</b>というのは、誰が?なぜ?またどうやって?というWho・Why・Howの3重の謎になっています。
さらに、おまけ的なものですが幽霊騒ぎまで起こり、The探偵小説の趣が漂います。
喫茶店のことをカフェエって言ったりするところまで含めて、我々の大好きな戦前探偵小説の匂いがしっかり。
そして、わりと全編にわたって(ギャグ的なものも含めて)推理と否定が繰り返されながら段々と真相に迫っていく推理合戦形式になってんのも良いっすね。
それでいつつ、やっぱりコント的な面白さも抜群で、登場人物全員がしっかりとキャラ立ちした上でキャラへの愛着を湧かせるようなギャグがポンポン繰り出されるので常に楽しい!
特に筋肉の人が面白かったのと、大森南朋のクール系キャラだけどたまにボケるところが好きでした。
かと思いきや、そうした面白おかしいギャグの応酬の中にしっかりと伏線が張り巡らされていて、ギャグによって印象付けられているおかげで一つも覚えていない伏線がない状態で全部バシバシとキメられちゃうから堪らんっすわ。
もちろん真相もそれなりの意外性があり、シンプルなHowに膝を打つとともに、WhoとWhyから浮かび上がる渋い人間ドラマにもほろり。
探偵役の小林賢太郎の「説明不足探偵」というキャラ付けのおかげで逆に説明がくどいくらいに細かくなってて何度も「なるほど」を味わえるのも心憎い演出っす。
ミステリとしてもコメディとしても面白いだけでなく、ギャグが伏線となって両者が融合する、これぞコメディミステリの理想系ですよ!
......とここまで書いてみて、この感想がそのまま当てはまる別の作品を思い出しました。
『キサラギ』って映画なんですけど、これどっちかが好きならたぶんもう片方も好きなやつだと思うので、併せてオススメしておきます。