偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

雨を告げる漂流団地(2022)


同級生の航祐と夏芽はきょうだいのように育ったが、航祐の祖父が亡くなったのをきっかけにギクシャクした関係になってしまう。
そんな夏のある日、航祐はかつて夏芽と共に暮らしていたが取り壊しの決まった「おばけ団地」に友人たちと忍び込む。そこで夏芽と遭遇した彼らだが、そこに突然の大雨が降り、雨が上がった時、団地は海のような場所を漂流していた......。



映画館で予告を観て、ずっと真夜中でいいのに。の主題歌が気になってそこからずとまよを聴き始めた出会いのきっかけとなってくれた作品。結果ずとまよにはハマったけどこの映画はそういえば観てなかったので観ました。

良くも悪くも絵に描いたようなエモい夏のジュブナイルという感じ。
海に浮かぶ団地というファンタジックかつエモい映像を筆頭に、失われていくものへの哀惜や恋とも友情とも違うエモい関係など、エモさがべっとりと塗りたくられた美麗な映像を観ているだけでそりゃ気持ちいい。
前半は子供たちだけで工夫で生き抜くサバイバルみたいな感じだったのがだんだんと試練が増えて神経を擦り減らしていってクライマックスまで思ったよりしんどい目に遭うあたりもハラハラしながら観れて面白かった。

ただ、そんでもやっぱ2時間は長い気がしてしまう。
そう思うのは、キャラクターたちが魅力的ではあるんだけどそれが類型的な魅力だったり、全体にそんなに意外な展開とかもなく予想通りに物語が進んでいったり、そもそも漂流からの戻り方がハッキリしないためにゴールが見えないためだと思います。特にサブキャラのツンデレっ娘、眼鏡っ娘、心優しい力持ち、アホの4人は上記の属性以上の掘り下げがなくて......。
全員がセリフで心情を叫び散らかすのももうすぐお誕生日で29歳になるおじさん的にはちょっと恥ずかしくなってしまうのもあり......。

でもまぁ観てる間は普通に面白かったし、ずとまよの曲が2曲も使われていてエモかったのでそれだけでも観てよかったです。